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covid-19は憎くても「コ〇ナビールのことは嫌いにならないでください」

緊急事態宣言の解除を受けて、今まで駅前のちょっとしたスペースを見つけては申し訳なさそうに缶チューハイを開けていたアルコールのおともだちの面々もほっと肩を撫で下ろしたようだ。それでは解除の勢いで、この機会に、コロナビールの話をさせていただきたい。(まさにどさまぎ)

私がはじめてコロナビールを飲んだのは、20年以上前のことだ。忘れもしない、大阪の梅田スカイビル。梅田の街を見下ろすこのビルの展望台には、小さなバーのようなものがあって、外国のビールを瓶で楽しむことができた。

コロナビールは海外の様々なビールの中でも比較的安く、まだ若かった私でも気軽に頼むことができたのだ。

そして、高所恐怖症の私には、梅田スカイビルの展望台の恐怖に打ち勝つために是非ともアルコールが必要であった。

だから、良く冷えたコロナビールだったと思うのではあるが「ちょっと酸っぱいかな?」と思う程度で、二、三本開けたこと以外は記憶にない。当時はもうコロナビールが何なのか…メキシカン料理の店もすでにいくつかあったので、皆知ってはいた。アサヒスーパードライの全盛期だったから、コロナビールもクリアですっきりした味わいのビールとして、みんなにすっと受け入れられていたと思う。

二度目にコロナビールを飲んだのは、同じく梅田近辺の海外の飲食店が集結したフェスであった。南米料理の店がたくさん出店していた。今ではもう珍しくもなんともないシュラスコや何かの串焼きに訪れた人々は舌鼓を打った。さすが大阪、他国の料理を受け入れる胆力が違う。会場は超満員である。そんな中、フェスのある一角で、氷水につけたたくさんのコロナビールが売られていたのである。

聞けば、「現地の」飲み方で提供してくれるという。興味津々でコロナビールを受け取ると、くし切りにしたライムを付けてくれた。このライムをちょっと齧るか、コロナビールの細い口の部分で絞った後、皮ごとコロナビールの瓶の首先に押し込めという。

「そんなことすると、ビールの泡はどうなっちゃうの?」

怪訝に思ったが、言うなりにしてみる。瓶から一口、冷えたコロナビールを吸う。

これが、なかなかに、相当美味い。

通は瓶縁に塩を付けたりするというから、カクテルに近い楽しみ方ではある。しかし、私がその時に受けた印象は、ビアカクテルともひとあじ違う、ライムの鮮烈なフレーバーと、ちょっと酸っぱいコロナビールの強烈なマリアージュであった。ビールは泡で蓋をして、酸化を防ぎながら飲む…という正攻法とは違った、しかし確実な旨さ。

だから、おそらくコロナビールの多くが今でも「瓶」で販売されているのにはある種のこだわりとそれなりの訳があると思うのだ。

以来、私はコロナビールのファンである。また、ちょっとよさげなライムをスーパーで見つけると、多少お高くても購入してしまう。つまりライムのファンでもある。ライムの鮮烈な香り、フレーバーは、ほかの柑橘では得られることができないように感じる。

未だコロナビールを飲んだことがないのであれば…この機会に、ライムを手に取って、本場のコロナビールの楽しみ方を実践していただきたい。本場のメキシコの方から、「本場ではライムを齧るなんてしないよ。その飲み方は観光客用。」、などと笑われるかもしれないが、それはそれ。

そして何の罪もないコロナビールが風評被害を受けていなければよいが…そう願うばかりである。

くれぐれもスダチやカボスで代用しないように。

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