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英語(Claude2)で生成した小説を日本語(GPT-4)に翻訳する

前回の記事でClaude2の10万トークンの凄さが分かったかと思います。しかし、日本語で出力すると、まだChatGPTレベルの自然な日本語が出力されません。
前回の「闇の花」でも、細かい表現については、それなりに手を入れました。

それならば…トークン数の多いClaude2で物語を生成してもらい、ChatGPTで書き直してもらえば良いのでは!?
という発想に至りました。せっかく実験するならお互い最高の能力での実験を行いたいと考え、以下のような手順としました。

  1. Claude2の10万トークンを活かすために、消費トークン数が少ない英語で物語を生成してもらう

  2. ChatGPTのGPT-3でも英語の直訳レベルは問題ないが、より自然な日本語の文章に書き直してもらう事を想定し、GPT-4を利用する

つまり、お互い、得意分野を活かしてもらう感じですね!
試してみましたが…まず、思ったのが…

「このレベルの翻訳が出来るなら、翻訳家の仕事が無なくなってしまうのでは!?」

という感想を得ました。極端な事を言えば、電子データで最新の外国の小説を入手出来るなら…

「英語の小説が発売日の当日に日本語で読める!」

というレベルです。これ、翻訳ソフト使えば出来るように感じますけど、実は小説においてはかなり難しいと感じます。Claude2で生成した英語の文章を翻訳ソフトで翻訳した例を挙げましょう…

疲れ果てたが解放され、彼は堂々と立っていた。ツクヨミは誇らしげに彼を観察した。「よくやった。あなたはその裁判に合格しました。
「今のところ」と清一郎は厳しく答えた。「しかし、私たちは力を使い果たしています。」
ツクヨミの表情は厳粛になった。それなら、ソースに直接直面する以外に選択肢はありません。
セイイチローは自分を鍛えてうなずいた。最後の清算は、この島の中心部で彼らを待っていました - そして、失敗は選択肢ではありませんでした。


「何が言いたいか分からなくて、全く頭に入ってきません!」

つまり、英語ならではの細かい言い回しがあり、意味を理解した後に、翻訳家が自分で考えて、自分の言葉で書かないと読者には伝わらないからです。でも…

「ChatGPTなら翻訳家とほぼ同じ事が出来る!」

と感じました。プロンプトさえ自分好みにカスタマイズしておけば…例えば好きな作家の文体を学習しているモデルであれば、その作家の文体で翻訳してくれます。さらに、トークン数が多いモデルを利用すれば、今まで翻訳したストーリーを前提にして続きの翻訳が可能になります。これは、1から物語を生成するより簡単な作業に感じます。

プロンプトを頑張れば、翻訳と同時に「小学生でも読めるように、難解な漢字や表現を使わず、易しいく分かりやすい文章にする」なんてことも可能そうです。

では、肝心のClaude2で生成した英語小説の内容はどうでしょう?
これは実際に読んでいただくとして、何となく外国人の好みに合わせた物語が生成された気がします。

英語を使うとトークン数が稼げる、英語の学習データの方が多いから、より良い答えが返ってくる…という以上の差異がある気がします。
もう少し検証が必要ですが、ひょっとしたら…エンターテイメントにおいては「英語で入力した方が良いものが生成される」というのは一概に言えないのかもしれません。

あと、英語で物語を生成する問題点としては…

「英語が読めないと、物語がトンデモナイ方向に進んでいったとしても、翻訳するまでは気付けない!」

…というところです。
これ、今回発生しました。翻訳ソフトを利用しても、前述の例のようにイマイチ理解できないので、とりあえず先に物語の最後の方まで生成し、後で一気に翻訳しました。翻訳された物語を読んでいくと、途中から…

「道徳の教科書」みたいな話が行き着く所まで行ききった!

…ような、ヤバい話になっていました。生成途中の物語を全く読んでいませんので、Claude2さんに好き放題やられましたね…
ライトノベルなのに非常に重くて気分が下がる話になってしまったので、流石にこれを皆に見せれないです。ですので、有料エリアに隠しておきます。どうしても気になる方は自己責任でそちらを読んでいただければと思います。

なお、差異が分かりやすいように、以前に生成した「孤島のサーカス」と同じような話の生成をお願いしました。

今回は生成したものに対して手を加えていません。唯一の例外は、Claude2が生成した物語は説明もなく突然始まるので、導入部のみGPT-4に生成をお願いしました。そこについても、生成物を貼り付けているだけとなります。

そんなこんなで、生成された物語をどうぞ!

