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「お金の心配」~子供が産まれたと同時に難病になった喜劇作家の入院日記3

某月某日

一週間が経った。検査やらなんやらであっという間に過ぎた。入院生活に馴染んできてる順応力に驚く。

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その検査。胃カメラを飲むのもオエエ~となって非常に苦しかったけど、針を筋肉に刺してグリグリする筋電図とかいう検査が激痛で、思わず妻の名前を叫んじゃった。恥ずかしいったらありゃしない。

やっかいだったのはMRI検査。結婚指輪がどうしても外れない。引っ張ったりねじったりしても関節より上がらない。筋炎によるむくみもあるので当然なんだけど。結婚式で永遠の愛を誓ったから抜けないのも必然なんだけど。ロマンスの神様のいたずらだとしたら、相当いじわるね。

高速グーパーしたり、石鹸でぬるぬるにしたり、しゃぶってみたり。結局、最後は指がもげるかと思うほど引っ張ってようやく抜けた。検査控室での格闘はまるで「ミスタービーン」。洗面所の鏡で顔真似してたら、検査技師さんが不思議そうに見ていたよ。

多くの検査を経て「皮膚筋炎」で確定との診断。辛い状況の中でも笑えることを探す気持ちが出てきたし、落ち着いて聞けた。

血液検査で、筋炎の数値? であるCPKがまだ500を超えて高いという。ステロイド剤のプレドニンを一日80mg飲む。多い方みたい。あと免疫抑制剤のタクロリムス(プログラフ)。これを飲みだすとグレープフルーツは食べちゃいけないらしい。好きだったのにな。我が人生からGFがさよならした日。

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仕事先へ現状報告。ラジオ新番組やイベントは打ち合わせに出られないため、泣く泣くお断り。ベッド上でも出来そうな台本書きだけ継続させてもらう。芸能事務所でのレッスン講師の仕事も全てキャンセル。でも皆さん「復活を待ってますからね」ととても暖かく対応してくれた。退院したら恩返しなくちゃ。
   
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……お金、大丈夫かな?

病気への不安が和らぐと、また別の心配が。入院治療費や、生後3か月の息子と育休中の妻、家族の生活費。支払い>収入がこの先何カ月続くのか。
 
「子供が生まれたんだから、アヒルックかなにか、医療保険に入ったら?」今更ながら、母の助言が胸にささる。忙しさにかまけて加入していなかった。アフラックだし。でも、もし1日数千円でも入院保険が出ていたら……。たらればを考えて余計に落ち込む。

救われたのは国民健康保険。20年以上悪態をつきながら支払いをしてきたみんなの国保さま、ほんとごめんなさい。あなた様の「高額療養費制度」に助けられました。
 
これは、医療機関での支払いが高額になったとき、所得に応じてある限度額以上は払い戻ししてくれるという制度。(前もって分かってたら「限度額適用認定証」を取得しておくとより便利っ)。入院費を計算したら、自分の場合、食費は別途料金がかかるにしても月々57,600円で済みそう。

さらに、患っている病気が国の指定難病ということで、もし申請が認められれば、県? による医療費助成があるという。知らなかったなあ。病院の方々にいろいろご教示いただいて、さっそく申請の手続きに入る。……ふう。どっと疲れたけど、医療費負担は軽減できそうだ。

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それが昨日の出来事。少しホッとしたのか、衝動的にAmazonでkindleをポチッと。ホッとしすぎた。



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