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11年越し

友人の澤田さんと中目黒の鳥よしに。澤田さんには昨年開催した山田悠展で音響周りのアドバイスをしてもらった。その時に借りたケーブル等を昨日ようやくお返しすることに。

いつも店先に行列が絶えないこの人気店はずいぶん昔に澤田さんに連れてきてもらったお店。パソコンの古いカレンダーによると2012年の4月12日に澤田さんとの約束が残っていたので、この日だとするとほぼ11年ぶりか。

当時はPOETIC SCAPEをオープンして4ヶ月ほど。柿(こけら)落としの展示はまずまずだったが、次の展示では毎日1人、2人の来廊者をひたすら待つ、無名ギャラリー試練の冬を経験、かなり精神的に追い込まれていたところだった。(来廊者は春には回復)そんなタイミングで澤田さんが「ギャラリーオープン祝い」としてご馳走してくれた焼き鳥は信じられないほど美味かった。

それから11年。駅からギャラリーに向かう道にあるお店なので、その前を通った回数は少なくとも7〜8000回はあるだろうか。その度にいつか澤田さんを連れてもう一度来たいと思っていた。焼き鳥としては高級店とはいえ、それが実現するまでに11年かかるとは思っていなかったけど。

昔食べた美味しいものが、年月を経て再び食べるとそうでもないということはよくあるが、鳥よしの焼き鳥は、そんな記憶の美化をはねのける美味さだった。ただ以前は美味い肉の印象が強かったが、昨日はぎんなんやししとうがやたらに沁みた。30代の終わりにこの店に来た、同い年の澤田さんと私はいつのまにか50歳になっていた。

いただいたサポートは、POETIC SCAPEの活動を通じてアーティストをサポートするために使わせていただきます。サポートをぐるぐる回していければ素敵だなと思っています。