孤島のサーカス


原作:Claude2
翻訳:GPT-4
挿絵:DALL-E3

月詠、誠一郎、美冬、紫苑

高校の卒業が近づいていたある日、誠一郎、美冬、紫苑は、日本の海岸沿いで過ごしていた。海が穏やかに波を立て、夕日が水面に反射する美しい光景が広がっていた。

「海はやっぱり最高ですわ。」美冬は幸せそうに言った。

誠一郎は眼鏡をかけ直しながら言った。「確かに、この瞬間は平和だ。しかし、海は不可解な力も秘めている。」

「せやな、誠一郎。お前もたまには楽しもうや!」紫苑は大阪弁で元気よく返した。

突如、天候が急変し、暗雲が空を覆い始めた。三人は何が起きているのか理解できないまま、近くに係留されていたヨットに駆け込んだ。

「これは予想外の事態だ。船に乗って待ちましょう。」誠一郎は冷静に指示した。

ところが、海は急に荒れ始め、強風と大波がヨットを揺さぶった。美冬は恐怖で声をあげた。「どうなっているのですか、これは!」

「何が起きてるんだこれは!?」誠一郎が急に叫び始めた。海の怒りが船を揺すり、強風が彼らを押しつぶすかのようだった。

「わ、わかりませんわ!でも怖いですわ!」美冬はパニックで手を振り乱し、船内でバランスを崩した。

「こらえて、美冬さん!紫苑、何か手はないのか?」誠一郎は声を張り上げた。

「そんなもんわからへん!どうにかなるんかこれ!」紫苑も明らかにパニックに陥っていた。

突如、巨大な波がヨットに衝突し、三人は海へと放り出された。空気が抜けるような恐怖と冷たい海水に包まれ、誠一郎は「これで終わりなのか?」とただただ怖くて仕方がなかった。

暗闇が全てを覆い、次に目を覚ましたとき、彼らは見知らぬ砂浜に倒れていた。波が穏やかに足元を撫でているのとは裏腹に、その心は荒れ狂っていた。

「ここはどこだ?何でこんなことに…」誠一郎は頭を抱えた。美冬と紫苑も同様に混乱と不安でいっぱいだった。

梓澤 誠一郎
(あずささわ せいいちろう)

太陽の熱線が砂浜を走る少年少女たちに容赦なく照りつける。梓澤誠一郎は一息つき、汗で体に張り付く学ランを気にしながら額の汗を拭った。

「この暑さ、もう限界ですわ」と、雷音美冬は頭から垂れる汗をかき上げて苦しそうに言った。華奢な彼女は力強さを装っていたが、厳しい状況に悩んでいるのは明らかだった。

花園紫苑は少し先を歩いていて、何も感じていないかのようだった。「さっさと行かなアカンで。この島にはどっかに水があるはずやからな。」

「確かにそうだ」と誠一郎は頷いた。彼だけが何らかのサバイバルスキルを持っていたので、他の二人を守る責任を感じていた。

その時、前方の木々がざわめいた。誠一郎は美冬と紫苑を守る用意をする。すると、その白い着物が島の厳しい環境に全く影響されていないかのような人物が現れた。

「ようこそ、我が領域へ。月詠と申します、この場所の守護者です」と彼は優雅に一礼した。

三人は困惑した顔を見せた。この無人島で他に誰かいるとは思っていなかった。

「さあ、私に続いてください。水と食糧がある場所へご案内します」と月詠は森へと消えていく。

水への渇望が勝り、三人は慎重に彼に続いた。月詠が曲がりくねったジャングルの小道を案内してくれる。 やがて、彼らは滝から流れる清らかな池に辿り着いた。美冬はすぐに水を顔に掛けた。

「こんなに冷たくて透き通っているんですわ!」 誠一郎は不可解なガイドをじっと見つめた。一体、何でこの島に一人でいるのだろう。そして、何故彼らを助けるのか。その端正な顔立ちは優しそうだが、その黄金色の瞳には何か隠しているような気がした。

水を補給した後、月詠に続き続けた。ついには、美しい結晶で飾られた洞窟に着いた。そこには柔らかいマットと果物のかごが点在していた。

「こちらでお休みください。食事を用意して参ります」と月詠は素早く洞窟を出た。

「このおっちゃん、何かの森の魔法使いやろな!」紫苑は笑いながらマンゴーにかぶりついた。

美冬も笑った。「とても神秘的でかっこいいですわ。どんな人なのでしょう」

誠一郎は黙っていた。この状況全体が奇妙に感じられ、月詠には何か裏があるような気がしてならなかった…

月詠
(つくよみ)

