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神保町「ほんまる」で「てつまる」を始めました!

 今年4月、神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」。
 直木賞作家の今村翔吾氏がオーナーで、佐藤可士和氏が空間デザインやロゴを手掛けていることで話題になりましたが、私も「てつまる」の店名(棚名)で棚主となり、10数冊の本をセレクトして並べています。

 シェア型書店は最近見かけるようになってきた業態ですが、「ほんまる」の棚主になると、自分の棚に中古本や自作の本を置くことができるほか、個人で口座を持つのはほぼ不可能と言われている取次からも新刊を取り寄せることが可能です。
 自分の書店というのはちょっと大袈裟ですが(ビジネス的にはまず成り立ちませんし…)、本の聖地である神保町に「自分の書棚を持てる」ような感覚が魅力で、始めてみることにしました。
・ 自分が読みやすいと感じた初心者向けの哲学書
・ デザインの本質に触れられる(と自分が思っている)本
・ (10年以上前の上梓ですが)自著の一部
を並べています。

 元々、ビジネス書を中心にそれなりに本を読むほうではありましたが、2年間の美大生活を経て、読書の傾向が大きく変化しました。デザインの理解には哲学的な思考が必要であることを痛感し、哲学の素養がない自分がどういう本を読めばよいのか、試行錯誤を繰り返してきた中で、特に読みやすく、得るものが多かったと感じている本の一部(自著を除く)をここに並べています。

 そうした試行錯誤の中、こうした本を読み進める際のコツというか、今まではあまりしてこなかった本の読み方を取り入れたことが、読書の幅を広げるのに役立っているように思います。
 これまでは読書をするというと、
先頭からしっかり理解しながら読み進める(教科書的な読み方)
必要な時に必要な箇所をピックアップして読む(辞書的な使い方)
という2つのパターンのどちらかで読んでいたように思いますが、ここに並べているような本の一部は、①で読もうとすると必ず理解できない部分に行き当たり、そこで挫折してしまう。かといって、全体像を掴めていないと各部の意味もわからないので、②のような使い方もできない。そういった理由から、いわゆる「積ん読」になってしまいがちでした。

 そうした中で見出したのが、
よくわからなくてもとにかく字面を追い進め、そのうちに刺さる部分が見つかればそこをじっくり読む
という第3の読み方です。
 この読み方が効くのは、自分の中に何らかの問題意識があること、読んでいる本がその問題意識に関連するものであることが前提にはなりますが、自分がモヤモヤと感じていたことが言語化されていたり、そこから新たな可能性が開けそうなフレーズに出会ったりした際には、「こうすればうまくいきます」的なハウツー本では決して味わうことができない、感動に至ることがしばしばです。その箇所にマーカーで線を引き、付箋を貼っていくのが、③で読むときのスタイルです。

 そうした背後にある問題意識は人によってさまざまであり、自分に刺さった本が他の方にも刺さるとは全然限らないので、決しておススメ書籍などとは言えませんが、自分に限らずたぶん他の棚主の皆さまも、そうした「自分に刺さった本」を並べておられるのではないかと思います。
 おそらくそうした背景から、「ほんまる」の店内は普通の本屋とは明らかに異なるカオスとなっていますが、人の意識や個性が感じられる、空気の濃い空間です。読書好きの方が神保町に来られました際には、ぜひ一度、お立ち寄りください。「てつまる」は1階の21章6節、下の写真の赤丸の棚です。

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