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LEACT立上げの振り返り

2022年1月に法律事務所LEACTを立ち上げ、9か月が経過しました。四半期が終わる節目ということで、簡単にこれまでを振り返ります。

【1月~3月】食っていくためのミニマム独立

文字通り売上ゼロ、裸一貫での独立でした。

留学を経てかつての依頼者との関係性は希薄となり、独立前の所属企業は副業禁止。日本政策金融公庫からお金を借りてしばらく食いつなげる形にしました。とはいえ、弁護士になって以来、営業らしい営業は一切してこなかったこともあり、不安も大きく、最初は2坪窓なし4万円のレンタルオフィスから始めました。

大学の自習室よりも狭いのでは

挨拶状を出す余裕もなく独立したのですが、独立を聞きつけた知人・友人・元同僚・元クライアントなどから続々ご連絡を頂きました。一番最初に頂いた案件は、前々職の法律事務所です。前職代表、ロースクール先輩・同期など、日頃お世話になっている方に気にかけていただき、多くの案件をご紹介いただきました。

こうして、最初の四半期が終わる頃には食べていける見込みが立ち、ホッとしました。この頃ほど、人の優しさを感じたことはありません。

【4月~6月】一人事務所としての飛躍と限界

この頃になると、クライアントが別のクライアントを紹介して下さったり、また、既存の依頼者からもより多くのご依頼をいただけるようになります。

一方で、新規案件を受ける時間的・精神的な余裕がなくなっていきます。

一人事務所は、何もかも全て自分で対応しなければなりません。リソースのバッファが著しく小さく、依頼が集中すると対応スピードが落ち、クライアントに迷惑をかけます。案件が増えるにつれて、契約書、タイムシートや請求書、入金確認、振込、荷物の受け取りなどの事務作業の負担も倍増します。

そこで、まずは事務作業を任せられる人を探そうと思い立ちました。しかし、あのオフィスに2人で座ったら窒息するので、5月末に今のオフィスに移転しました。仕事と事務作業に追われながら、オフィスを探し、引っ越しをするのは地獄でした。ちなみに引っ越しはカーシェアで自分でやりました。

窓のありがたみたるや

【7月~9月】組織化への第一歩

無事移転でき、いざ秘書採用を始めたものの、これまた上手くいきません。

採用情報を掲載、応募者への連絡、面接、合否連絡、全て自分でやる必要があります。面接ドタキャンだったときには発狂するかと思いました。前職の採用担当に相談をしたら、テキパキと段取りを進めて、お願いした3週間後には受け入れが完了しました。餅は餅屋です。

入所してくれた秘書さんは、明るく、真面目で、テキパキしていて、わからいないことも自分で色々調べて進めてくれて助かっています。何より、ふとした瞬間に雑談ができるようになったのは一人事務所からの大きな違いです。

同じ頃に、PRを担当してくれる副業メンバーが加入してくれました。そのメンバーから「法律事務所LEACT=酒井になっている。別人格にしないと採用もできないし組織化も無理」と頭をハンマーで殴られました。頭ではわかってはいたものの、半年間「ずっと俺のターン」だったので、何をどうすればいいのやら…

そうこうしているうちに、インハウス弁護士として企業に勤務しているメンバー2名が副業として加入してくれ、協力して案件に取り組むことことが増えて行き、少しずつですが、分担・協力という概念が出てきました。革命的なことです。

【10月~12月】「酒井法律事務所」から「LEACT」へ


実は、事務所名は「酒井法律事務所」の予定でした。ドメインも取って、一度名刺も作りました。組織の難しさを知り、自由気ままに自分の城を持ちたいと思ったからです。

ただ、「速く行くなら一人で、遠くに行くならみんなで」ではないですが、どれだけ大変なことがあっても、人と働くことが楽しいし、協働することで初めて見られる景色があると思い、直前でLEACT(react+legalの造語)という名称に変えました。

そして、この10月、事務所を遠くへ連れて行ってくれるであろう、この上なく心強いメンバーがまた一人加入してくれます。私と全く違う強みを持ったメンバーが加わることで、組織として一つ上のステージに行ける予感をひしひしと感じています。

甘い考え方かもしれませんが、売上を作るために人がいるのではなく、人が楽しく働くために必要な売上を作るという順番で物事を考えています。私含め、各メンバーがせっかく貴重な人生の時間を一緒に過ごすわけですし、この組織で働くことそれ自体が目的になったり、やりがいに思えるような形にしていきたいと思います。

普通の企業法務の法律事務所らしいカッチリ感は皆無ですが、誠実に、柔軟に、メンバーもクライアントも同じ方向を向いて苦楽を共にできるような法律事務所にしていきたいと思います。

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