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 今春、国から、人口減少や少子高齢化といった地方の課題を解決するモデルとしてデジタル田園健康特区に、岡山県の吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市が選ばれたけれど、
ここでは、特区構想の具体的な内容をみてみましょう。
加賀市は、これから増えてくるであろう、心身が弱った高齢者への対応として医療機関が患者の健康医療情報を共有する「医療版情報銀行」の構築を進めていく。フレイル(心身が弱った状態)、ロコモ(移動の機能が低下した状態)対策として、患者の同意を得た上で、関連の情報をデータベースに共有し、市内の特定医療機関がこれを利用できるようにする。
患者の健康医療情報が各医療機関に共有されることは大きな課題であるが、まず、フレイル、ロコモ対策から始めていく。
 高齢者への対応といえば、交通弱者支援が挙げられる。高齢者、免許返納者、障がい者や低所得者などの情報を、マイナンバーカードを利用して認証し、公共交通やタクシーの料金が無料や割引になるようにする。ひとり親家庭や学生、失業者もその対象とする。
 吉備中央町では、医師不足に起因する医師による救急体制下の救命処置の困難さに着目して、医師の沿革指示の下、救急救命士が行う救命処置を拡大するとしている。救急士は患者の認定、個人健康医療情報の収集を、マイナンバーを通じて行い、医師との連絡、指示の下、各種検査を行うとしている。また、マイナポータル情報と母子健康手帳の情報を組み合わせて、「子どもの健康情報の一元管理」「妊産婦健診など予防医療との混合診療」も推進していく。
 現状、規制があるものもあるが、一見する限り、困難度はそれほど高くはなさそうだ。ただ、国全体における健康医療情報の共有は、病名や手術、一部治療情報について、消極的な意見もある。フレイルやロコモ対応としながら、持病を持つ高齢者のケアに結び付くかは、素人ながら課題と考える。救急救命では、路上で意識を失った高齢者の身元特定、医療情報アクセスが難しくなることも想定される。
いずれにしても、問題はマイナンバーカードの普及ということになる。加賀市のように、8割近くの普及率をあげているところはともかく、多くは5割前後、それ以下である。マイナポイントの供与で大きく増えることが期待される。

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