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映画エッセイvol.4

恐怖の報酬

あらすじ
南米のジャングルを舞台に、反政府ゲリラによって爆破された油田の火災を鎮火させるため、1万ドルの報酬と引き換えに、危険なニトログリセリン運搬を引き受けた4人の男たちの命運を描いた。

ニトログリセリンてなんだ
1本観た後に軽い感じでこの映画を観たんですが、見事に予習不足で、時代背景とか、世界観とかいろいろわからなくて、ただただ不気味で、胸くそ悪かったという印象でした(ネガティブではないです)。音楽も遊星からの物体Xと似たような音楽で不気味でした。マジで気味悪い。
油田で火災が起きてそれを鎮火させるところまでは理解できたんですが、石油会社の人が、「ニトロの爆風で鎮火させよう」ということを言っていて、そのワードに引っかかって、ニトロってなんだと思いながら観ていると、ニトログリセリンというわずかな振動で爆発する危ない爆薬、を運ぶ流れになり、運ぶ際に空輸だと振動が強くて爆発する危険があるのでトラックで運ぶのが適切だということになったのだが、道路なんて整備されてるはずもないジャングルの中を走っていくという展開の中でトラックもたいがいだろと思うのは僕だけではないはず。単純にサスペンスとしての要素として、いつ振動で爆発するかわからない爆薬を運んでいるハラハラ感は感情の起伏を生み、楽しめました。

4人の男たち
今回の話の中で、ニトロを運ぶことになる4人の男たちはなかなか曲者ぞろいで、不正融資の詐欺容疑をかけられて逃げてきたフランスの投資家、イエルサレムのテロリスト、アメリカの教会に強盗へ入った、アイリッシュ・マフィア、メキシコの殺し屋という接点のない殺伐な人たちが二人一組で運ぶことになり、話が進んでいきますが、いかんせんやばい人たちが揃っていて、ジャングルという密林の中での過酷な運搬は彼らの心もズタズタにしていき、人間関係もめちゃくちゃになります。でも協力して困難を乗り越えたりする場面はちょいアツいです。その困難を乗り越えたあとの人間の気のゆるみというか、緊張のゆるみがとんでもないことにつながるのは心がいたみましたね。展開として巧妙なのは、今まで、主人公的な感じでフォーカスされてた人が、えええええ!?まじかよってなって心が持ってかれた。マジで怖かった。

油田火災について
この映画で大きな軸としてあるのが油田火災の鎮火。それまでのプロセスを描いていますが、その油田火災について少し話を。
1850年代から油田開発がアメリカで始まり、採掘を進めていく過程で、原油を掘り当てても、すごい勢いで噴出するもんだから、静電気等の原因ですぐに火災になったといいます。この火災事故は油田の拡大とともに大きな問題となっていったのです。現場では3人に2人が30歳になる前に火災事故で死んでいたといわれています。
1913年、油田火災の消火に当たっていたアメリカ人のカール・キンリーは、採油口のバルブをニトログリセリンで吹き飛ばすことを考案しました。実際に爆発させてみると、火災現場の付近の酸素が爆発とともに奪われ、短時間ではあるが火が消えたのです。その場の人間はそんなにそのことに気づいていなかったが、その現場で見ていたカール・キンリーの息子のマイロン・キンリーは、それを消火に利用できないかとビジネスとして事業を展開することを試みます。
1924年、12日間燃え続けてどうしても消火できないオクラホマの油田火災に対し、2日で消火したら500ドルという契約を結び(安すぎないかw)、ニトログリセリンの爆風による消火に見事成功したのです。これによって、この技術は一躍注目を浴びるようになりました。
息子の着眼点すごいよなあと思うし、後々巨大ビジネスに成長していくらしいけど、まずは火災が起こらないような採取の方法論の確立に注力することの方が本質的なんじゃないかと思うけどなあ。油田火災の消火は人命と環境を犠牲にするビジネスであると感じますね。資源がもったいねえよ火災起こしてたら。

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