フリーガイ(2021年/アメリカ) 感想 自我を持ったNPCが主人公を目指す映画。
自宅でフジロック配信の線を捨てて映画館まで観に行って正解だった。
〘フリーガイ〙(Free Guy)
画像引用元:20th century studios https://www.20thcenturystudios.jp/movie/Freeguy.html
以下、一部にネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
フリーシティで同じ生活を繰り返す銀行員の青シャツ男"ガイ"が、ある女性と巡り合う事でこの世界がオープンワールドゲームであり自分自身がNPCである事を知り、世界を変えようと奮起する。
■内容
自我を持ったNPCが出現したゲームを題材にしたコメディSF映画。
"フリーシティ"というオープンワールドゲームの世界と、現実世界のふたつの舞台が相互に絡み合いながら物語が進みます。
ゲーム的なあるあるがかなり盛り込まれるのはもちろん、ゲームの世界を題材にNPC視点から描くという特徴を活かした展開や場面が多く、それらがシュールな笑いを誘うコメディ映画としての側面と、完全自立型のAIがゲーム世界のNPCの中に現れたらどうなるのかというシチュエーションを描いたSF映画としての側面が上手く融合した内容で、ここに現実世界の事情が絡むことで非常に様々な面白さを内包した映画として形成されている印象です。
■感想(ネタバレあり)
GTAオンライン等の自由度高めなオープンワールドゲームで散々惨禍を巻き起こした全プレイヤーが一旦自分のやってきたことを見つめ直す良い機会になる映画。
自分達の作ったインディーゲームのソースコードを勝手に転用されていると考えその証拠を探す現実世界のミリーとキーズの二人とフリーシティ運営ゲーム会社のスナミ及び社長のアントワンとの対立構造、そして二人に協力しながらみるみる成長していく元モブキャラのガイの関係など、見所は沢山詰まっているんですが、個人的に観ていて一番面白いと感じたのがモブ視点のゲーム世界という部分でした。
ゲーム内のモブキャラ視点から描くゲーム世界のリアル、という面白さが堪能できるだけでもかなり面白い映画です。
日常的に襲われる銀行や商店や一般通行人たち、常に何か爆発したり攻撃される市街地、そんな世界が普通のノンプレイヤーキャラ達の視点をしっかり描写している事で、自我が芽生えたモブキャラ"ガイ"の異質さがより強調されます。目の前で強盗が起きても他愛のない会話を親友の”バディ”と続ける絵面の面白さ。
ライアンレイノルズ主演ですしコメディ映画の色がかなり濃いんですが、一方で世界観の階層構造であったりメタ要素が物語そのものに絡む部分だったり、自我を持ったAIの物語そのものだったりと他にもたくさんの見所があって個人的に凄く好きな部類の映画でした。
ライアンレイノルズが「これは現代版BTTFだ」的なこと言ったよってウィキペディアに晒されてるんですけど、たしかに面白さのベクトルがBTTFっぽいところがあります。
加えて『トゥルーマンショー』のような、嘘の世界で生きる存在を観察する面白さみたいなものも込められていますし『レディプレイヤー1』よろしくななんでもあり感も漂っていました。
キャプテンアメリカの盾を構えハルクの腕で攻撃を行ったりライトセーバーやロックバスターを使用したり、ゲーム"フリーシティ"が他作品とコラボした際の限定アイテムであろう版権アイテムが後半で多用される辺りの遊び方がいかにもって感じで好きです。
続編が出るのでサ終の危機を迎えている"フリーシティ"ですが、それに加えて不正に他ゲーのソースを流用していたことがバレたのでサーバー自体を物理破壊し始めるアントワン社長のせいで二重に世界崩壊の危機が訪れる後半のバタバタ感が凄まじかったです。
ゲーム世界の崩壊を、ゲームキャラと現実のプレイヤーが協力して阻止するって流れそのものも個性的で面白いですね。
■〆
個人評価:★★★★☆
ゲームらしさを上手く活かしながら基本はコメディチックにドタバタを描いた良作だと思います。
ではまた。
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