肩甲骨を使いたい

 肩甲骨、使いたいですよね~!!
 強度が上がると肩が上がってしまう、肩甲骨が下に入る感覚が分からない
 色々な悩みがあると思います。

 結論

意識的に肩甲骨を下げようとしても下がらない(窮屈になるだけ)

 です。
 
 でも、肩甲骨はやはり下にあったほうが上半身は安定しますので、下げたいですよね。

肩甲骨が下がらない要因を知る前に、まず人間の運動特性を把握します。 

①人間の運動は「その課題(今やろうとしていること)に対して、現状の身体機能で遂行できる最善を出してくれている」 

つまり、今の状態では「肩甲骨が上がっていた方が出力できる」んです。なので強度が上がってくると肩甲骨が上がるんだと思います。

②人間の運動は筋肉を動かそうとしているわけではなく、「課題(今やろうとしていること)に対して最適な関節角度や速度、筋活動をプログラムして、運動をしている」

①と類似していますが、「肩甲骨を下げようと意識する」ことは、あまりパフォーマンスに良い影響を与えません。クライミングで意識したいことは「次の一手を止めること」です。肩甲骨を下げることではないので、注意のキャパシティが肩甲骨に向いてしまい、良い結果が得られない可能性もあります。

肩甲骨を下げる、肩甲骨を使う、のであれば、その要因となっている原因を探さないといけません。

四肢の運動は、とても大まかに2種類に分けられます。「推す」と「引く」です。
この「引く」動作の時に肩甲骨を自然に使うことが出来るように、運動をプログレッションしていきたいわけです。


https://www.youtube.com/watch?v=OZCyThu0EpQより抜粋引用


https://www.youtube.com/watch?v=OZCyThu0EpQより引用抜粋

肩甲骨しっかり下がってますね。
※動的な動きを切り取って静的な場面を切り取るのは分析としては良くないですが、分かりやすいように載せます。

 肩甲骨が使えない理由は、実際のところ個体差になります。運動方法、生活習慣、職業歴、スポーツ歴、既往歴などは千差万別です。
 共通しそうな点を、今回は伝えていきます。

①神経的な側面から考える

繰り返しになりますが、人間の運動は図のように、さまざまな感覚情報からボディスキーマを形成して、そのスキーマに合わせて運動を発令しています。

 そこで、上図のように、肩の一部分の脳内身体表現がなかったとしたら?肩甲骨周囲の筋肉への指令は行きにくいと考えられます。これが「使い方が分からない」の正体ではないでしょうか。

②機能解剖学的な側面から考える。

図のように、肩甲骨運動は矢印の方向へ動きます。自由度が非常に多いです。
肩甲骨は胸郭の上に張り付いています。
そして肩甲骨運動は、この胸郭の形状に非常に依存します。猫背なら下には下がりにくくなります。

この二つの要因は、日常生活での姿勢の悪さ(左写真)、胸郭部分の可動性の低下(右写真)といったことが挙げられます。

 この①と②の要因を改善することは必須になるかと思います。


 エクササイズとしては、まず懸垂でいきなり肩甲骨は下げずに、もう少し軽い負荷で肩甲骨周囲筋の「筋収縮感」を得ることが重要になります。
 この「筋収縮感」を得ることで、脳内身体表現に肩甲骨周囲が出現し、肩甲骨運動が可能になってきます。

①Triceps dip floor

このような低負荷の運動で、しっかり肩甲骨を下げる意識を入れるところから開始すると良いかと思います。

②Inverted crawl

このようなエクササイズでも良いと思います。
さまざまな姿勢で肩甲骨周囲を下げて使用する感覚を養ってから懸垂をすると、自然に下がるかもしれません。

③T-Spine mobility drill

それでも下がりにくければ、胸郭の柔軟性が必要になります。上記のようなモビリティードリルが良いかと思います。


肩甲骨を使うための方法に関してお伝えしました。
本当に人によって原因はさまざまです。動かす感覚も分かるし、柔軟性も良いけど出来ない、といったこともあるかと思います。
少しでも参考になれば幸いです。












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