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犯罪行動と性格特性:システマティックレビュー

背景

性格特性は、犯罪行動を含む人間の行動の様々な側面と関連して長年研究されてきました。
近年特に注目されているのは、5因子モデル(FFM)とダークトライアド(DT)のパーソナリティ特性です。
FFMは、開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向の5つの大まかな性格傾向を含んでいます。
DT特性には、ナルシシズム、マキャヴェリズム、サイコパシーが含まれます。
今回紹介するシステマティックレビューの目的は、これらの性格特性と成人の犯罪行動との関連に関する文献を批判的に評価することです。

Mooney, R., Wall, H. J., Humphries, J., & Heim, D. (2023). Association (s) Between Five-Factor Model and Dark Triad Traits and Offending Behaviour in Adults: A Systematic Review.

このnoteでは、主に心理学的な研究を紹介しています。
また、マシュマロもやっているので、何か質問があれば気軽にメッセージを送ってください。

方法

著者らは、2000年から2018年の間に発表された、FFMおよびDTの性格特性と成人の犯罪行動との関連を検討した研究のシステマティックレビューを実施しました。
著者らは複数のデータベースを検索し、包含基準を満たす53の研究を同定しました。
包含された研究の質は、Kmetら(2004)のStandard Quality Assessment Criteriaを用いて評価しました。

結果

レビューの結果、特定のFFMおよびDTの性格特性が成人の犯罪行動と関連していることが判明しました。
具体的には、誠実性と協調性の低さ、神経症傾向、ナルシシズム、マキャヴェリズム、サイコパシーの高さは犯罪行動と関連していました。
しかし、このレビューでは、サイコパシー意外の特性は一貫した結果が見られず、特に犯罪行動における外向性の役割に関しては、文献に矛盾があることもわかりました。

考察

このシステマティックレビューの知見は、犯罪者の評価と治療にとって重要な意味を持ちます。
このレビューは、誠実性と協調性を高め、神経症傾向、ナルシシズム、マキャヴェリズム、サイコパシーを低下させることを目的とした介入が、犯罪行動の減少に効果的である可能性を示唆しています。
しかし、文献の矛盾は、犯罪行動における性格特性の役割をよりよく理解するためのさらなる研究の必要性を浮き彫りにしています。
さらに著者らは、レビューに含まれた研究の質にばらつきがあり、それが所見に影響を与えた可能性があることを指摘しています。
全体として、このシステマティックレビューは、性格特性と成人の犯罪行動との関係についての貴重な洞察を提供し、この分野における継続的研究の必要性を強調しています。


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