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Lessico famigliare (2)

Lessico famigliare / Natalia Ginzburg (Einaudi, 261ページ)を読んでいます。今日は104ページまで。章立てはなくて、ひたすらNataliaの家族のアクネドートが続きます。ある家族の、その家族内でしか理解できないような些細な話の羅列。なのに、こんなにも引き込まれるのはなぜだろう?

今読んでいるところではNataliaが小学校に通い始めたところ。Nataliaは学齢に達した当初は小学校に通わず、母親が家で勉強を教えていました。そうそう、この本では具体的な年月日が出てきません。でも、彼女が小学校に通い出した頃に、次男のMarioと友人のSion Segreがイタリアとスイス国境の検問で反ファシストのチラシを持っていたことで警察に追われる事件が語られ、それをググると、1934年の出来事とわかります。この事件では、Marioは冬の川に飛び込んで追っ手を交わして難を逃れますが、友人は逮捕されます。そしてNataliaの家にも警察が来て父親や兄も連行されてしまいました。

Nataliaが後に結婚することになるLeone Ginzburgが初めて登場するシーンがここかな。父親が次男のMarioがGinzburgが一緒にいるところを見かけます。そして母親は、Ginzburgのお姉さんにロシア語を習っていました。

Mio padre lo incontrò un giorno sul corso re Umberto, in compagnia di uno che conosceva di vista, un certo Ginzburg. -Cos'ha da fare Mario con quel Ginzburg? -disse a mia madre.

Natalia Ginzburg, Lessico famigliare (prima edizione 1963), Einaudi, 2009, 90

1934年の反ファシズム活動家の検挙は、Sion SegreのいとこでもあるPitigrilliが内通者だったからという説があるようです。Pitigrilliは大衆小説作家で、雑誌"Grandi Firme"の編集長でした。彼の作品は反道徳的なので父親はNataliaには読ませたくなかったけれど、三男のAlbertoは愛読者だったそう。Lessico famigliareではPitigilliの内通者説は今のところ触れられていません。夫と息子の逮捕を受けて、勝手のわからない母親は、Pitigrilliに連絡を取ります。Pitigrilliは少し前に拘留されていたし、従兄弟のSionに差し入れをする予定はあるか、など聞きたかったのです。

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