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稚児行列に参加した話

我が家の幼獣(1歳8ヶ月。ヒト科のオスだが中身は柴犬。発語は少ないも喃語は激しい。最近音楽に合わせて踊る)が通う保育園はバリバリの仏教系の保育園である。先日遅めの花まつりが開催されていた。

母である自分もルーツがお寺関係ということもあり、仏教系の園行事にさほど面食らうこともなく、やっぱりキリスト系行事はないのだなーと思うくらいである。
ちなみに幼獣のお友達のお母さんは、バリバリの仏教系行事にちょっとびっくりしたという。花まつりとか報恩講とか。
そういえば夫も「何それ!?」みたいな感じなので、園選びはそのへんも考慮したほうが良いのだなとしみじみ思った次第。宗教系保育園を検討中の方は特に。宗派とかも。

幼獣の保育園の隣に、わりと大きい寺院があり、そこの住職が園長だ。時々袈裟姿で園の廊下を歩いている。

その寺院で落慶法要が営まれるということで、5月の中旬に稚児行列の案内がきた。
かくいう自分も子供の頃、祖父が門徒総代をしていた時に稚児になった。お祝いごとということで家からは1〜5歳児総勢5名が稚児に上がったのだが、着物の着付けは家で行うので親族総出の大騒ぎになっていたのをなんとなく覚えている。
ちなみに稚児メンバーの内訳は最年長の又従姉(年長児)を筆頭に、同学年の自分、一学年下の従弟・又従弟、最年少の実妹(1歳11ヶ月)である。又従姉弟は実母の母方の従姉妹の子(祖母の妹の孫)なのだが、稚児行列に出る機会がないので是非!と参加することになったらしい。

幼獣に着物と烏帽子って難易度高くない?と実母や職場のマダム達(利用者)に相談してみたところ、皆一様に『稚児に上げる機会なんて寺に関わりがなければそうそう無いんだから出しなさいな!』と薦められた。

ということで、幼獣は参加の運びとなった。

懸念としては幼獣の体調と当日の天気である。
懸念通りというか予想通り前の週に幼獣は気管支炎でしばらく発熱していたが、当日は体調も回復した。
当日の天気は曇り。ジメジメとした梅雨の気候だったが雨模様ではなかった。

当日、当初の想定以上の稚児の申し込みがあったらしく着付けの待ち時間を減らすために受付時間はいくつかの時間帯に分けられていた。幼獣は一番最後の枠だった。

集合場所は幼獣の通う保育園だ。そこで着付けをして園庭から稚児行列を行った。

さて、当日の幼獣の衣装はレンタルできるとはいえ問題は親である。何を着ていけば良いのか。
父親はスーツでいいものの、母親は紋付か留袖がセオリーである。しかし、季節は梅雨でクソ暑い。そして警戒心強めの柴犬な幼獣は多分ビビり倒して抱っこ星人になることは容易に想像がつく。
そうなると着物はちょっと無理があるということで実妹の結婚式で着用したパンツドレスを選択した。

園に到着した幼獣は、いつも以上に人がいる状況に『コンディションレッド発令!』という感じで案の定自分にしがみついて離れなかった。オーケー想定内。

着付け場所はかつてないほどの人口密度で、稚児達とその保護者や祖父母でごった返していた。
中にはまだ首が座っていないであろう月齢の乳児も、稚児装束を身に纏って抱っこされていた。

さて、着付けの順がやってきた幼獣はというと「おれさまになにをするんだ!!!!(意訳)」と言わんばかりの大号泣で、周囲の皆様方が振り返るレベルの野太い雄叫びを上げていた。顔は女の子だが結構ソウルフルな野太い声が出るのでギャップが凄まじいのがうちの幼獣である。

なんとか着付けた幼獣、着付け担当のマダムに「ばいばい!!」と叫んで手を振っていた。
薄々思っていたが、もしかするとヤツは「ばいばい!」と言えば己の不快な相手を退散させられると思っている気がする。ろくでもねえ。

烏帽子もなんとか装着し、待機していた時自分に声がかけられた。そう、職場のママナースである。
何故ここに?と思ったが、そういえば彼女の実家は幼獣の園がある学区にあった。実は自分の従妹(父方)の小中の同級生である。世の中狭い。

彼女もお子さんを連れての参加である。お子さんは幼獣の1学年上のちょっとお姉さんだ。
思わぬ邂逅にテンションが上がり、せっかくの機会なので2家族で記念撮影をし、LINEを交換して別れた。

さあいざ稚児行列開始!というタイミングで幼獣はまさかの寝落ちである。オーケー想定内。
というのも、自分が稚児行列に参加した時に1歳児であった実妹も稚児行列時に寝落ちした。それもあるので多分寝るだろうなー、いつもならお昼寝の時間だもんなーとは思っていた。ヤツは予想を裏切らない。

そんなわけで幼獣は爆睡しながら稚児行列を終えたのであった。

まあ疲れたといえば疲れたがよい機会だったとは思う。滅多にあるものではないので、参加して正解だった。

稚児行列に参加した特典(?)として念珠を貰った。
今後幼獣には必要になるので大変ありがたく頂戴した。

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