その後、月詠が島の食材から作った多種多様な料理を持ってきた。疲れ果てていた彼らは疑いを一旦置き、食べ続けた。

「よく休んでください。明日、また話しましょう」と夜が更けると、月詠は更に奥の寝床に案内した。

誠一郎だけが目を覚ましたままでいた。何かが頭の中で騒いでおり、眠れない。洞窟の天井のきらめきを見上げ、月詠に何か…非人間的なものを感じた。 そっとマットから立ち上がり、洞窟をさらに奥へと進む。月詠の個室を見つければ、この謎めいたホストの秘密が解けるかもしれないと思った。

曲がりくねったトンネルの最後には装飾された木製の扉があった。誠一郎は一瞬だけためらい、扉をゆっくりと開けた。 彼の目は驚きで見開かれた。中には、燭台の灯に照らされた月詠がいた。しかし、以前見た顔ではない。骨のように白い肌に漆黒の髪、彼は装飾された仮面をかぶり、何も音を立てずに瞑想していた。 誠一郎が反応する前に、月詠の声が静かながらも確かな口調で響いた。

「いるのは知っていたよ、誠一郎。入って来い、話すべきことがあるから」

誠一郎は驚きで動きを止めた。しかし、月詠の穏やかな招きには拒めなかった。ゆっくりとろうそくで照らされた部屋に入った。

「怖がらないで。今の私が本当の姿です」と月詠は仮面の裏から声を発した。

誠一郎は呆然とした。「本当の姿って?」

「そうです。私は人間ではなく、この島に縛られた精霊です。この場所を守るのが私の使命です」と月詠は頷いた。

誠一郎の頭は混乱し、数々の疑問が湧き上がった。

「どうぞ、座って」と月詠は目の前のマットを指さした。「私の話を聞いてください。」

不安そうに誠一郎はマットに座ったが、その奇怪な姿から目を離さなかった。

月詠は身体を正して言った。「数世紀前、私は竜之介という名の人間でした。何かを求めてこの島に来たのですが、迷い込んで大きな悪を解き放ちました。」

「悪い精霊を解き放ったのですか?」と誠一郎が聞いた。

月詠は頷いた。「そうです。それはこの場所に封じて、外界に害を及ぼさないようにしています。あなたたちが来た時、私は人間の姿で皆さんを安全に導きました。しかし、これが...」と彼はその仮面に手を当てた、「現在の私の顔です。」

誠一郎の脈は速まり、一つ一つがつながった。暗い精霊...それが月詠が言っていたことだ。

「この悪をここで封じて、世界を守っているんですか?」

「はい、それが私の贖罪です」と月詠の声には悲しみがちりばめられていた。

誠一郎は紫苑と美冬が通路の先で、この島にひそむ危険を知らずに寝ていることを思った。寒気が彼を覆った。

その時、遠くの洞窟の奥から遠くなる轟音が聞こえ、ろうそくの炎が揺れた。月詠はすぐに立ち上がった。

「動き出した。君たちのところに戻るべきだ」と彼は力強く言った。「何か起こる前に話しましょう。」

しかし、誠一郎は躊躇した。「ここにいることで、それが悪化しているんじゃないですか?」

「心配しないで。今は君たちを守ることが私の使命です」と月詠は白い手を誠一郎の肩に置いた。

しぶしぶ、誠一郎はドアに向かった。しかし、去る前にもう一度、その仮面の裏の悲しげで非人間的な瞳を見つめた。

「竜之介、話してくれてありがとう」と彼は言った。

それで、彼は戻ってきた、目の前のすべてに頭がいっぱいだった。寝室に静かにマットに座り、友達を見つめながら轟音が静まりかえっていった。後で彼が学んだことを共有する時間があるだろうが、今は休息が必要だった。

眠りについてしまうと、誠一郎の考えは竜之介の悲劇的な話に囚われた。今、彼はその案内人の美しい仮面の裏に隠された真実を知っていた。しかし、この島の奥深くにはまだ暗い秘密が渦巻いていた。彼らは本当に何に立ち向かうためにここに連れて来られたのか?

梓澤誠一郎は朝日が洞窟に差し込む中で目を覚ました。雷音美冬と花園紫苑はまだ熟睡していた。彼はため息をつきながら起き上がり、複雑なトンネルを進んで行った。月詠――いや、竜之介と再び話さねばならない。

屋外の眩しい太陽の下で、月詠は平穏な表情でヤシの木の下に座っていた。昨夜の激動はすっかり消え、彼の美しい顔に影はなかった。誠一郎が近づくと、その金色の瞳が古代の悲しみを湛えて目を開いた。

