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 このコラムは、行政書士の仕事を題材にしたマンガ「カバチタレ!」のストーリーを紹介しつつ、法律を少しだけ学ぶ内容となっております。


 三重晴三と三重切子夫婦は喫茶店を経営していますが、厳しい赤字となっています。おまけに晴三は切子に暴力のし放題という状況。切子は切子で幼い娘と息子に暴力をふるい続けています。マンガながら、借金、DV、児童虐待というひどい内容となっています。
 切子は離婚まで決断できませんが、田村と先輩の栄田は、切子の状況をかんがみ、切子の正式な依頼がないまま、晴三に離婚をすすめます。離婚すれば、切子名義で借金がしやすくなる、そう考えた晴三は離婚に同意、外見上、別居が必要なため、切子がアパートを借りるのも同意します。
 ところが、田村と栄田の上司の重森(大野事務所の番頭)が、依頼がないことから、二人の独走を責め、晴三に、離婚届の不受理の申立をさせます。
離婚届(晴三の署名あり)が切子から役所に提出されても、受理させなくする手続きです。
 晴三の切子への暴力はエスカレートします。こうした中、「晴三と離婚したい」との切子の正式な依頼を受けた田村と上司の重森は、晴三に離婚を求めます。切子に暴力をふるっている晴三は、裁判で強制離婚となると慰謝料を請求されると分が悪いと考え、こどもの親権は自分が持つという条件で離婚に同意します。重森は知恵をきかせ、こどもの監護権は切子という条件を晴三に承諾させました。
 離婚届は、土日祝日や夜間などでも時間外受付で届け出ができます。晴三が離婚届に署名すると、重森はその日のうちに、夜間ですが役所に行き、離婚届を提出、受理されました。一方、晴三は考え直し、離婚届について、翌朝、再度、不受理申立を行いますが、既に離婚届は受理されていました。
 切子とこどもは、新たなアパートに引っ越していましたが、晴三はそこへやってきて、切子に暴力をふるった上で、こどもを連れ帰ります。田村と栄田は、「監護権は、こどもを手元において育てる権利」「監護権者の承諾なしにこどもを連れ去れば、未成年略取誘拐罪が成立する」として晴三を告訴します。そして晴三は警察に逮捕されます。
 切子は離婚には成功しましたが、生活するお金がありません。晴三も借金だらけで養育費の支払いは無理でしょう。田村らは、母子資金(母子父子寡婦福祉資金:貸付金)を申し込みます。
 ところで、こどもたちは、両親のいざこざに巻き込まれ、暴力も振るわれ、大変なめにあわされています。この話の最後は、親鳥からはなれたひなを親鳥のいる巣に、こどもたちが返すところで終わります。児童虐待や監護の放棄も描かれた本編ですが、こどもは親の悪口を言いませんでした。実は栄田もおなじような少年期を過ごしており、こどもたちに寄り添った対応を終始していました。こうした肩入れは、大野や重森からくぎを刺されることもありますが、栄田のこどもへのやさしさは、痛みを知るものをよく描いていると思います。
 私も仕事で、マンガのような、弱い、大変な立場の方に出会うことがあります。私は何をすべきなのか、どういったことができるのか、自問しますが、答えは十分かは、まだまだ正直わかりません。

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