別れ話なのか怖い話なのか

ポロン♪
ゆり「別れたぞ」
ポロン♪
ゆり「付き合え」

女友達のゆりから唐突にラインが来た。
どうやら彼氏と別れて誰かに話を聞いて欲しいみたいだ。
こういうのは嫌いじゃない。誰かに呼び出されたときは、親が死んだ以外の理由では断らないようにしている。

僕 「おめでとう!今日から新しい世界の爆誕だね」
ゆり「死ね」
僕 「どこ行けばいい?」
ゆり「個室の居酒屋取れ」

泣く気満々の様子だ。この状態の女性は死ねとか殺すとか平気で言う生き物だということは理解している。泣いているレディを慰めるというミッションが与えられたことを誇りに思った。

居酒屋に到着した僕を、飲みながら待ち構えていた。
案外落ち着いている様子だったので拍子抜けした。

ゆり「遅い、死ね。」

怒られた。理不尽だなと思ったが反射的に謝った。
とりあえずビールを頼み、僕はゆりの話を聞く準備を整えていった。

ゆりの元彼は35歳でバツイチ経験もない未婚、東京に住むサラリーマンで名前は紀文。ペアーズで出会い、数回のデートを重ねた末に付き合うことになったようだ。聞くと紀文はなかなかユニークな人物だった。

1回目のデートは食事に行き、お互いとても好印象。
2回目のデートで結婚を前提に付き合うかどうかで少し喧嘩になった。ゆりは結婚願望がとても強い。紀文は自分に自信がないという理由であまり前向きではなかった。
会って2回目でそんな話になるの?と疑問に思った。それを突っ込もうとしたが、ゆりはその隙を全く与えてくれない。鬼気迫る迫力がそこにはあった。
そもそも結婚願望ない奴はガチ婚活勢多数のペアーズじゃなくて、遊び目的圧倒的多数のティンダーやれよと思ったが、その場では気持ちよく相槌を打ち続けゆりの話を聞いた。
紀文はなかなか香ばしい男で、前の彼女に浮気をされた際に、怒りで浮気相手の男をボコボコにし、骨折までさせてしまったことがあるらしい。昔からカッとなりやすく、自分を抑えられなくなることがあることを自覚していた。
やべぇ奴じゃん。
そんな話をボロボロなきながら話すゆり。泣きすぎて鼻水がお通しの煮物に落ちていた。怖かった。

そのまま喧嘩別れの様な感じになり、家に帰った。
すると夜にピンポーンとベルが鳴り、出ると紀文が巨大な花束を持って謝りにきた。

紀文「本当にこめん。考えたけど俺にはゆりしかいないと思うんだ。」

紀文もゆりも泣いた。2人して泣いた。泣きながら抱き合いセ〇クスをした。
そして今も梅酒ロックを片手に泣いている。怖すぎる。まだ序盤だと思うけど今日は酔える気がしなかった。

これは本当に会って2回目の男女の話なのだろうか。感情とはこうも上下に激しく振れる物なのだろうか。骨折させたり巨大花束で突然謝りに来たり泣きながらセッ〇スしたり、冷静に聞いている僕からすれば紀文はかなりヤバい奴だ。感情と行動が極端過ぎる。
紀文は結婚向きじゃない。そう思った。

僕 「そんなに極端な行動される疲れるね」
ゆり「そうなの。すごく自分に正直で真っすぐな人なの」

全然伝わらなかった。このモードに入った人間には何を言っても無駄であることを僕は知っていた。僕はウーロン茶を注文しようとした。

ゆり「つまんねぇことすんな」

怒られた。理不尽だなと思ったが反射的に謝ってハイボールを頼んだ。

そこからは言葉を選ばなかった。
別れてよかった。紀文は極端に熱しやすい。きっとゆりも紀文もどっちも疲れてきて、我慢できなくなった方から別れを切り出す。
という内容のことを色んな言葉でゆりに伝えた。

実際、頑張りすぎて燃え尽きた紀文に
「自信がない。ゆりに自分はふさわしくない」
という振り出しに戻る台詞でゆりはフラれた。
そんな話だった。予想通り過ぎて萎えた。
最初から最後までゆりが何で泣いているのか分からなかった。自分の鼻水が落ちたお通しの煮物を食べていたことが1番印象的だった。

その後ペアーズで紀文を見つけたとの連絡がゆりからあった。
紀文はまた次の被害者を探しているようだ。

ゆり「デートの時に私が撮ってあげた写真をトップに使ってるんだよね」

紀文は最後まで香ばし男だった。


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