「闇の精霊は一時的に封じ込められています」と月詠が先に言った。「だが、警戒は怠れない。」

「分かった。竜之介、まだ聞きたいことがいくつかある。この島について、ここにいる理由について…」

月詠の瞳は遠くを見つめた。「理解した。できることはお話ししよう」と彼は言い、どこから始めるべきか迷いながら一瞬停止した。

「昔、私が竜之介という人間だったころ、この島に暗い執念で訪れました。精霊界の奥深い秘密を解明したくて、この島の古代遺跡で答えが見つかると信じていました。」

「しかし、私は愚かでした。試みた儀式が何か悪しきものを解き放ち、私の魂までを飲み込んでしまった。私の肉体は朽ち果て、生と死の中間のような存在になった。」

誠一郎は真剣に月詠の話に耳を傾けた。月詠は続けた。「今、私の精霊はここに縛り付けられ、解き放った悪を封じ込めています。この場所を去ることはできません。」

「その仮面は?」誠一郎が尋ねた。

月詠の顔に悲しみが浮かんだ。「それは必要な警戒です。私の真の姿を直視すると、私の内部に棲む暗黒エネルギーの全力を感じることになります。この仮面はその影響から他者を保護するのです。」

誠一郎は考え込んだ。「だから、私たちはその悪霊のせいでここにいるんですか?」

「はい。それは常に魂を求めて呼びかけています。」月詠は誠一郎の瞳と合わせた。「同じものは同じものを呼ぶ。それがあなたたちをここに引き寄せたのは、あなたたちの魂がその暗闇に何らかの共鳴を示しているからです。」

誠一郎はその言葉に冷たい戦慄を感じた。どういう意味なのか? 自分の中にも悪が存在するのか?

月詠は彼の不安を察知して優しく語りかけた。「私が理解してきたように、暗闇への潜在能力はすべての魂に存在します。しかし、大切なのはどちらを育むかです。」

誠一郎は何も言わず、考えにふけった。この島は何らかの形で彼らを試し、内部にひそむ影と対峙させていた。

「これからどうするんですか? この悪を永遠に止める方法はありますか?」

月詠は悲しそうに微笑んだ。「まだわからない。でも、一緒に方法を見つけよう。」

雷音 美冬
(らいおん みふゆ)

朝日が高く昇る中、誠一郎はこの新たな負担の重さを感じた。しかし、月詠の言葉は彼の中で響いた。明と暗はすべての魂に宿る。この島は、彼らがどちらを育むかを明らかにするだろう。

誠一郎がこの新たな事実を消化していると、背後で足跡の音がした。振り返ると、髪が乱れたままで洞窟から出てきた美冬がいた。

「やっと見つけたわ!」彼女は欠伸をかみ殺しながら言った。「なぜ私たちに何も言わずに出て行ったのですか?」

誠一郎が反応する前に、次いで紫苑が出てきた。彼女は腕を伸ばしながら、「まじで、一人でどっか行くなっていうんやで」と言った。

誠一郎はためらった。この島の秘密について、彼はどれだけ彼女たちに話すべきなのか。でも、真実を知る権利が彼女たちにもある。

「知っておくべきことがある」と誠一郎はゆっくりと始めた。「この場所と、月詠について。」

美冬の琥珀色の瞳が好奇心で広がった。砂に座って、誠一郎と謎の案内人との間を覗き込んだ。

月詠は誠一郎に小さく頷いた。「彼女たちに知るべきことを話していい。ただ、私の真の名前は言わないでください。」

誠一郎は頷きながら了解した。月詠がかつての人間であることを知ったら、案内人としての権威が失墜するだろう。

「昨夜、この島には心の中に闇の力があることを知った」と彼は重々しく言った。「月詠が封じ込めている悪霊がここにいる。それが私たちを呼び寄せたんだ。」

美冬はギョッとして、手を口に当てた。紫苑のふざけた笑顔も消え、珍しく不安そうな表情に変わった。

「悪霊って、マジで?」紫苑は警戒しながら周囲を見回った。まるで、怪物が飛び出してくるかのようだ。

月詠は安堵させるような口調で言った。「恐れることはない。私の守護の下にある。」しかし、その目は真剣にこの脅威を受け取るよう警告していた。

「それで、私たちはどうするのですか?」美冬が不安そうに尋ねた。「なぜ私たちなの?このものと戦う必要がありますか?」

「まだ、あなたたちに何が求められるのかは分からない」と月詠は答えた。「でも、この島が自分自身について明らかにするものには、心を開いて向き合わなければならない。」

誠一郎は、この新たな重荷が友達の肩にのしかかるのを見た。しかし、彼女たちは一層警戒心を強くし、集中しているようだった。

「よーし、もう時間の無駄はしないぞ」と紫苑が堅く言った。「一緒にいて、何でもやり遂げよう。」

美冬は頷いた、普段の小心さが決意に取って代わった。「私たちはできます。何があっても助け合いましょう!」

誠一郎は感謝の笑顔を彼女たちに送った。団結し、警戒を怠らない彼女たちは、次に何が起ころうとも向き合う用意ができていた。しかし、心の奥底では、この島が彼らの魂の中にどのような闇を呼び起こすのか、まだ恐れていた。

