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台湾:男女格差の縮小の秘密(ふじみ野×ジェンダー)

 男性と女性の賃金(給与)差ですが、日本では、どのくらいでしょうか。下の内閣府の資料ですと、赤い線、男性一般労働者を100とした場合の女性一般労働者の給与水準は2021年で、は75.2となっています。35年前の1989年は60.2ですから、年を経て格差は縮小しています。
32年で、15パーセント改善していますね。

内閣府HPより

 国際的にはどうでしょうか?下は、OECD(経済協力開発機構)の資料ですが、加盟国の平均は88.4ですね。日本の数値は2020年ですが、77.5で、下のほうですね。11%ほど差があります。

内閣府HP

 台湾の状況はどうでしょうか?下は、台湾の労働部の資料です。109年は中華民国109年のことで2020年、111年は2022年を指します。2022年の男女の時給格差は、84.2%となっています。


台湾労働部HP

 下は、台湾の1980年から2014年の男女賃金差のグラフです。
1980年は、68%強で、1985年までは64%前後で低迷しています。これは、中所得国に現れる現象で、経済が成長し、男性の所得が向上すると、家計が安定し、女性が労働から離れる、というものと推察されます。ちなみに先進国や貧困国では、経済成長と女性の労働参加率は正比例の関係にあります。
 その後、台湾の経済成長で、1986年から93年までは、賃金差は
67%前後となります。
 そして、1994年から、男女賃金差の数値(女性賃金の比率)は右肩上がりに上昇し、2013年に84%に到達します。19年で17%上昇しました。 こうした上昇をもたらした要因については、別の機会に考えたいと思います。

張晉芬「性別平等了嗎?男性和女性受僱者薪資差距解析 」より

 下の資料は、職業類別の男女賃金(時給計算)を表したものです。
「行政主管及び経理人」(管理職)に就いている賃金の男女格差は70%となります。専門職では、66%です。この二類は、男女ともに賃金は他の類別より高いのですが、男女賃金格差は、70%以下と他の類別より低くなっています。つまり、賃金の高い管理職や専門職に就いている女性は男性より低いということです。
 管理職や専門職に就くには、どうすればよいのか。実績や知識が必要で、それを得るためには、比較的長い期間、業務に従事する必要があります。
このことは、いわゆる女性のM字カーブ(結婚、出産時の退職、就業率の低下)と関係があります。また、産後に復職した場合も時間短縮勤務を理由とされ、重要な仕事を担当できないという現実とも関係があります。
 女性としては、産後の早い復職、託児サービスの充実による通常(非時短)勤務への復帰が重要となるでしょう。

張晉芬「性別平等了嗎?男性和女性受僱者薪資差距解析 」より。
原資料は「台灣社會變遷基本調查」2012 年(六期三次)社會階層組資料。

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