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唐辛子に浮かぶ肉片で舌鼓「蓬渓閣」

本郷三丁目駅から東大赤門へ向かって歩く。大きな交差点を少し進んだところに、蓬渓閣の看板。入り口は少しわかりづらいが、要は二階だ。店内はいつも多くの客でにぎわっているが、異国の雰囲気を漂わせている。一度など、お客が私以外中国人ばかりだったこともある。

こちらはさすが学生街の入り口、ボリューム満点の定食が並ぶ。名物はよだれ鶏。おそらく一人前をすべて平らげると、2000カロリー近いのではないかと推測される。ラー油に浸った鶏肉にはナッツの砕いたのがこれでもかと振りかけられている。土俵入りに近い。

東大生にも人気のメニューの一つが、ラムの唐辛子炒め。侮ってはいけない。注文が運ばれてきたら、あなたは瞠目するだろう。

「とうがらし85パーセント」

そう、乾燥唐辛子85に対し、ラム肉の切れ端と野菜の何やかや15。これらが甘辛く炒められているのがドドンと到着である。さすがに日本人客は唐辛子の6から7割を避けて口に運ぶ。(つまり、唐辛子の約5割は皿に残される。それは許されている。)食品ロスが叫ばれる中ではあるが、あなたの胃に穴が開く前に、少々の食べ残しには目をつむってもらうしかない。

しかしやめられぬ不思議な旨さ。箸を止めずに白飯を食らう。

夏でも冬でもみな平等に額に汗がにじみ出る。レジではなじみ客と従業員の会話が漏れ聞こえてくる。おそらく中国語だ。

東大前に小さな中国ワールドがある。

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