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ドニーダーコ(2001年/アメリカ)感想 意味不明すぎて周回しても意味不明とはこれ如何に。


今年から数年ぶりに感想記事の構成というか書き方をちょっと変えていこうと思います。


年末年始に観る映画のチョイス3年連続で失敗してる気がします。今年もよろしくお願いします。


〘ドニー・ダーコ〙

(DONNIE DARKO)

ドニーダーコ映画ポス

画像引用元:https://www.20thcenturystudios.com/movies/donnie-darko


以下、一部にネタバレを含む感想記事です。


■ストーリー

青年は日常を消費していき、不思議な出来事と偶然が頻発し、やがて世界の仕組みに目を向け始める。



■だいたいこんな内容でした(ネタバレ無し)


サイケデリック日常系SF。

拗らせ病み気味な青少年ドニー君の日常と、そこで巻き起こる不可思議な現象を、世界終焉までのカウントダウンと共に描いた作品。

ドニー君はやがて身の回りで起こる異常事態が自分に起因している事、自分が特別な力を持っている事を察していきます。更にタイムトラベル要素や多元宇宙論的なパラレルパラレルした要素がうっすら浮き上がり始める、ジャンル大渋滞な映画でした。


基本的にはドニー君の日常を中心に描いていますが、そこに要所要所で挟まれる終焉までのカウントダウンと明らかに超常性のある事象が絡んでくるために、常にソワソワしながらドニー君の動向を見守るような感じです。

この世界の終焉までのカウントダウンはメタ的に観客だけが知っている訳では無く、ドニー君自身もお告げっぽい感じで認識している点が特徴的でした。


ドニー君はやがて恋人の為の奮闘というゴールデンルートを辿る事になるので、一応主人公の取る選択や行動理由みたいなものは何となく分かる作りになっていたと思います。愛のパワーで人はなんでもこなす。




■感想(ネタバレ有り)


突然「世界終焉まであと○○」みたいなカウントダウンがぶっこまれ開幕する本作、主人公ドニー君は夢遊病に悩まされるイマジナリーフレンド持ちの拗らせ青年で、どこからともなく自宅に飛行機のジェットエンジンが堕ちてきたり、おおよそ人間には不可能と思われる悪戯が起きたり、謎の兎男と対面したり、告白がすんなり成功しすぎて逆に不安になったり、そんな中で出会った「タイムトラベルの哲学」という本を読んだ事で、この世界の真実を知り始める、そんな感じのフェスみたいな映画でした。



結局周回したのによく解らなかったので、ギブアップして先人たちの知恵を覗き見しました。

そこで発覚した書籍「タイムトラベルの哲学」の、内容の理解とその必要性。

ここに記されている内容である、この世界で起きている現象や時間逆行、超常現象の理由、そして背後に居る存在について理解しているかどうかで、物語の見え方が変わるみたいです。

「タイムトラベルの哲学」に記された内容を踏まえてザックリこの映画の設定を書くと、

主世界から別の世界※1に物質※2がワープしてしまい、それを主世界に戻さないと大変なことになる※3ので、ワープ先の世界に超能力者を一人選定し※4、その人が主世界に物質を送り返すまで世界が繰り返す※5というもの。au by KDDIみの深い文面ができた。

※1:本編で描かれる世界、接宇宙(タンジェントユニバース)。※2:ドニー宅に落ちてきた飛行機のエンジンがこれ。※3主世界が不安定になる的なことらしい※4リビングレシーバーと呼ばれる、超能力を持つ人間で選出はランダム、主人公のドニー君。※5世界終焉までのカウントダウン内でミッションを成功させないと接宇宙がリセットされる?この辺りは尚もまだよく分かってません。


「タイムトラベルの哲学」は作中に登場したロバータ・スパロウという、人の限界を迎えつつある痴呆老婆が書き残した本であり、この意外な事実は作中でも判明していちょっとした盛り上がりポイントになってたりします。

検索しても同名タイトルの別内容の書籍しかヒットしないので、ハリポタの「幻の動物とその生息地」みたいなノリで、劇中書籍を実際に売ってしまおう的な事は無かったっぽいんですよね。じゃどうやって本の内容を知ったらいいんだっていう、そういう謎が結局残った始末。

単に和訳販売されて無いだけでアメリカでは書籍として普通に手に入ったりしたんですかね。




とはいえ楽しみ方は一つじゃない事の裏返しというか、一見すると難解さに挑む事が正義みたいな作りのこの映画も、実はそれ自体がある種のミスリードみたいになっているようにも思います。

作り手サイドが核心に触れる設定を意図的に隠した事を考えると、そういう見方もできるんじゃないかなって。


世界が終焉しようとしてる中で、破滅的行為を繰り返す病んだ青年の日常と恋の物語に、超能力とタイムトラベル要素が組み合わさる圧倒的なカオス感がとても面白いです。

それが、実は偶然や本人の自由意思によるものでは無く、世界終焉を阻止する為に未来人が誘導していた結果であっても、暴走しがちな青年期の男の子が結末へ向かって猪突猛進していく後半の話運びはとても惹きこまれます。

ドニー君は中盤以降はもう「タイムトラベルの哲学」を読み始めてる訳で、つまり今の自分達の世界が主世界と分岐した世界である事も、自身が超能力を持っている事から世界終焉を阻止する為に選ばれた人間である事も知っています。

それでも尚、恋人の死んでしまう結末を変える為に、あの退廃的な雰囲気に満ちていたドニー君が命を張るまでのフローが凄く素敵だと思うんですよね。

成長や変化とも、気まぐれとも取れるような、若者らしい独特の勢いみたいなものがどんどん顕現していく中盤以降のストーリーがとても印象的で好きでした。



■〆

個人評価:★★★☆☆

日常と非日常のギャップが自然に混在するような世界観と、心ちょっと拗らせてる青少年ドニー君が、それなりの生き方をしているところから恋人の為に命を投げ出すまでの一連の展開とドラマ性は中々に見応えがあります。

それは言ってしまえば外枠である雰囲気作りの部分と、物語の基本的な部分の話で、良くも悪くも単純で分かりやすい要素ではあるものの、この映画の魅力はその辺りにも沢山詰まっていると僕は思いました。

ではまた。



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