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レンズ沼にようこそ〜Carl Zeiss Planar 1.4/50編

初めて自分で買った一眼レフ・カメラはCONTAX STとCarl Zeiss Planar 1.4/50、1.4/85の2本のレンズだった。時期は今から25年ほど前の1990年台半ばくらいで、現在はカメラ事業から撤退した京セラが製造販売していた 。
全くの素人が、また玄人向けな機種を。。。という感じだが、たまたま近所のカメラ屋さんに立ち寄った時、居合わせた常連らしき男性に、自分がCONTAXで撮ったという『CAR GRAPHIC』という高級外車雑誌に掲載された外車の写真を見せられながら、強力に薦められたのに押されてというか、こんないいのが撮れるんならと舞い上がってその場でローンを組んでしまった。
今考えれば、撮影用に磨き上げられたイタ車の赤いボディ曲線が美しくて、写真の自体がどうだったかはあまり覚えていない。ただ、重厚な色のり(に見えた)と柔らかい描写(これも雑誌の刷り込みによる思い込みだったかもしれない)は大変印象深く記憶に残っている。
一時は、28mm、35mm、135mm、180mmと合計6本のZeissを買い揃えたが、デジタル・カメラ、オート・フォーカスの時代になり、マニュアル・フォーカスが不便で、レンズ自体も非常に重いフィルム・カメラのCONTAXは出番が無くなり、結局Zeissレンズも35mm、50mm、85mmを残して手離してしまった。
さてその手元に残っているZeissだが、CONTAXのボディは修理不可の故障でオブジェと化しており、現在はSONY α7Ⅲにアダプターを付けて使用している。
といっても、主な私の撮影のライブ撮影やアーチスト写真では、マニュアル・フォーカスでは早い被写体を追いきれず捉えられないので、時々静物を試し撮りするくらいしか出番は無かったが、今回下北沢の街に50mmを連れて出てみた。

<作例1>

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まずはライブハウス店内に差し込む柔らかい太陽光を受けたオブジェを解放F1.4で撮影。前ボケがとても柔らかくて綺麗だ。全体的にZeissは柔らかいという印象は間違ってないと思える描写。

<作例2>

画像2

こちらは、自然光に加えてスポット照明が当たったオブジェ。解放から2段ほど絞って撮影。ちとピンが甘いが、真ん中の造花の花芯までクリアに描写している。木の棚の木目と対比して、ごちゃごちゃした花びらも立体的に見える。

<作例3>

画像3

こちらは屋外での撮影。
背景の空は白飛びしてしまっているが、看板自体はビックリするくらいクリアに描写され背景から浮き上がっている。
拡大して見ると、ペンキが塗られた木目もはっきり確認できるほどの精密な描写力はさすがZeissレンズ。柔らかいだけじゃ無い実力を再認識させてくれた。
ただ、やはり色乗りはこってりというより、淡い水彩画のような柔らかな印象だ。

 <作例4>

画像4

こちらは、現像で少しクリアかつシャープに調整してみた。壁のレンガの細かな模様、シャッターの凹凸が意図通りクリアでシャープに見て取れる。
また、建物の奥の暗部はつぶれずにしっかり再現されている。
この明から暗へのレンジの広さは、オールドレンズながらも、Zeissの実力をはっきりと感じさせてくれる。

まとめ。こうして一連の作例を見ていくと、やはりZeissレンズは全体的に「柔らかい仕上がり」という印象だ。Old Zeissの撮って出しの写真は最新レンズのカリッカリのシャープさを見慣れた目には、ちょっとふわっとし過ぎて眠たい印象すらある。
が、、、見ていて疲れない、奥深くてトゲがない印象と描写はむしろとても好きな写真だ。今度はこのレンズでのポートレート撮影をレビューしたい。

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