花園 紫苑
(はなぞの しおん)

次の数日間、月詠(つくよみ)の指導の下、三人は不穏な日々を過ごした。彼は食料と水を見つける一方で、島を探索して邪悪な存在についての手がかりを探したが、何も見つからなかった。 しかし、不穏な雰囲気は依然として残っていた。夜には、洞窟の奥から奇妙な囁きがよく聞こえた。月詠は、彼の個室で何かの対策を準備していた。

ある午後、梓澤誠一郎(せいいちろう)は花園紫苑(しおん)が一人で密林に消えるのに気付いた。そっと後を追い、距離を保ちながら様子を見た。紫苑が即席の斧で木や葉を激しく切りつける姿に、誠一郎は驚いた。

「紫苑、何をしているんだ?」誠一郎は一歩前に出て問いただした。

「あ、誠一郎か。ただ、気晴らしをしてただけだよ」と紫苑は言ったが、その目は乱れていた。

「お前らしくない。この場所か、暗黒の霊魂(れいこん)が影響しているのか?」誠一郎は眉をひそめた。

「わからん。急に怒りが湧き上がって、何かを壊さないといけないような気がしたんや」と紫苑は答えた。

「これが月詠が警告していたことだ。自制心を保たなければならない」と誠一郎は断固として言った。

紫苑は頭をかきながらうなづいた。「確かに。この何かがしようとしていることに、俺は負けられない。この島、ちょっとおかしくさせるんだろうな」

誠一郎は厳しい顔でうなづいた。すでに、それは彼らの内面の闇を引き出し始めていた。どれほど耐えられるかは不明だった。

その後の数日で、気になる変化が彼らに現れた。雷音美冬(みふゆ)は引っ込み思案で偏執的になり、誠一郎自身も不安と絶望の波に苦しんだ。次第に邪悪な存在が力を増していることが明らかになった。

ある晩、洞窟の奥で危険なレベルに悪の存在が高まっているのを感じ取った月詠は、彼らを呼び寄せた。

「絶望的な行動を起こす時が来ました。この島の心、悪の源へ向かわなければなりません。それが唯一の方法です」と月詠は宣言した。

不安が誠一郎を包んだ。この急速に広がる狂気の源と対峙する準備はできているのか?しかし、選択肢はなかった。

危険な試練に備える中で、誠一郎は彼らが暗黒に飲み込まれることに対抗する力を持っていることを祈った。邪悪な霊魂の時間が迫っていた。

次第に重くなる空気の中、月詠が誠一郎、美冬、紫苑を深く、未探索の洞窟へと案内した。結晶の壁が発する不気味な光で、彼らの張り詰めた表情が照らされた。これがその島の闇の中心だ。

「集中しろ」と月詠は厳しく言った。「その影響に負けるな」

だが誠一郎は、その狂気への影響が強くなっているのを感じた。前方の影からはささやきや歪んだ笑い、悲鳴が響いていた。その呼び声に引かれて、美冬は夢遊病者のように前へ進んだ。

「美冬、止まれ!」誠一郎が叫んだ。だが彼が美冬に届く前に、彼女は魂を震わせるような悲鳴を上げた。

洞窟の深みから大量のねっとりとした闇が現れ、彼女を取り囲んだ。誠一郎の恐怖で、その闇は美冬の口元に流れ込み、彼女は不自然に身体をよじりながら倒れた。

「彼女を乗っ取った!」月詠が叫んだ。「急いで彼女を拘束しろ!」

彼らは力を合わせて、悪霊にとりつかれている美冬を押さえつけた。彼女の顔は狂気の表情へと変貌し、血管が浮き出てきた。彼女は怪物のような声で呪詰を吐いた。

「離して…くれ!」悪霊が彼女を通して叫んだ。急に力が増して、彼らを振り払い、美冬は闇の中に消えた。

「いや、彼女を助けなきゃ!」紫苑が足を踏み出したが、月詠がしっかりとした手で彼を止めた。

「危険だ。何らかの希望を持つためにも、冷静でなければならない」

誠一郎の心臓が激しく鼓動した。友達に何が起こっているのだろうか。「彼女を傷つけずに、それを追い出す方法があるはずだ!」

「彼女を再度拘束できれば、その本質を祓うかもしれない」と月詠が言った。「だが急がなければならない」

緊張した頷きを交わし、彼らは前方で響く美冬の不気味な笑い声を追いました。ようやく彼女が見えたとき、誠一郎は息をのんだ。美冬の背中から今は影のような翼が生えていた。

