3回目交互接種のQ&Aには、副反応の言及がない件

今回も厚労省の新型コロナワクチンQ&Aからです。

強調されているのは、ファイザーの後にモデルナでも問題ないよ、という点ですが、30歳以上の合計2878人、1セットわずか100人規模の治験、わずかな日数の調査であるにも関わらず、912人に副反応、24件は重篤、ということがわかりました。(ブラセボの数はわかりませんが、相当な頻度で副反応が出ていることは確か。)

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昨日のコメントと同じように、この答えは、「適当であるとされています」であって「適当です」とか「違いはありません」などの一人称の主張になっていない点に注目したいと思います。

説明の文章はこちらです。

初回接種でファイザー社又はアストラゼネカ社のワクチンを受けた30歳以上の人を対象に、追加接種でファイザー社、モデルナ社(注)、又はアストラゼネカ社のワクチンを受けた時の抗体価を比較した英国での調査結果によると、日本で薬事承認されている接種間隔と異なることに留意する必要があるものの、いずれのワクチンにおいても、対照群(髄膜炎菌のワクチンを接種)と比較して、接種から28日後の抗体価が有意に上昇するとともに、副反応は全てのワクチンの組み合わせで同様であり許容される旨、報告されています(※)。

参考資料をたどってみましょう。

(参考資料)
追加接種における交互接種、組み合わせに関する諸外国の状況(第27回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)

リンク先はpdfが1ページだけです。その元を探しました。

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この資料の16ページが、1ページだけ参考資料としてQ&Aのページからのリンクとなっています。

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全体を見ると、16ページはワクチンの効果についてのページ。実際の有効性ではなく、抗体価を調べているだけのようです。

もっと問題は、この後の資料17ページです。安全性について書かれています。

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かなり字が小さいですので、テキストを切り取ると、

英国で行われたCOV-BOOST試験によれば、ファイザー社又はアストラゼネカ社ワクチン2回目を接種した30歳以上の者に対する、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社ワクチンを用いた追加接種を行った後、7日間の副反応は、ワクチンによって違いはあるものの、安全性の面で許容されると報告されている。

30歳以上だけが対象で、抗体価の確認は28日後であるにも関わらず、副作用は7日間だけ確認?!

その次の部分を拡大しました。

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研究内容:アストラゼネカ社又はファイザー社ワクチンの2回接種を完了した30歳以上※1が対象。英国のNHSが運営する病院18施設を3グループに分け、各グループ内において被験者を7社の新型コロナワクチン※2(ワクチン群)または髄膜炎菌ワクチン(対照群)に無作為に割り付けて追加接種し、接種後の安全性と有効性について分析した多施設盲検化ランダム化比較試験(COV-BOOST試験)。
結果: 2021年6月1日-6月30日に2,878名が新型コロナワクチンまたは髄膜炎菌ワクチンを追加接種した。接種後7日間で報告された副反応は以下の通りであった。
全体
-912 名の被験者から 1,306 件の副反応(すべての重症度)が報告された。
-20 件の AESI 3 が発生し、 6 件で接種ワクチンとの関連性が示唆された。
-24 件の重篤な副反応が発生した。
初回シリーズにアストラゼネカ社ワクチンを接種した者
-局所、全身副反応は mRNA ワクチンとヤンセン社ワクチンによる追加 接種をした 者で各グループ内の他ワクチン(ワクチン群、対照群を含む)と比較して増加した。
-モデルナ社ワクチンで 11.6% 112 人中 13 人)に倦怠感が報告されたが、その他全てのワクチン群において重症の局所・全身反応の頻度は 5% 以下だった。
初回シリーズにファイザー社ワクチンを接種した者
-局所、全身副反応は、モデルナ社、キュアバック社、アストラゼネカ社、ヤンセン社ワクチンを追加接種した者において、その他のワクチン群および対照群と比べて多く報告された。
-アストラゼネカ社ワクチンで 5.6% 108 人中 6 人)、モデルナ社ワクチンで 5.5% 109 人中 6 人)、キュアバック社で 5.8%(104 人中 6 人 にだるさが認められ、ヤンセン社で 7.8% 103 人中 8 人)に寒気が報告された。
-その他すべてのワクチン群において重症の局所・全身反応の頻度は 5% 以下だった。
・著者らは、すべての ワクチンの組み合わせで副反応は同様で、安全性の面で許容される が、 いくつか の組合せでは より多くの副反応が見られたと報告している。

まとめると:
・治験者は2878人。この人数を3グループに分け、さらに7種類のワクチンまたはブラセボ(髄膜炎菌ワクチン)を接種 
   →1群は100人強の規模
・観察期間は7日(抗体価は28日後で確認)
・912人から1306の副反応、うち24件は重篤
・どの組み合わせでも副反応は同様、と言うが、どれも同じくらい悪い?


このQ&Aも、嘘をつかずに誤解させる、期待させる、の典型なのではないでしょうか。


ところで、このモデルナワクチン推進を理解する理由を考えるには、ワクチンの調達状況を知ることも重要だと思います。以前、日本のワクチン契約数を調べました。

2021年
 ファイザー     1億9400万回 (1億4400万回+5000万回)
 モデルナ       5000万回 (4000万回+1000万回)
 アストロゼネカ    1億2000万回
2022年
 ファイザー     1億2000万回  ニュース8月、契約締結 2021/10/7
 モデルナ       5000万回  契約締結 2021/7/20
 ノババックス    1億5000万回  契約締結 2021/9/7

でした。さらに今、塩野義もワクチン開発の治験を行っていて、今年度中(つまり3月まで)の実用化を目指すとのこと。

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(こちらも、抗体価の比較だけで評価するのか、と言う疑問は別として、かなりのピッチで動いているらしいことは確かです。)

これを加味すると、ファイザーなどのオミクロン対応ワクチンが出る前に、そして塩野義のワクチンが出て来る前に、デルタ株対応のモデルナワクチンをとにかく打ちまくりたい、という意図が見えてくるように思います。
(最後は印象です)