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橋と国道とジップライン

橋と国道とジップライン…
この3っつにピンときた方は同業者(ポーター)だろう。
お疲れ様です。どうぞご安全に。

『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』(通称:デススト)というゲームがある。


一言で、過不足なく表すと「荷物を運ぶ」ゲームだ。
この上なく地味なテーマを、こんなにも魅力的に仕立て上げられるんだから
やっぱり小島監督は天才なんだろう。

まず、「荷物を運ぶ」という行為自体、実はかなりゲーム性が高いことに気が付く。
できるかぎり多く運びたいが、持てる量には限りがあり、
持つほどに動きは遅くなる。
そのうえ、このゲームには配送の邪魔になるBT(オバケ)と、
荷物を狙って襲ってくるミュールという(社畜を極めに極めて目的を見失ってしまった悲しい)敵がいる。
しかも、荷物や装備を痛める雨まで降ってくる。
それらの対処を考えつつ、荒廃しきったアメリカ大陸というなにもない舞台に、自分でルートを考えながら、最初は徒歩で運んでいく…
道のりが厳しいほど、ミッションが困難なほど、無事に届けられた安心感や達成感は得難いものがあるのだ。
(実は美しい自然の中を歩いているだけでも結構楽しいのだけど)


ところで、ゲームには、自分でやりたいとおもうものと、
人が楽しそうにやってるのを見ていて満足できるものの2種類ある。
このデスストは、わたしにとっては後者だろうとおもっていた。
見ている限り、結構難しそうだし、
同じ小島監督のメタルギアソリッドではチュートリアルで(あまりにもヘッポコにしかならない主人公のスネーク(CV.大塚明夫)が申し訳なさ過ぎて)匙を投げたトラウマがあったし…
でも、いくつかの動画を見ているうちに、どうしてもやってみたくなり、
もう最後までクリアできなくてもいいや!という覚悟で始めてみたらあっさりハマってしまったのだった。

時間はかかったほうかもしれないが、ストーリーもエンディングまでクリアすることができた。
Very Easy Modeだったからというだけでなく、
正解へのたどり着き方が複数あるおかげだ。
自分の性格や得手不得手から、
急だろうとなんだろうと最短距離を突っ切る、
妨害されること必至でも正面突破する(武器を使う)、
時間がかかっても大回りで安全な道を進む、
状況を確認して機をうかがう、
便利な道具や「他のプレーヤーの力」を借りる…などなど
様々な手段を選ぶことができるのだ。
(ゲーム自体は1人用だが、間接的に他のプレーヤーの力を借りることができるシステムが素晴らしい)

ちなみにわたしはとにかく安全、着実を信条としていた。
(だって主人公のサムの描写があんまりリアルで…荷物の食い込んだ内出血の痕とか普通にあるから…かわいそうになっちゃって…)
そこで特に重要なのが、橋と国道とジップラインである。
なにもない地面はとても歩きにくい。
最初のうち、川なんか特に鬼門だ。
ちょっとでも油断するとすぐに滑って、最悪荷物まで流されてしまう。

そこに橋である。
安全に川を渡ることができる素晴らしさたるや…!
もう、日常生活でも、バスや電車で橋を渡るたびに「この橋がないときは、さぞ苦労していたんだろう…」などといちいち感傷に浸るようになる。

続いて国道である。
ゲームも中盤になると乗り物を使うことができるようになる。
が、乗り物は、結局、道がないとその力を十全に発揮することができない。
国道を通すのは、ゲーム内においてもかなり重労働だ。
だが、その分得られるものは大きい。
この安心感&安定感…!
先述のBT(オバケ)もミュールも、大抵のことは無視できる。
そしてトラック!
何百キロだろうと積んでスイスイとお届けできる…!
こなせる仕事量が乗で増える。

最後はジップライン。
実は機能として使えるようになった当初はそんなに信用していなかった。
だって最低2本の支柱を設置しなきゃいけないし、
使用の制限が結構あるし…
でも、凝りだすと、止まらなくなるというか…
岩場とか高低差がありすぎて乗り物で歯が立たない山岳地帯とか、
こいつがあると一瞬で片が付いちゃうから…
我ながらこれはさすがにズルいかな…ってくらいできちゃうし…
(それでもやるけど)


とにかく、手段はいくらでもあるので、
アクションゲームは苦手なんだよね…という理由で遠慮していた方には
安心してオススメしたい。
じっくりやれば、必ず突破方法はある。

とはいえ、これでアクションゲームデビューします!
という方にはさすがにあんまりオススメしない…
やっぱりどうしてもある程度ゲーム素養のある人向けな印象があるので。
ちょっと他の…例えば『Detroit: Become Human』とかでコントローラーの使い方に慣れてからのほうが取り組みやすいんじゃないかと…

あと、地図が苦手な人もちょっと大変かもしれない…!
それ以外の方、他ではできない経験ができる。
味わってみてはいかがだろうか。


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