「彼女に…何が起きてるんだ?」紫苑が叫んだ。

「悪がその器と一体化している」と月詠が警告した。「早く捕まえろ!」

彼らは突進したが、翼を一回もたせた美冬は飛び上がり、彼らの手を逃れた。彼女は広い洞窟の中を狂気に満ちた笑い声で飛び上がり、新しく得た力に酔いしれていた。

友達が上空で悪魔へと変貌するのを見つめながら、誠一郎は自分自身を奮い立たせた。美冬の何かがまだ残っているうちに、彼女を落とさなければならない。

誠一郎の心は美冬のねじれた笑いが洞窟に響く中で駆け巡った。今、どうやって彼女を制御することができるだろうか?しかし、彼女のために試みなければならない。

「彼女の翼を制御する。その時には、掴む準備をしておいてくれ」と、彼は紫苑と月詠に告げた。

深呼吸をして、彼は疾走を始めた。頭上で不規則に飛び回る美冬の動きを目で追いながら。タイミングが完璧でなければならない。

彼のすぐそばを美冬が急降下した瞬間、誠一郎は飛びついた。ちょうど、その闇の羽をつかむことができた。その余分な重みで、美冬は渦を巻いて下降した。

「今だ、急げ!」と誠一郎は叫び、二人は共に落下した。

紫苑と月詠は彼らの落下を和らげるために駆けつけた。素早く動いて、美冬の手足を固定した。彼女の目は狂気に満ち、誠一郎の制御から逃れようともがいた。墨色の触手が彼女の肌の下でうごめいた。

月詠は美冬の額に手のひらを当て、エネルギーに集中するかのように目を閉じた。「しっかりと彼女を押さえつけろ」と命じた。

ゆっくりと、美冬のもがきは弱まり、表情は怒りから困惑へ、そして苦悩へと変わった。闇が彼女の体から波立ち、後退した。 悲痛な泣き声とともに、彼女は力を失った。誠一郎はその不浄な翼を放し、それが溶けて消えた。

「美…美冬?」と紫苑は優しく言った。 彼女の琥珀色の目が開き、ようやくはっきりと認識できるようになった。涙が彼女の頬を伝い落ちた。 「ごめんなさい…私、抵抗できなくて…」と彼女は詰まらせた。 「謝ることはない。とりあえず、それは去った」と月詠は彼女を安心させた。

彼らは美冬が不安定な足で立てるように助けた。誠一郎はこの悪夢のような場所から逃げ出すことしか考えていなかったが、月詠の顔は厳かだった。 「この島に対するその影響力は、ますます強くなっている。まだ去るわけにはいかない」

誠一郎は震えた。もし月詠でさえこの邪悪を完全に追い払うことができないのなら、希望はあるのだろうか? しかし、疲れ切った仲間たちを見回して、彼は決意の閃きを感じた。彼らの光は美冬の魂に漂う闇を打ち破った。次にこの邪悪が投げかけてくるものが何であれ、彼らは準備ができている。 彼らの試練は、これからが本番だった。

誠一郎たちは、月詠の光の玉に導かれて、さらに洞窟の奥へと進んだ。過酷な試練が彼らを今まで以上に団結させていた。

歩きながら、誠一郎は美冬の近くに移動した。「大丈夫か?」

彼女は勇敢な笑顔を見せたが、その目には残るトラウマが感じられた。「大丈夫ですわ。ただ、それに取り込まれたときは、とても冷たくて空虚でした。まるで心の中の光が全部吸い取られたようでした。」

誠一郎は彼女の手を優しく握った。「君の光はまだ明るく照らしている。それを保証するよ。」

美冬は頷いたが、顔には不安が漂っていた。誠一郎は彼女の無言の疑念を理解していた-その邪悪が本当に彼らから手を引くだろうか?しかし、彼は自分自身の疑念を抑え、強くあろうと決意した。

先頭で、月詠が立ち止まった。手のひらの玉が不規則に明滅した。「この辺りでその力が強く流れている。警戒して進もう。」

彼らは用心深く、広大な前室に入った。壁には奇怪な影が舞い、かすかな囁きがあちこちで響いていた。不可視の目が彼らの全ての動きを監視しているような、重苦しい雰囲気が漂っていた。

そして、突然全ての光が消えた。月詠の光さえも。彼らは集まって盲目状態になった。

寒々とした声が暗闇から這い出た。「あんなに繊細な絆を分かち合って…どれだけ簡単に切れるか。」

何の前触れもなく、誠一郎は不可視の力によって他の者たちから引き裂かれた。彼は暗闇に激しく投げ飛ばされると叫び、他の人々のあわてた声がしばらく響いた後、不気味に消えていった。

