クライマーの慢性的な痛み

痛みはなぜ慢性化するのか。

前回の記事でも書かせていただきましたが、クライミングによる痛みは基本的に局所への過剰なストレスです。

痛みの回復は
①局所へのストレスが減ること
②回復を阻害しないこと

この2点が重要になります。
人体の組織の回復は時間がかかりますので、痛みが取れるまで数週間、数ヶ月を要することもあります。
この期間にしっかりと回復させること、適切な負荷を少しずつ与えること(optimal load)により、組織の損傷が改善し、張力に対する耐用性も強くなります。

クライミング後の数分間のクールダウンとセルフケアで、この数ヶ月のレストを回避できるなら、絶対にやった方が良いですよね。

(1gの予防は1kgの治療に値する)

これが出来ない場合に、痛みは慢性化すると考えられます。

慢性化する原因は組織の損傷が回復していないこと以外に

感覚受容器の鋭敏化

が挙げられます。

人間が痛みを感じるのは、痛みを感じるセンサーが反応して脳に刺激を与えるためです。
この痛みセンサーは鋭敏化します。「トリガーポイント」という言葉でも表すことが出来ますね。

痛みセンサーは「侵害受容器」と呼ばれ、この侵害受容器の鋭敏化は、①持続的な筋収縮の持続により ②局所の虚血と低酸素状態が持続し、③炎症メディエーターが受容器を刺激する、という機序で生じると言われています。(2020,吉村ら)

クライミング中、基本的に手指の屈筋は「収縮しっぱなし」です。これをクールダウンでストレッチやマッサージなどのケアを怠ると、低酸素状態になります。
このまま、いずれオーバートレーニングによる組織損傷が生じ、侵害受容器の鋭敏化が生じ、慢性化に至る訳です。

しっかりストレッチすること、マッサージすることがとても重要です。
炎症反応に対しては有酸素運動も有効とされていますので、ラントレも良いかもしれません。

予防が大事です。

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