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ライトトライアド:学業不正行為に光を当てる

アカデミック・インテグリティと不正行為の領域では、多くの研究が、剽窃や不正行為などの非倫理的行為に関連する性格特性の特定に焦点を当てています。
マキャヴェリズム、ナルシシズム、サイコパシーを含む性格特性のダークトライアド(DT)は、一貫して学業不正行為への関与の高さと関連しています。
しかし、学業不正行為の減少に関連する特性を理解することには、あまり注意が払われていません。
このブログでは、カンティズム、ヒューマニズム、人間性への信頼からなる性格特性のライトトライアッド(LT)の概念と、それらが学業不正行為を抑制する可能性を探ります。

ライトトライアドと学業不正行為

LT特性は、DTの邪悪な特性とは対照的に、無私で、前向きで、成長志向の特性として定義されています。
DTは非倫理的な信念や行動と関連していますが、LT特性は、他者をそれ自体の目的として扱うこと、個人の尊厳を大切にすること、人間の根本的な善良さを信じることを強調しています。
本研究では、LT特性が学業不正行為と負の相関をもつかどうかを検証します。

方法

本研究では、390名の学生を対象に、教育現場において、ダークトライアド、ライトトライアド、学業不正行為、エンタイトルメント信念の測定に取り組みました。
また、性格特性と学業不正行為の関係におけるエンタイトルメントの媒介的役割も調査しました。

結果

先行研究と一致して、DT特性(サイコパシー、マキャヴェリズム)と学業不正行為の間に正の相関があることを発見しました。
さらに、教育的エンタイトルメントは、DT特性および学業不正行為の両方と正の相関がありました。
一方、LT特性の1つであるカンティズムは、学業不正行為と負の相関がありました。
カンティズムと学業不正行為の関係は、学生の学習に対する外在化した責任感によって媒介されることが明らかになりました。

考察と結論

これらの結果は、LT特性、特にカンティズムが、学業不正行為への関与を減らす役割を果たす可能性を示唆しています。
人をそれ自体の目的として扱うという信念(カンティズム)をもつ学生は、自分の学習に対してより責任を感じる傾向があり、学業不正行為の割合が低くなることが示唆されました。
これらの結果は、アカデミック・インテグリティを育み、学生の不正行為を阻止する効果的な戦略を見出すための更なる研究の道を開くものです。

ただし、本研究には、LT尺度の内的整合性の信頼性の低さや、学業不正行為の自己報告尺度を用いたことなど、いくつかの限界があることに留意することが重要です。
今後の研究では、より大規模で多様なサンプルと縦断的デザインを用いて、これらの知見を再現することを目指すべきです。

結論として、パーソナリティ特性と学業不正行為の関係を理解することは、アカデミック・インテグリティを推進する上で極めて重要です。
ライトトライアドの概念は、非倫理的な行動への関与を減らすことに関連する特性を強調することで、有望な視点を提供します。
責任感、他者への敬意、人間性への信頼を育むことで、教育機関は学生が剽窃や不正行為に走ることを抑止できる可能性があります。
最終的には、ライトトライアドの特徴を促進することで、学問的な誠実さと高潔さの明るい未来への道を開くことができるかもしれません。

元論文

Curtis, G. J. (2023). It Kant be all bad: Contributions of Light and Dark Triad traits to academic misconduct. Personality and Individual Differences, 212, 112262.


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