ゆっくりと彼の目は適応してきた。今、彼は小さな側室に一人だった。警戒しながら、彼は声をかけた。「月詠、紫苑、美冬、いるか?」

返事はなかった。しかし、彼はそれが存在していて、自分を孤立させていることを感じることができた。

「何が欲しいんだ?」彼は暗闇に向かって叫んだ。

邪悪な笑い声が周囲で響き渡った。「お前の目を開かせることだ、子どもよ…手に入れられる力を見せてやる。」

誠一郎の首の後ろの毛が立った。彼の手には不思議なエネルギーが脈打ち始めた。驚いて、手が輝き始め、洞窟の壁に対して長く、ねじれた影を投げかけた。

エンティティの声が彼の心に満ちた。「うむ…それを受け入れろ…」

誠一郎の胸が締め付けられた。これが美冬を堕落させたものだ-彼はその誘惑に抵抗しなければならない!しかし、今彼の血管を通って流れる未加工の力は魅力的に呼びかけてきた。

こんな力を持って、彼は何ができるのか?

誠一郎は自分を流れるエネルギーの魅力に抗い、拳を固く握った。「俺は…屈しない!お前の闇で俺を呑み込ませない!」

その存在の荒々しい笑い声が響き渡った。「でも、お前はもう俺のもの…」

誠一郎が反応する前に、墨色の触手が地面から突き出て、彼の手足、そして首にまとわりつき、彼を麻痺させた。緊縛されたまま無力にもがいた。

影のような触手が、彼の光る手を持ち上げ、洞窟の天井に穴を開けるエネルギーを放った。塵と破片が降り注ぐ中、狂気じみた笑いが鳴り響いた。

「さあ、力を増していけ!」とその霊がけしかけた。

誠一郎はやむなく爆発が激しくなっていくのを感じた。必死に抵抗したが、今はただの人形でしかなかった。この悪しき力が糸を引いている。

「月詠!」と彼は絶望的に呼びかけた。「助け…て!」

突然、洞窟が眩しい閃光で照らされ、触手が非人間的な悲鳴を上げながら引っ込んで、誠一郎を解放した。月詠が彼のそばに駆け寄り、弱った少年の体を支えた。

「お前に対するその掌握はまだ完全ではない」と月詠は急に語った。「お前自身の精神を取り戻さなければならない!」

誠一郎は震えながらもしっかりと立ち上がった。深呼吸をして、意志を内に集中させ、内部で暴れる暗黒のエネルギーに抗い、ゆっくりと押し下げた。手の中の光が揺らいで消えた。

疲れ果てたが解放された彼は堂々と立った。月詠は彼を誇らしげに観察した。「よくやった。お前はその試練を乗り越えた。」

「今のところはね」と誠一郎は厳かに返した。「でも力が尽きかけている。」

月詠の表情が厳しくなった。「それならもう、直接その源に立ち向かうしか選択肢はない。」

誠一郎は自分を奮い立たせ、頷いた。この島の暗黒の心で一つの最後の決着が待ち受けている――そして失敗するわけにはいかない。

美冬と紫苑も一時的にその存在の手を逃れていた。だが彼らの過酷な旅は終わりに近づいていた。ここで一度きり、住む悪と対決する時が来た。

誠一郎を先頭に、勇敢な魂たちは深淵の核へと進み出た。光と闇が、最後の決戦の場で衝突した。

深く、暗い洞窟へと降りていくと、空気は不吉な重さで充満していた。これが終わりの地、彼らを操り苦しめていた存在の住処だった。

ついに、彼らは幽玄な光で闇水が輝く広大な地下湖へと出た。その中心には黒曜石の小島が浮かんでいた。邪悪なる者の聖域が目の前に広がっていた。

言葉を交わさず、まるで期待されているかのように湖岸に残されたいかだに乗り込んだ。月詠は先頭に立ち、杖を手に、この最後の試練を導く準備をしていた。今は後戻りはできない。

不気味なほど静かな湖を渡ると、洞窟が揺れ、何か見えない力によって天井から砂利が落ちてきた。美冬は誠一郎の腕を恐れて掴んだ。

「もう、この場所は奴のテリトリーだ」月詠は言った。「我々が来るのを知っている」

小島に到着し、病気を感じさせる緑色の光が発生する洞窟の口に向かって進んだ。誠一郎は、悪が窒息させるような重みとして押し寄せるたびに、全力で前に進むことができた。

遂に、彼らはその内部へ入った。有機的な脈動する物質と不気味な文字で形成された歪んだ部屋だった。悪しき霊的エネルギーに彼らはほとんどひざまずかされそうだった。

影からその存在が這い出てきた。無定形の黒い塊となり、数えきれない腕が飢えたように伸びてきた。「俺たちを壊しにきたのか?追い出すつもりか?」と、その嘲笑い声が頭の中で響いた。「だが、お前たちの魂こそ、私の台頭を養う!」

