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ロックしかねーだろ、人生は (最初の旅 vol.10)

2005年4月30日、ベトナムではVictory day、つまりベトナム戦争の勝利記念日だ、そうかあの戦争でアメリカは負けたのか。
AM6:30 起床、今日も元気に勃起している、昨日オナニーに失敗したせいだ。ボーさんが迎えに来るのはAM11:00、本当に来るかは怪しいが、まあ来なかったらバイクタクシーを捕まえればいい。テレビをつけてボケーっとして、シャワーを浴びてまたボケーっとする。

AM8:00、何もしないのはもったいない、少しホーチミンの町中を歩こうと自らを奮い立たせてホテルから出ると、相変わらずタクシーやバイクタクシーが声をかけてくる、うんざりしたが、やはり昨日電車チケットを自力で買ったことで自信がついたのか、海外に一人でいるということの不安さが減ったのだろう、フンッフンッと鼻息荒く闊歩、かけられる声に対してNo, Noと無視し続けた。
AM9:00 道端の店でフォーを食べてお腹を満たす。それにしてもやはり暑い、猛烈アジア太郎炸裂な気候だ、汗がドバドバと溢れる。今日の日差しは昨日とは違うな、40分ほど歩いただけで軽い日射病にかかった、頭が少しガンガンした、体力のなさを痛感した。

ちなみにおれっちはこの旅行のちょっと前に入院をしていた、あの有名な腸閉塞だ。学生時代に盲腸というか慢性虫垂炎で病院に担ぎ込まれて即開腹、即手術をしたのだが、そのときにはすでに虫垂炎の菌が盲腸から小腸と大腸まで広がっていたので、この辺りをごっそりとモツ鍋ができるくらい切り取ったのだ、盲腸、小腸、大腸の3点盛り1580円(注文は7人前から)だ。
ちなみに盲腸は小腸と大腸の連結部分から子供のチンコみたいにチョコンとぶら下がっている、進化の過程で退化した臓器なので特になんの働きもしない。おれっちが病院に担ぎ込まれた時には盲腸は破裂寸前まで大きくなっていて、これが破裂すると腹膜炎、これは死に至ることもあるんだよ、だって腸が破れて中身が体の中に溢れ出ちゃうんだから。

ちなみにこの手術をする前にアンダーヘアーを剃毛したのだが、剃毛は下腹部からチンコの上部付け根までだったため、チンコ横から下はアンダーヘアーが残ったままで、まるでアルシンドになっちゃったよー。退院してからは会う人会う人に、ほら見て、アルチンコと言ってみんなに見せびらかしたもんだ。
とりあえずこの手術で無事に回復したのだが、その約二年後に腸閉塞になったの、つまり腸が詰まった、そうなると食べても食べても口から出ちゃうわけ、出口がこっちしかないから。原因はっていうと、虫垂炎の手術のときに腸を切るために一旦ヨッコイショって腸をお腹から剥がしてチョキチョキするんだけど、切り取った後にもっかい腸をお腹に納めたときに腸が奇麗にお腹壁面に癒着しなかった、腸が折れ曲がった状態で固定されたのかな、だから食べ物とかが腸を通りにくい、詰まりやすい。

そんなこんなで、おれっちは腸閉塞で約1か月くらい入院した、入院と言っても詰まったものが出たらお終いなんだけど、その出し方ってのが、まず鼻から管をズンズン突っ込んで、食道、胃を通過させて、さらに先の食べ物が詰まっている部分、つまり小腸と大腸の連結部分まで入れる。そこに到着するとその管の先っぽを風船みたいに膨らませた状態にしてあとはひたすら待つ。基本的に腸は食べ物などを肛門方向へ運ぶ動きをするので、腸が頑張ってこの風船と一緒に食べ物をでグイグイと押し出してくれるので、全て押し出してくれたらクリアー、それまでひたすら待つだけの入院。
入院中は何も食べれないからね、水も飲んじゃダメ、唾のみ、飴とかガムもだめ、だって詰まってるわけだからね、栄養は点滴のみ、これで約三週間待つわけ、そりゃ夢でジャンボお好み焼きが毎晩出てくるわけですよ。まあ、そんな感じで体重は10kg近く減ってたんじゃないかな、体力もないわけだ。

まあ、そんなこんなでボーさんを待つまでの時間は猛烈アジア太郎な暑さにヒーヒー言いながらレロイ通り、ハムギー通り、ドンコイ通りなど一通り主要な道を歩いてからホテルに戻る、時間はAM11:00ちょっと前だったが、フロントのお姉さんから、タクシードライバーが尋ねてきたことを伝えられる、おー、ボーさんは本当に来てくれたのかと急いで部屋に戻って荷物をまとめてチェックアウトした。そのとき冷蔵庫のペットボトルの水を飲んだのがバレて12000ドンを支払った。
フロントの前にある椅子に座りながらホテル前の道を眺めながらボケーっとボーさんを待っていると、アレ?、アレ?、あのヨチヨチといているのはアイカワくんじゃないのか?? ビックリして、急いでホテルのガラスドアを開けて、道向こうにいるアイカワくんに、おーい、アイカワくーんって。

アイカワくんは会社の同期、このゴールデンウィークに同じく同期のカニくん、ナカムーとベトナムに来ると聞いてはいたが、まさか会えるとはね。
アイカワくんはインターネット屋(広い部屋にパソコンがたくさん並んでいてインターネットができる店)で会社の週報を書いていたらしくて、その帰りだったようだ、二人はホテルにいるらしい。おれっちはこれから電車でニャチャンに行くことを伝えると、それじゃニャチャンで会おうかって話になってメールアドレスを交換した。
五分ほど立ち話をしているとボーさんが到着、アイカワくんにそれじゃまたねー、って言ってバイクに乗り込みマントをひるがえして颯爽と立ち去った。サイゴン駅まで向かう間、ボーさんとは世間話し程度の会話をしたがすぐに到着、ボーさんは最後にグッドバイと一言だけ言霊を残して走り去って行った、おれっちもそれに変顔(口はタコのように、目は白目)で頷くだけで、そのまま振り返りもせずに駅中へと足を踏み入れた、また新しい旅が始まる。

サイゴン駅、電車とホームが同じ高さでちょっと違和感

咳をしても一人、コホンコホン。 (ガサガサ) おい、大丈夫か? えっ、誰?