7/12 島根県知事の陽性者急増を受けた会見を聞いて

7月12日の新型コロナに関する島根県知事の記者会見がかなり面白かったので紹介します。感染者数急増&過去最多を受けての会見です。その中で、政府や専門家を何度も批判、自分で口汚いと言っているのがすごいです。(わかりやすく話す方ではないので、自分用メモとしても書いてみました。)

前提
・東京の人口は島根県の20.9倍
・2021年(第5波)までの過去最多は45人(多分)
・鳥取県ほどではないが、多くの県と視覚して検査はかなり充実している
・今年の第6波で蔓延防止等重点措置を申請、但し内容がオミクロン株以前に決められた飲食店の時短だけである点を以前から批判している
・7月から感染急拡大中、数百人規模のクラスターも発生
・7月12日の感染確認数は1262人と過去最多
・知事は元総務省役人。疫学への科学的知見を重視しつつ、行政の仕事は新規感染者を少しでも減らすことが重要だと考えている。それが医療逼迫を起こさない唯一の道だ、と。医療逼迫してから対策したのでは遅い。感染症ではコントロールできないことがあることを認めた上で、コントロールできることをやる。(以前の記者会見からの推測)
・県独自にできることとして、飲食などの行動時の自粛要請を行っている。但しこれまでなら減少に転じていた施策でも、増加のペースを落とすことしかできていない。このままでは、医療逼迫が懸念される。(1週間で2.37倍だったものが1.84倍に減っている。今日の数字は1.66倍。)
・しかしすでに外来の発熱外来は逼迫し始めている。


記者会見の主旨(私個人の勝手なまとめ解釈)
・蔓延防止等重点処置は、政府が門前払いしている(行動制限なしで乗り越えられると発言している)、だから無駄な申請はしない。
・今の水準は人口比で言うと東京の最多を上回っている。それでも関東・関西・東海で増えるまで、政府は動こうとしないだろう。
・参議院選翌日の尾身会長の発言:「強い行動制限は多くの人が出したくないと考えていると思う。そうした措置を取らずとも、検査やワクチンの接種、基本的な対策で乗り越えることが可能」、「現時点では蔓延防止等重点措置のような行動制限は不要」。論理矛盾している。乗り越えられることが可能ならば、「現時点では」と言う必要ない。逃げ道を作っている。そして乗り越えられるという理由が科学的でない。
・乗り越えられることが可能という理由が、多くの人が望んでいないからと。これが科学と言えるか?これは政治が判断すること。専門官が判断することではない。感染症の専門家という資格がない。茶飲み話。
・風邪と同じだという認識があるようにみえる。それ以上の危機感がないことが不思議。
・水際対策の緩和によってこの拡大が生じた。BA.5は日本由来でないから明らか。
・東京で25000になればとるであろう対策を、島根県にはとらないと認識している。政府は動かない。
・急拡大を手洗いとワクチン接種で乗り越えられると何故考えられるのか不思議。7波が終わったら、対策がうまくいったか検証すべき。座るべきでない人が座っているなら変わるべき。こんな人達を信じて良いのかという危機感を持って対応していく。
・本日知事会があるが、上品な場なので、もっと上品なことを言う。記者会見で求められている範囲と違うから。他の知事でこんな口汚いことを言っている人はいない。
・感染が広がらない範囲で社会活動を。
・工夫をしながら、まだ対応できる。


感想
・ワクチンに言及するが、ワクチンを打つようには言わない。急拡大中の今接種しても意味がないと思っているようだ。
・感染症対策の基本は、とにかく新しい陽性者を出さないこと、危なくなる前に最悪を想定して対策すべき、という絶対的な考え方を持っている。

ここまではっきりと、行政の人が政府批判をするのは、コロナ関係だけでなく久しぶりに見ました。最近思うのが、物事を相対的に見るのではなく、自分の絶対座標を持っていればブレない、ということ。丸山知事の原発再稼働に関する対応はいただけませんが、コロナ対策については評価したいと思います。