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PANAMAMANのお蔵出し~浜松町・田町↔新橋編・有楽町編

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都内の食べ歩きなどなど、趣くままに書き留めています。
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#浜松町

古くて新しい鯛めし問題「鯛樹」浜松町

自粛生活から開けて、私を待ち受けていたのは酷暑だった。 暑い。とにかく暑い。正気の沙汰とは思えない気候の中をマスクを付けて出勤の毎日。一体世の中はどうなってしまったのか。これはもう一大ブームといっていい。そう、苦行ブームの到来である。 しかし、そんな中でもゆっくりと着実に飲食店にひとが戻ってきている(ところもある)。 浜松町北口近くの鯛樹。ランチに宇和島風の鯛めしが楽しめる、人気店である。 ここで改めて「鯛めし」とは何を指すものかが問題になるだろう。 粋な和食の割烹

タルタルチキンで「ときめき弁当」浜松町

浜松町駅から数分の場所に、大きな高級高層マンションが建設され、地元民が口を揃えて言うところの、「都内最大の再開発失敗地域」との呼び声が高かった浜松町の街並みが少し変わった(もちろんいい方向で)。薄暗い浜松町北口の近隣、昔からあるいくつかの通りに、それなりにちゃんとした飲食店が入居するようになってきた。一昔前、浜松町の雑居ビルなど、上階にはビルオーナーが経営するマージャン店や、うさん臭さの残る「〇〇診療所」などが入居していて、とてもじゃないけど港区の感じはなかった。時が移ろうの

手打ちにせざるを得ない大門「集来」

世の中には、かなりの確率でひねくれた人がいる。たとえば、焼酎専門店でビールばかり頼んだりする人。クラフトビールの店で、スーパードライを飲み続ける人。冷酒を飲み切れず、「熱燗にして」と言ってしまう人。 大門駅からすぐ、ビルの奥まった一角に「集来」はある。食べログか何かでよくよく地図を調べておかないとわかりにくい場所だ。「こんな場所に名店があるはずない」と、ひねくれた視点で街を探すのがコツだ。そして、この大門の老舗中の老舗には、ひねくれたお客が来るようなのです。 手打ちか、手

夢の途中「ドリームファクトリー」

窯焼きのピザというのも因果なもので、窯焼きがそうも珍しくもなくなった今では、お店のほうも「窯焼き」というその触れ込みだけでは生き残っていけなくなっている。 しかし、こちらのドリームファクトリーでは、薪をつかった大きな窯で旨いピザを焼く、そのことをアピールしなさすぎである。そんなんで大丈夫か? 前には白髪の名物親父がむすっと不愛想な顔で大きなマルゲリータを焼いてくれていたのだが、引退されたのか最近は見かけない。 その昔、私が何の気なしにテレビのニュースを見ていたら、浜松町

受け継がれるロックテイスト「味芳斎 本店」

味芳斎本店は、芝大神宮の参道にある、やってるよ、の看板で地元民におなじみの中華屋だ。やってるよ、のふざけた文字は、だれによるものか聞いたこともないが、私の想像では、前の店主のものではないか。 ずいぶんいい年になってからも、本店の椅子に腰かけて無駄話に花を咲かせていた、前の店主…おじいさんがいたのだ(もういない)。 前の店主のころはめちゃくちゃだった。まず、店内にはヘアヌード写真を…いろんなものをもろだしに出したカレンダーをべたべた張り付けていた(そんなのどこで手に入るのか

大門・浜松町名店味めぐり「秋田屋」

浜松町駅北口から東京タワーに向かって歩いていくと、秋田屋のビルが目に入ってくる。私が初めて浜松町の街に降り立って、秋田屋を訪れたときには、秋田屋は近隣の別の場所で仮営業をしていた。 煮込みとうふと氷頭なますとにらのお浸し、焼きとんはレバー、ハツ、たたきをたれで。 仮営業のころから頼むものは変わっていない。いや、メニューはそんなに多くない、多くないが一品一品の重みが半端ない。どの品にもげんこつで下腹にきついの一発、くらわすようなインパクトがある。関西方面の軽やかな居酒屋文化