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先入観を排して工業製品をそのままに見る。

 先日大阪に出張した際に、東大阪の工場が製造した工業製品をアート作品として展示した「東大阪国際芸術展」を見に行ってきました。
 大阪大学大学院文学研究科「徴しの上を鳥が飛ぶⅢー文学研究科におけるアート・プラクシス人材育成プログラム」の活動の一環として、同プログラム受講生のアートで元気になるプロジェクトの津村さんが中心になって企画されたそうです。

 この展示とコンセプト、そういう方法があったか!と驚かされ、中小企業関連の仕事に携わる者の一人として考えさせられるものがありました。

 ギリシャ語で技術を意味する「テクネー」は、元々は芸術を含む概念であったのが、いつしか両者は異なる作用を有するようになっていった。その一方で、両者の境界は曖昧なものでもあり、技術と芸術の境界線は一体どこにあるのだろうか?を問いかける企画です。

 普通は「工業製品」「部品」としてしか見えないものが、こうやって展示されると、その形状や輝きの美しさに見入ってしまいます。
 ひし形金網のしなやかさ、歯車の力強さ...
 一つひとつのものから、その役割を果たそうとする声が聞こえてくるようです。

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 中小企業を対象にした産業交流展やマッチングイベントのような企画はよく行われていますが、そこに並べられるのは「工業製品」であり「部品」。そこに集まる人の多くは購買担当者だから、当然ながら、それぞれを「金網」や「歯車」といった先入観をもって見ている。
 それはそれとして必要なことではあるのですが、そうした見方でしか成果物を見せられる機会がないと、技術そのものが持つ可能性を限定してしまうことになるのではないか。
 ものを、そのもの自体の美しさが表せるように展示する。そして、先入観を排してそのもの自体を見ることが、ものづくり中小企業が持つ技術の潜在的な可能性を考えるきっかけになるのではないか

 すでに展示が終了してしまったのが残念ですが、大きなヒントをいただけたように思います。
 ちょっとでも展示の雰囲気を再現して、ものをそのままに見れるように、企業名や製品名は付記せず、写真だけ並べておきます。

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※ 出展企業に関する情報は↓です。


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