月詠は一歩前に出て、保護する光で輝いた。「この場所からお前の影響を絶つために来た!」杖を振って、存在を後退させた。

それは後ずさりし、怒って叫んだ。「それならば、全ての者が消滅せよ!」

暗黒のエネルギーが炸裂した。月詠のバリアが攻撃の矢面を受けたが、それでも彼らは激しく吹き飛ばされた。

ゆっくりと立ち上がり、月詠だけではこれを止められないことを知った。勝つためには、全員で立ち向かわなければならない。

悪は再び襲い掛かり、彼らの心と体を押しつぶそうとした。しかし今度は、彼らは一丸となって揺るぎなく立ち、その憎悪が岩に打ちつける波のように割れるのを見た。

団結して、彼らは押し返し始めた。闇を光で削っていった。存在は、断続的な浄化の力に苦しみ、悔しがりながらももがいていた。

遂に、それは死の叫びを上げ、その形は霧に解けた。衝撃波が広がり、彼らを足元から吹き飛ばそうとした。しかし、彼らは最後まで耐え抜いた…そして静寂が訪れた。

息を切らしながらも、彼らはそれを強く感じた—邪悪は追い払われた。光が勝利した。

物の怪が倒れた後、洞窟には一面の静けさが広がった。誠一郎、美冬、紫苑は疲れ果てながらも、安堵の笑顔を交わした。ついに、全てが終わった。

月詠が前に進み出て、残された闇を見つめた。「ここでのその力は解かれた。しかし、このような邪悪は完全には死なない。」彼はみんなに顔を向けた。「おかげで、この島はその支配から解放された。」

美冬が嬉しそうな笑いを零した。「本当にやり遂げたんですわ!」

紫苑も笑顔を抑えきれなかった。「まぁ、生き残れるかどうか、ホンマにわからんかったわ。」

誠一郎は月詠の視線に応えた。「それで、あなたは? その霊がいなくなったからと言って、ここに縛られるままですか?」

月詠の目に悲しみがちらついた。「私の罰はまだ残っている。でも、いつか許される日が来るかもしれない。」

地上に戻ると、彼らを包むのはカタルシスの空気だった。太陽がこれほど歓迎されることはなかった。

数々の試練を経て、誠一郎は深く変わった。みんなもそうだった。もはや彼らは無垢な若者ではなかった。闇の中で、その光は試され、そして真実が証明された。

その後の日々で、月詠は島のバランスを回復する作業に取り組んだ。依然としてこの場所に縛られているものの、邪悪が去ったことで、その不死の職務も少しは悲痛でなくなった。

誠一郎、美冬、紫苑が去るときが来たら、月詠は未来への祝福とともに彼らを見送った。

「ここで学んだことを忘れないでください。」彼は言った。「心の中の光は、どんな闇よりも強い。」

月詠が用意したいかだに乗り、晴れやかな空の下で出発した。島が遠ざかるにつれ、誠一郎はそれに最後の愛おしい微笑みを送った。

その場所での時間は、決して忘れられない。今、彼らの中には重要な教訓が刻まれていた。すべての魂の中にひそむ闇について、でも、その闇を救う光についても、ただそれを育むだけで。

一緒に、輝く地平線に向かって航海した。心は高揚し、闇に対する勝利で永遠に変わった人生。真の旅は、これから始まるばかりだった。

(おしまい)

あとがき

どうだったでしょうか?
実験としては面白かったですが、小説が面白かったかというと…なかなか難しい評価になりますね。
ただ、翻訳ソフトでは全く理解出来なかった英語の小説が、完璧ではないにしろ、ここまで読ませてくれるなら充分かもしれません。

本当はこの物語に続きがあるのですが、非常に寂しい気持ちになるので読まない方が良いかもしれません。

プロンプトその他

有料部分の内容は下記になります。

  1. 「星の約束」「闇の花」のClaude2のプロンプト

  2. 「孤島のサーカス」のClaude2のプロンプト

  3. 「孤島のサーカス」の翻訳のChatGPT-4のプロンプト

  4. 「孤島のサーカス」の後日談

  5. ボツイラスト集いろいろ

  6. 英語版の「孤島のサーカス」

実際に入力して遊んでみたい!という方以外は、前回のようなプロンプトの説明まではしていませんので、読み物としてはそこまで面白くは無いかもしれません。

まぁ気になる方は、ふらっと地下鉄でお出かけする交通費ぐらいの感覚でどうぞ。

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