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全裸監督 シーズン2(2021年/日本) 感想 全部が逆になってる!


おまたせされ過ぎた感はあるぞ!


〘全裸監督 シーズン2〙

全裸監督2ポス

画像引用元:ネットフリックス公式サイト https://www.netflix.com/

以下、一部にネタバレを含む感想記事です。


■ストーリー

アダルトビデオ制作販売で巨万の富を得た村西とおるは「空からエロを降らす」という野望を実現可能な衛星放送と出会い、全てを衛星放送に注ぎ込み全てが狂い始める。


■内容

冴えない営業マンが裏の世界でのし上がっていく過程を描くダーティなサクセスストーリーだったシーズン1に対して、シーズン2では成功者となった村西監督の暴走と破滅が描かれました。


新たな社員も加えて立ち上げられたダイアモンド映像、その基幹事業として村西は衛星放送を取り入れようと模索しますが、これをきっかけにこれまでの人間関係が大きく変化していく事になります。

シーズン1の大きな魅力だと個人的には思っていた村西の突飛さに起因する状況打破や奇想天外な展開、それにひかれ集まってくる人々といった要素は薄まり、シーズン2では非常に暗い苦しい展開が続きます。


とはいえ完結編としての完成度は高く、シーズン1とは違った形で描かれる村西とおるという人間像の見せ方や彼の壊れ方が面白いドラマでした。



■感想(ネタバレあり)

なんだかシーズン1の時より、山田孝之が村西とおるを演じているというよりモノマネしている感が若干強まったような気がしないでも無いシーズン2。しかしあの体型作りには明らかな本気を感じる。


吉田サテライト栄作演じる銀行マン山田に乗せられ衛星放送の魅力に憑りつかれた村西が、これに固執するあまり全てを失っていく、この過程が物語の大半を占める為、今作は非常に、非常に重い展開が続きました。


前作ではわりと軽めに描かれていた、周りの人間に多大な迷惑をかけながら我が道を突き進む村西、という側面が今作では大きく前に出ていて、例えばそのせいでサファイア映像の川田社長と袂を分かつことにもなりますし、トシの命運が定まるきっかけにもなりました。

また、事在る毎に説明を求められても「とにかく俺についてくればいいんだ」的な回答しかしない村西の姿も印象的です。

シーズン1ではそれらは村西のカリスマ性や魅力の象徴として描写されていたものでしたが、シーズン2では一転して彼の人間性を疑うような見せ方にシフトしていたのが面白かったです。シーズン2の村西とおるは本当に何考えてるのか分からない奴っぽすぎて本当にヤバい人になってんのよね。

なんだか表情も何考えてるのか分からないような感じの場面が多くなった気がします。


そんな姿勢を一貫した結果、シーズン1のトシ、シーズン2序盤の川田に続き黒木香までも村西の元を離れ、更には順子も独立し、どんどんサファイア映像時代からの仲間が去っていきます。

ここ等辺もこの後の展開もそうなんですが、やっぱり見事にシーズン1を反転させたような物語構造になってるんですよね。



衛星放送事業は見事に失敗し、中盤以降は金欠状態となったダイアモンド映像と村西が金策に走る姿が描かれます。

ここも面白いのは、村西の行動は言葉では会社の為といいつつ、本音はあくまで自身の理想を優先しているように描写され続ける点でした。

衛星放送事業関連への過剰投資で資金が枯渇している事が明らかとなり、出演女優やスタッフ達への給与も払えず、むしろそれ用にプールしていた金まで使いこんでしまう村西。

更に付き人として雇った男"コム"と地味メイクと衣装でもMEGUMI感を隠し切れない経理の女性2人の策略により、残された金も全て持ち去られいよいよ追い詰められ、遂には縁深いヤクザ古谷に借金をしてなんとかそれなりの大金を作りますが、結局それも衛星放送の放映権に投入するという壊れっぷりを披露。

村西は自身がどれだけ会社やスタッフ達の事を考えているのかを、シーズン2では様々な場面で口にしていましたが、それらが悉く口だけだったとしか思えないような判断と展開の数々が押し寄せてくるので、村西のメッキがどんどん剥がれていくようにも思えます。言い換えればその先見性は確かなものがあっても周りの人間をないがしろにし過ぎる姿勢で全て失敗しているようでもあり、とにかく「何がしたいんだこの人」感が凄いんですよね。


ヤクザに追われ、ホームレスになり、それでも付いて来てくれた唯一の女性である乃木真梨子と結婚し子供も生まれ、最後は村西が細々ながらも村西とおるとして生きていく様を描いて幕引きとなるこのドラマ。

また、かつての仲間達のそれぞれの顛末も描かれ文字通り完結します。

綺麗に終わっていると言えばそうなんですが、やっぱりトシの顛末が凄まじすぎて、物凄くそれが視聴後まで後を引きました。報われなさすぎだろトシ……。



バブル崩壊や暴対法の可決など、80年代末~90年代初頭の出来事とストーリーをうまく絡めた展開が多く、ロケーション描写でも90年代の日本の景観を相変わらず徹底して再現している点が個人的には本当に好きな部分で、加えて言えば正にそのバブルの崩壊が村西とおるという"キャラクター"に落とし込まれて描かれていたようにも思います。

あと各話でカメオ出演する吉本芸人に混じってしれっと何故か般若が出てきたの個人的に好き。般若を白バイ隊の役で起用してんのも好き。『内部告発』で三億円事件パロった結果。


■〆

個人評価:★★★★☆

感想では省いてますが村西とおる以外の登場人物達の細かいエピソードも面白い物が多くて良いドラマでした。

基本的にシーズン1とは真逆の、失敗と崩壊の物語となっていますが、その中でも村西とおるという人物へのフォーカスや、当時の世情を上手く活かした物語展開など、相変わらず色々と見所のあるドラマでした。


ではまた。

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