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「おまけ」と「ふろく」が好きすぎる

神奈川近代文学館で「おまけ」と「ふろく」展を満喫してきた。
もともと「おまけ」「ふろく」大好き民なので、ここは絶対に行かねば…と意気込んでいたのだが、本当に行ってよかった。

https://www.kanabun.or.jp/exhibition/18462/


富山の薬売りに始まり、今に続く「おまけ」「ふろく」の歴史を当時の文化、時代背景を踏まえながら見ることができる。

大正時代に始まった小さな小さなタバコのカード、色数も少ないながら丁寧に描かれたすごろくの美しさ、徐々に立体感を増していく雑誌の付録や、存在感のありすぎる別冊、あまりにも繊細でかわいらしすぎるグリコのおまけたち、戦後まだ2年程しか経っていないなかで、どれだけの少女たちに希望を見せたのだろうと感じ入ってしまう中原淳一の鮮やかで爽やかな少女絵、ずらっと並んだカラフルなカバヤ文庫、探偵道具に秘密手帳、学研の実験や観察道具…どれだけ見ていても飽きなかった。


それにしても、わたしに限らずどうにも「おまけ」「ふろく」を好きすぎる人がどうやら大分多いらしいとニコニコしてしまう。

そもそもは営業のために始まったはずなのに、明らかに本来の目的を超えて進化しすぎている。
グリコのメダルの中には造幣局が手掛けたものもあるのだが、企画をもっていった方も受けた方も器が大きすぎる。
子どもたちにいいものを渡してあげたい…という気持ちもそりゃあるだろうが、こうなってくると単純に自分が好きだからやりたい気持ちも何割かはあるに違いない。

紙製のお寺や戦艦が、当時のままに組み上げられた状態でガラスケースに並んでいるのに至っては、もはや何千年も前の土器や石器が並んでいるような、ある種の奇跡を感じざるを得ない。
小さいものなら、まだわかる。
でもここに並んでいるのは、40センチは優に超える。
(東京タワーの高さは1メートルを超えている気がする)
繰り返すが紙製で立体なのだ。
そう何度も組み立てなおせるものではない。
誰かが「これは大ウケ間違いなし」と雑誌のふろくに用意し、読者の少年少女(もしくは親御さん)が懸命に組み上げ、それを誰も壊さず、多くの人災や災害にも負けずに残り、「こんな貴重なものが残っていたのか」と大事に引き取った人がいて、初めてこのガラス越しにわたしと向き合っている…その時間と、関わった人々を想像するとくらくらしてしまうではないか。
これらのふろくはもうそれぞれが1点ものだろう。
他に同じような状態で現存するものはそういくつもあるまい。
そのうち文化財になるかもしれない。

ちなみにこの展示自体の「おまけ」もいただけた。
この心意気にもグッとくる。
大正時代のおまけは、薄い紙製で、厚紙に自分で貼ってから切り取って組み立てるのが主流だったらしいので、そういう意味でも正統派だ。

こちらの2枚の他にも現地で作れるものもあった
こっちはお土産として購入した冊子と文具(マステ&付箋)


神奈川県由来の様々な作家に関する資料も多く展示されており、常設展も見どころが多かった。
全体的にこじんまりとはしているが、内容は濃く、興味深い。
(特に直筆の原稿がおもしろい。手書きの文字はもちろん、原稿用紙の使い方、使う筆記具の種類など、それぞれに個性や人柄がにじんでいる)

港の見える丘公園という立地も素晴らしく、
また気になる企画展があったらぜひ行きたい、お気に入りスポットになった。

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