鋭利なチクワ

炎が燃え盛る窯の前で、鍛冶屋のカジはハンマーで勇者のために剣を作っていた。
カンッ!カンッ!カンッ!
剣を叩くハンマーの音は、鍛冶屋の外へ漏れるほど大きい。
カンッッッ!!!
そして遂に、カジは今までで最高の剣を作り上げ、すぐに勇者を鍛冶屋に呼んだ。
「勇者よ。遂に剣が完成したぞ。さぁ、持っていくがいい!」
「いやこれ……ちくわだけど」
剣を受け取った勇者は苦笑いしている。
「ちくわではなくチクワだ。見た目とは違い、剣より数十倍の切れ味だぞ。試し斬りしてみてくれ」
「あ、ああ……」
勇者はチクワを構え、鍛冶屋内にあった鉄の塊に近づいて斬った。
鉄の塊は一瞬で真っ二つ。
勇者は切れ味に驚いたのか、口を開けたままだ。
「この剣なら一撃で魔王を倒せる!カジさん、ありがとうございます!」
「おう!頑張れよ勇者!」
勇者はチクワで魔王に挑んだが、攻撃はミスばかりで返り討ちにされた。
チクワは、あまりにも短すぎたのだ。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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