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高くなっていく「普通」のハードルにどう対応していけばいいのか

「普通」という言葉は、
ごくありふれていて平均的であることを表す言葉の代表格だ。

ところが今や、価値観も多様化し、個性を尊重しようという時代になった。
昭和の時代によく耳にした、この「普通」と言う言葉も、
令和の時代になってからは、あまり耳にしなくなった気がする。

世間の普通から大きくはみ出てしまった発達障害の人が集まる自助会も、
普通のレベルが上がり過ぎてしまったせいか、
参加者が増えた印象があった。

「”普通”って、マジで何なの?」

今回は、この「普通」という言葉と、発達障害が急に増えたことについて
私なりに感じたことをまとめてみた。

最初は参加人数が少なかった自助会

私が初めて自助会に参加したのが、
2023年の3月だった。

当時参加した自助会は、
京都府立大学の横道先生が主催していたもので、
参加者は私を含めて5,6人といったところだ。

その時には参加者も多くはないので、
一人ひとりしゃべる時間は十分あった。

それからしばらくしてから、
ChatGPTの登場が、世間をにぎわすことになる。
ビジネスの世界にAIが浸透していき、
インターネットが登場した時のような革命的な出来事だった。

もはや仕事でAIを使いこなすのは、
当たり前の時代になってきた。

そうはいっても、インターネットが登場した時と同じように、
使いこなせる人と、そうでない人とで、
格差が開いてきてしまう。
パソコンが得意な人は、インターネットをうまく活用して
仕事で効率よく成果を出していく。
一方で、機械操作が苦手で、情報の分析もできない人は、
パソコンのトラブルに振り回されたり、
怪しい情報に騙されてしまったりする。

AIにおいても同じように、
使いこなせる人と、そうでない人とで、
大きな力の差が出てきてしまうだろう。
そればかりか、簡単な仕事はすべてAIが代わりにするようになり、
仕事を奪われてしまう人まで出てくる。

そういうわけだから、
生きづらさを抱える人が増えてしまうことは、
誰にでも容易に想像できるのではないか。

実際に、私が二回目の自助会に参加した時には、
参加者が20人くらいに増えていた。

参加した人たちは、
AIが普及する以前から生きづらさを抱えていた人たちだ。
それに自助会で話していることを聞いてみても、
AIというワードは出てこない。

ただそれでも、AIが普及していく中で、
「このままで、まともに生きていけるのか?」
という強い不安が、
自助会の参加へ背中を押しているのではないかという気がした。

どんどん上がっていく「普通」のハードル

発達障害の人は、
「普通」とされる状態からはみ出てしまっていて、
なおかつ、それによって生きづらさを抱えている。

発達障害も、最近ではだいぶ世間に知られるようになり、
昔ならちょっと変わった人として気づいてもらえなかったのが、
今ならちゃんと気づいてもらえ、ケアしてもらえるようになった。

だが、いくら認知されるようになったとはいえ、
「発達障害の人、急に増えすぎなのでは?」
と疑問を抱く人も多いのではないか。

その疑問に対して、とある精神科医の先生のショート動画が
ネット上でバズっていた。

それによると、急に発達障害の人が増えた理由の一つが、
仕事で求められるレベルが上がっているとのことだった。
今では深刻な人手不足に加え、
高度なコミュニケーション能力を要求され、
ITもしっかり使いこなすスキルも求められる。
仕事において「これくらいできて欲しい」というレベルが、
量も質も、半端ないのだ。

ちなみに、私の弟はIT系の仕事をしているが、
彼の部屋の本棚を見ると、本の量が異常に多い。
もはや自分の部屋の本棚に収まりきらず、
他の部屋の本棚も占拠しているという状態だ。
過去に大量に処分した本もあったことを考えると、
その勉強量は、専門外の人からすれば
普通だなんて言るレベルじゃない。

「IT系の仕事も、大変だな・・・」

勉強しまくっている弟の姿を見ながらそう感じていたが、
大変なのは、もちろんIT系だけじゃない。

教育現場における異常なハードルの高さを感じたのが、
私がライターの経験を活かして
国語の先生をやってみようかと考えていた時だった。

高校の国語では、最近「論理国語」という科目ができて、
論理的な文章について教えている。

まさに私の得意分野だと思いながら、
どんな教科書を使っているのかと早速ググってみたら・・・
教科書の厚みが、なんと400ページを超えているではないか。

「えっ?ちょっと分量多すぎでしょ!」

まるでデカ盛りグルメのような圧倒的分量に、
一瞬ひるんでしまった。

さすがにこの分量を教えるとなると、
生徒さんは、あまりの量の多さについてこれずに
消化不良を起こしてしまう可能性が高くなる。

おそらく他の科目でも、似たような状況ではないだろうか。
教えられる科目が増えただけでなく、
教科書の厚みも、昔より大幅に増えている。

何も知らない昭和のおじさん・おばさんだったら何かにつけて
「最近の若い子は~」
とか言ってしまうかもしれない。

だが、今の若い人たちは、
昔とは比べものにならないほど
学ばないといけない量が多いのだ。

自分にできること

生きづらさを少しでも解消するために、
何かできることはないか。

そう思って、自分でも自助会を企画してみることにした。
今年の10月にはピアリーダー研修もあり、
それに向けた準備を進めている。

いずれ自分で自助会を運営できるようになったら、
発達障害の人向けの自助会を開催するつもりだ。

世間の「普通」から漏れてしまって居場所が無い人が集まり、
自分たちの生きづらさについて語り合う中で、
何か解決策が見えてくるかもしれない。

他にも力を入れているのが、
私が運営しているブログの再立ち上げだ。
このブログは、もともと作文が苦手な人向けに
文章作成のテクニックを紹介していたもので、
ビジネス心理学のセミナー仲間からは評判が良かった。

「このブログも、何か役に立たないだろうか?」

私が本格的にコンテンツ制作の仕事をするようになってから、
ずっと放置してしまっていたブログ。
それをコミュニケーションが苦手だという人や
発達障害でメンタル的にも問題を抱えている人向けに
役立つコンテンツを提供するものに作り変える。
今は、その作業の真っ最中だ。

「普通」のハードルがどんどん高くなっていく中で、
どう生きていけばいいのかという答えを探る。
もちろん、人によってその答えは違う。

一人でも多くの人が、自分に合った生き方を模索できる自助会を
企画できるようになりたいと思っている。

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