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水平展示の謎|野村浩"101 EYES' GLASSES Paintings"

野村浩『101 EYES' GLASSES Paintings』の展示方法には野村さんのアイデアである工夫を施しました。

POETIC SCAPEの奥のスペースは20センチ床が高くなっています。
通常はそれに合わせ、作品を掛ける位置も上にずらしますが、本展では同じ高さをキープして作品を一直線に展示しています。

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この展示方法の結果、メインのギャラリースペースにおいて目の高さで作品を見ていた鑑賞者は、奥のスペースに上がると少し身をかがめ、作品に顔を近づけるように見ることになります。
鑑賞者に対し少し身体的な強制力が働く一方、作品の存在感をより大きく感じる印象を受けます。

一方、ギャラリーの入口正面に目を移すと、ウインドウガラスに作品のモチーフであるEYES GLASSと同じ大きな目が貼られています。

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今回の連続個展のテーマであるOcellus(眼状紋)は、蝶などの羽に見られる目のような紋様で、擬態の一種と考えられています。
POETIC SCAPEの入り口にあるOcellusを考えると、もしかしてギャラリーが他の何かに擬態している、もしくはその逆で、Ocellusがギャラリーという空間を支配し、なにか別のモノに見せようとしていると考えてしまいます。

ギャラリーとOcellus、鑑賞者と作品の関係に揺さぶりがかけられ、はたして主体がどちら側にあるのかを考えさせられるのです。ギャラリー空間を水平にスパッと切る様子はグラスに水を張ったイメージにも近いかもしれません。あ、そういえば英語でガラスとグラスは同じ「glass」でした。

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かわいい油彩作品を見に展示に訪れた人々は、その入り口からglassの世界に取り込まれ、101組、202個の目に見つめ返されながら動きまわり、なかなか外に出ることができない様子です。

営業再開

本展『101 EYES' GLASSES Paintings』は小さな油彩作品の展覧会であると同時に、Ocellusという概念を用い、より明確になった野村浩さんの擬態という考え方を設定するインスタレーション作品でもあると思っています。
そしてこのガリバートンネル的な展示は、後期展示の『Ocellus』につながってゆくのです。

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野村浩 展|101 EYES' GLASSES Paintings
2021年6月26日(土)まで(緊急事態宣言の影響で会期変更)
営業時間:水~土 13:00-19:00

野村浩連続個展後期|Ocellus
2021年7月7日(水)ー8月14日(土)予定
(緊急事態宣言の影響で会期変更の可能性あり)
営業時間:水~土 13:00-19:00

いただいたサポートは、POETIC SCAPEの活動を通じてアーティストをサポートするために使わせていただきます。サポートをぐるぐる回していければ素敵だなと思っています。