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【僧侶の一日①】朝5時半からスタート! 築地本願寺のお坊さんたちの1日のおつとめとは?

築地本願寺にはたくさんのお坊さんたちがおつとめしています。そんな彼らは、毎日、どんな風に過ごしているのでしょうか? ここでは、普段見られない、そんなお坊さんたちの裏側をご紹介します!

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参拝者が焼香する香炉の準備

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開門前の朝5時30分ごろ、築地本願寺にある仏飯所では、参拝者が焼香する香炉(こうろ)の準備が始まります。開門から閉門までの約10時間、炭が消えないようにしっかりと火を入れ、周囲を灰で丁寧に包みます。
 お焼香は、仏さまと参拝者を繋ぐ香りの荘厳(しょうごん)(お飾り)です。心穏やかにお参りができるように環境を整えるのも、大切なつとめです。

朝、輪灯の灯心を整える

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築地本願寺の早朝6時。本堂の内陣(ないじん)では、お勤め前に輪灯(りんとう)の灯心を整える僧侶の姿を見ることができます。
輪灯とは、本願寺がまだ石山(現在の大阪城の付近)にあった頃から用いられている、浄土真宗独自の照明具のこと。最近は、輪灯に電気を使うことも多く、本物の灯心と油を使うお寺は減少しているようです。
装飾として入っている透かし彫りには、菊(きく)や牡丹(ぼたん)、藤(ふじ)、桐(きり)などの種類があり、築地本願寺では菊花(きくか)と牡丹の輪灯を用いています。
なお、灯心の火は参拝者から見て横一文字に見えるよう整えます。ゆらゆらと揺れる炎を眺めていると、気持ちがすっと整うような心地になるから不思議です。本堂を訪れたら、ぜひ、一列に並んだ灯を探してみてください。

築地に響く鐘の音

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早朝に築地に響き渡る鐘の音。
毎朝6時半になると、築地本願寺の僧侶が「梵鐘(ぼんしょう)」という青銅製の大きな鐘を鳴らします。サンスクリット語で「清浄(しょうじょう)」を意味する「梵」という字が含まれたこの鐘は、文字通り「清浄なる鐘」を意味します。
鐘の打数は10打。最初の8打は前の音の余韻がかすかに残るくらいまで間隔を空けて撞(つ)き、最後の2打は少し間隔を早めて撞くのが作法です。
普段は梵鐘のある鐘楼(しょうろう)に、参拝者が立ち入ることはできません。しかし、12月31日の「除夜会(じょやえ)」には、先着350名がこの梵鐘を除夜の鐘として撞くことができます。ぜひご参加ください。

法要の始まりを告げる、鐘の音

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築地本願寺には、梵鐘(ぼんしょう)の他に「喚鐘(かんしょう)」という鐘が本堂横の中庭に吊るされています。「行事鐘(ぎょうじしょう」ともいい、法要や儀式の開始を知らせる合図として打つ鐘です。京都・西本願寺では1688(元禄元)年から阿弥陀堂と御影堂の間に掛けられています。
打つときには丁字型の撞木(しゅもく)を用い、打ち方は「適当な間隔で七打してから、打ち上げて打ち下し、次に五打してから再び打ち上げて打ち下し、最後に三打する(三打のうち第二打は小さく打つ)」と厳密に決まっています。打ち手は、若手職員が担当しますが、実際に打てるようになるまでは数ヶ月の練習を要します。
喚鐘の響きは、法要の開始を告げるのみならず、厳かな宗教空間を演出します。参拝時は法要開始時間の少し前にお越しいただき、その音色にご注目ください。

僧侶の一日a

打ち方について

晨朝勤行(じんじょうごんぎょう)の唱え合わせ

僧侶の一日

朝7時からの晨朝勤行10分前に香房(こうぼう)(控え室)で行われる「唱え合わせ」。出仕者全員でその日のおつとめを声に出して最終確認します。
正確な音程と節(ふし)(メロディー)で間違いのない勤行(おつとめ)をするため、音の高さを確認する調子笛(ちょうしぶえ)やチューナーを用いながら、毎日欠かさず行われています。

浄土の美しさを表す仏華を生ける

仏花

築地本願寺の各施設のご尊前には、菊の花だけで総数400本も用いた仏華が供えられています。花の開き具合の点検や水差しも僧侶の大事なお務めです。最も大きいものは本堂正面の阿弥陀如来の尊前に供えられた仏華です。花瓶も入れると高さは約2m、重さは約30㎏にもなります。鮮やかな花の姿は、参拝する人たちに仏さまの慈しみや浄土の美しさを伝えてくれます。

一日を締めくくる勤行(ごんぎょう)

勤行


築地本願寺では毎朝7時からの晨朝(じんじょう)勤行だけでなく、16時から日没(にちもつ)勤行を本堂で行っています。出仕する僧侶は1~3名程度で読経時間は約10 分と晨朝に比べると短く、法話等もありませんが、築地本願寺の一日を締めくくる大切な勤行として、毎日欠かさず阿弥陀さまの前でおつとめしています。YouTube「築地本願寺LIVE」でも、毎日16時から視聴&参拝が可能です。

なお、「【僧侶の一日②】デスクワークもオンライン会議もする⁉ イマドキのお坊さんのお仕事事情」はこちらからご覧いただけます。

※本記事は『築地本願寺新報』に掲載された記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。