予測には幅がある

JR西日本の列車が京都で立ち往生し、乗客が長時間列車に閉じ込められたニュースで、驚きの事実を知りました。積雪予想が8cm程度だったため、10cmで準備すべき融雪装置を使わなかった、と。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230125/2000070323.html

JRでは、予想降雪量が10センチを超えた場合、線路のポイントの雪をとかす装置を使うことにしていますが、京都駅周辺では8センチ程度の降雪を見込んでいたため、装置を使う準備をしていなかったということです。

誰が、どんなデータに基づき、どのような方法で予測が行われるのか。確率はどのくらいなのか。少し考えれば予測には幅がつきものだ、ということがわかるはずなのに、8cmだから対策しなかった、と。

「8cmだから融雪装置は必要ない」との判断に至るには、いくつかの可能性があると思います。
・8cm以上積もることはないと全員が思った
・10cmになるところもあるかも知れないが、全員が問題ないと思った
・内規で10cmだから勝手に対策する必要はない
・内規で10cmだから勝手に対策してはならない
・現場は10cm以上になる可能性を訴えたが、上層部が不要だと主張した

実際の所、どれなのかはわかりません。もし8cm以上になることはないと思ったなら、それはどのように数字が予測されているかへの想像力不足でしょう。知識不足とも言えます。天気予報、台風予想、降水予測、どれも幅があります。積雪予測だけ幅がないなど誰が思うでしょうか。そもそも積雪が広い範囲ですべて8cmぴったりになるなど、ありえないことです。

一方、内規があるから、上司が不要だと言ったから、との理由だとすると、それは組織として大問題だと思います。主体的な判断を一切行わずに、規則、命令だけで物事を動かしていると言って良いでしょう。

そして本来は、何か起きたら迅速に対応することが求められますが、今回はそれさえできなかった。こちらは危機管理能力の低さを示していると感じました。


予測には必ず幅があります。例えば最新の内閣支持率が33%とは、1250人の調査ですから本当は±2.6%程度の範囲に本当の支持率がある、支持率はおおむね30%~36%の範囲であろう(95%信頼区間、実際はもう少し狭い可能性あり)となります。

今の状況をきちんと調査しても予測には幅がある。未来の積雪量をぴったり予測できるわけがないのです。情報を正確に理解することの重要性を強く感じたニュースでした。