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どんな人と一緒に働きたいのか

「もし自分がこれから全く新しい企業向けの法律事務所を作るとしたら、どんな法律事務所を作りたいか」という点について、何回かに分けて、私見たっぷりの妄想をつらつらと綴りたいと思います。

第6回は、どんな人と一緒に働きたいのかについてです。

今回は、Googleのエリック・シュミットが書いた「How Google Works」とAtrium CEOのJustin Kanの発言に着想を得ています。

旧来の法律事務所はどうか?

これは一概には言えないと思います。一般的な就活用語で言うところの、新卒採用なのか、中途採用なのかでも変わります。

ただ、定量的なデータと定性的な印象を組み合わせるのが一般的なのは間違いありません。前者を重視するのか、後者を重視するのか、という程度の問題はありますが。

企業法務専門の法律事務所で多いパターンとしては、定量的なデータを重視して、試験の成績の上から採用するという方法です。例えば、予備試験合格かどうか、学校や司法試験の成績はどうか、TOEFLの点はどうかといったあたりでしょうか。もちろん面接を通じて、成績がよくても落とされたり、逆もまた然りですが、基本的には成績重視という方向性は確かに存在します。

他には、弁護士以外のキャリアを重視したり、面接でのやりとりを通じて人格的なところを重視する事務所もあると聞いています。

なお、いずれも人から聞いている話をベースにしているので、確たるソースはなく、私の個人的な印象です。

Atriumの採用ポリシー

Atriumは、サンフランシスコに拠点を置くスタートアップ専門の法律事務所です。私は個人的にとても注目しており、分析しているのですが、採用に関しては以下のJustin Kanの発言が目をひきます。

“We’ve been able to attract the type of attorney that wants to work on innovating in this area, some very entrepreneurial lawyers. I’ve come to respect how hard corporate attorneys work — maybe the highest work ethic in a profession I’ve worked with. So that’s been pretty fun. Our attorneys also appreciate the opportunity to innovate on the technology side, getting involved in different ways ranging from a subject matter expert to a full-blown product manager. They have also been innovating on process, the operational process of how the firm might handle some piece of work. That’s definitely something different and new.”

簡単に言うと、「起業家っぽい」弁護士を採用しているみたいです。

個人的には、伝統的な弁護士は、(経営者ではあるものの)起業家からはかけ離れた存在だと思っています。自分ではビジネスジャッジをしません。プロダクトマネージャーの役割なんてもっての他です。もちろん、個人としてこのような取り組みをされている方もいらっしゃると思いますが、「組織として」そのような役割を求められて働いている方は少ないと思います。

じゃあ、「起業家っぽい」ってどう意味なんでしょうか?

Googleの採用ポリシー

この疑問に対する答えとして思い浮かんだのが、「How Google Works」で繰り返し述べられている「スマート・クリエイティブ」という人物像です。ずれているかもしれませんが。

以下、エリック・シュミットが「スマート・クリエイティブ」について述べている内容を引用します。

自分の「商売道具」を使いこなすための高度な知識を持っており、経験値も高い。…実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプを作る人間だ。

分析力も優れている。データを扱うのが得意で、それを意思決定に生かすこができる。同時にデータの弱点もわかっており、いつまでも分析を続けようとはしない。

競争心も旺盛だ。成功にはイノベーションが不可欠だが、猛烈な努力も欠かせない。

ユーザのこともよくわかっている。どんな業界に身を置いているかにかかわらず、スマート・クリエイティブはプロダクトを誰よりもユーザ目線、あるいは消費者の視点から見ることができる。

斬新なアイデアがほとばしり出る。他の人とは全く違う視点があり、時には本来の自分とも違う視点に立つ。

好奇心旺盛だ。常に疑問を抱き、決して現状に満足せず、常に問題を見つけて解決しようとし、それができるのは自分しかいないと確信している。

リスクをいとわない。失敗を恐れない。失敗からは常に大切なことを学べると信じているからだ。

自発的だ。…自らの主体性にもとづいて行動するが、その主体性自体が並みの強さではない。

あらゆる可能性にオープンだ。自由に他者と協力し、アイデアや分析をそれ誰が口にしたかではなく、それ自体の質に基づいて評価する。

細かい点まで注意が行き届く。

コミュニケーションが得意だ。

こんな人、いるんですかね…?でも、安心してください。

すべてのスマート・クリエイティブがこうした特徴を全部か備えているわけではないし、実際そんな人間は数えるほどしかいない。だが全員に共通するのは、ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢だ。これが基本的な要件だ。

 これならまだいける気がします。さらに続きます。

テクノロジーのもたらすツールを使って価値あることをしたいと言う、意欲と能力のある、あらゆる世代の志の高い人たちだ。その共通点は、努力をいとわず、これまでの常識的方法に疑問を持ち、新しいやり方を試すことに積極的であることだ。

ここまでくると、全く新しい法律事務所を作るためには、「スマート・クリエイティブ」が必要不可欠じゃないか!と言う気になってきます。

そして、これは旧来の法律事務所ではあまり重視されてこなかった基準なのではないかと思います。そして、これは成績の良し悪しや、ひいては資格の有り無しでは到底測れないものだとも思うのです。

ちなみに、私が最も尊敬する弁護士は、まさにこの「スマート・クリエイティブ」の見本のような方でして、How Google Worksを初めて読んだときは彼のすごさがクリアに言語化されて、衝撃を受けました。

どうやってスマート・クリエイティブを見つけるのか

ではスマート・クリエイティブを見つけるにはどうすればいいのか。これはよくわかりません。しかし、一度や二度の面接でわかるようなものではないかもしれません。この辺りは、グーグルやペイパル、日本だとメルカリなどの採用メソッドを分析すると答えがわかるのかもしれません。

まとめると…

自分自身、スマート・クリエイティブになりたいと思います。

と同時に、全く新しい法律事務所を作るのであれば、スマート・クリエイティブの存在は不可欠だと思うわけです。

あれ、自分ってもしかしてスマート・クリエイティブじゃないか!?という人は、ぜひお話しましょう!


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