立方体の思い出

初めて見たのは、立方体の顔。
不思議そうに私を見ていた。
首を左右に動かしたり、両手を回したりしている。
「コマッタ、ドウスルベキカ」
どうしたの?と聞くと、あなたは私を両手で持ち、どこかへ歩いていく。
「セマイトコロダガ、ガマンシテクレ」
連れてこられた場所は狭い部屋。
あなたは私の身体を拭いてくれたり、食べ物をくれた。
ありがとうと言うと、撫でてくれた。
数日後、あなたは慌てて私を部屋から連れ出す。
「イッショニイタイガ、マスターニミツカッタラ、マズイ」
外へ出たけど、どこかへ行くのだろうか?
「コノコヲ、オネガイシマス」
建物に入り、あなたは私を知らない人に渡した。
置いていかないで、と大声であなたに叫んだ。
「タノシイヒビヲ、アリガトウ」
あなたはいなくなり、私は知らない人と暮らすことになった。
数年後、ようやく探し続けていたあなたを発見。
「にゃー」
外から呼ぶと、立方体の顔がこちらを向いた。


『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

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以下の記事に詳細あります。


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