数年前:夏頃のスケッチ

目が覚めると、枕元に手を伸ばしてショットグラスを掴む。大抵はウォッカが残っているので、それを飲み干す。
なぜそこにショットグラスがあるのかと言うと、寝酒に飲んでいたからだ。

居間のテーブルに目をやると、昨日の惨状がそのままになっている。油分の固まったプラスチック容器。コンビニのレジ袋に詰めてまとめる。

ユニットバスでシャワーを浴びる。給湯器の調子がよくないので、ときどき急に水になる。
冬はきつかった。一度湯船に浸かってみたのだが、排水の調子もよくなくて、水がバスルームの外にまで流れたことがあった。だから、シャワーしか使えない。

身体を拭いて、ウォッカを3ショットほど飲む。さっき起きたばかりなのに、もう布団が恋しくなっている。シーシュポスになったような気分だ。

6時半に家を出る。駅に行く途中でコンビニに寄り、酎ハイを買う。電車が来るのを待ちながら、それを飲む。部活の朝練なのか、スポーツウェアの高校生とすれ違う。あそこから人生をやり直すとしたら、もう少しましな人間になれたのだろうか?

あの屈託のなさそうな高校生にも、それぞれの悩みがあって時々泣きたくなったりするのだろう。誰だってそうだ。私が嫌っているあの人たちも、そうなのだろう。
それはそれ。私は「あの人たち」に物理的攻撃を加えることを想像してみる。彼らは好機を逃さず公権力に頼るだろう。彼らは抜け目がない。それは見習わないといけない点だ。
例えば、指示は口頭でする。労基に垂れ込めるような記録を残さないためだ。彼らは自然にそういうやり方を心得ている。

あと1か月。

電車が来る。私は空き缶をごみ箱に捨てて乗車する。イヤホンを耳に着け、「何だ?この、ユーウツは!!」を聴く。

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