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カスタマーサクセス

「もし自分がこれから全く新しい企業向けの法律事務所を作るとしたら、どんな法律事務所を作りたいか」という点について、何回かに分けて、私見たっぷりの仮説をつらつらと綴りたいと思います。

第2回は、カスタマーサクセスです。

カスタマーサクセスってなに?

SaaSと聞いて思い浮かぶ概念って何でしょうか?私の場合は、なぜかカスタマーサクセスです。詳しくない方は、このオオカワラさんのまとめが簡潔でわかりやすいので、読んでみてください。(私も詳しくありません。)


読んでみるとわかる通り、これ、「SaaS企業」を「法律事務所」に、「顧客」「カスタマー」を「クライアント」に言い換えても、そのまま当てはまると思いませんか?

以下の図をご覧いただけるとわかる通り、従来型の顧問弁護士は、基本的に「カスタマーサポート」です。クライアント側に問題が生じて、問い合わせがあり、弁護士がそれを解決するという流れが一般的だからです。

しかし、SaaSビジネスで培われた知見を生かすのであれば、サブスクリプションモデルとしての法律事務所を目指す以上、「カスタマーサクセス」の観点は必要不可欠です。と思ったら、GVA法律事務所の山本先生が半年前にすでにツイートされていました。

この辺りは、AI-CONでおなじみのGVA TECHを経営されているだけあって、さすがとしか言いようがありません。パートナー会議の結果が気になるところです。

法律事務所のカスタマーサクセスってどうやればいいの?

と言われると、正直よくわかりません。おそらく、実際にSaaSスタートアップでカスタマーサクセスを担当されていた方を頑張ってスカウトするのが一番なのだと思います。餅は餅屋。

ただ、自分の手で何ができるかと考えてみた時、以前、こういったツイートをしたことを思い出しました。カスタマーサクセスからはずれているかもしれませんが、「先回りして顧客の問題を回避すること」という点では近い気がします。

DD(due dilligence)とは会社の健康診断のようなもので、会社の組織、株式、契約関係や人事労務などについて、法的な問題点がないかを弁護士が調査するものです。本来は、M&Aなどの際に買手が対象会社に対して行うものですが、別にM&Aの時にしかやってはいけない理由はありません。例えば、

① 問診:クライアントのビジネスなどについて理解するためのヒアリング
② 健康診断:弁護士が資料をみながら法的な問題を洗い出す
③ 診断結果:要改善事項をまとめたアクションリストを作る
④ 治療:毎月、上限時間を定めて重要なものから順に改善していく

これら一連の作業をクライアントの指示を待つことなく、これらを先回りでやっていくイメージです。対象になるのは、基本的に法務機能がない、または弱いスタートアップ、それから中小企業になると思います。

それやってたら時間結構かからない?**

もちろん、従来型の月3時間・6万円の顧問契約では到底対応できません。少なくとも月15時間・30万円くらいは必要でしょうか。以下の図で言うと、従来型の顧問弁護士が「テックタッチ」、新しいサブスクリプションモデルは「ハイタッチ」か「ロータッチ」に当たりますね。

弁護士としても、一社にかける時間が長くなりますので、単価を上げざるを得ません。この辺りは、この金額で正直どのくらいニーズがあるのかはやってみないとわかりません。

ただ、他では聞いたことのないサービスですし、トライしてみる価値はあると思っています。


まとめると…

法律事務所にとってのカスタマーサクセスはまだ定義されていません。しかしながら、法律事務所がカスタマーサクセスを意識することで、クライアントのUXが改善されることは間違いないと思います。そこで、もう少し具体的に業務に落とし込めるように勉強していこうと思います。


なお、SaaSの王様、SalesforceがSaaSスタートアップ創業者向けガイドという素晴らしいコンテンツを無料で(!)公表していますので、少しボリュームが大きいですが、こちらもぜひ参考にしてみてください。


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