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おとな女子こそ南イタリア番外編:イタリアの結婚式

昨年の8月、NY在住の‟イタリア人の甥っ子”アルベルトからWhatsappでメッセージが届いたのが始まり。『僕たち、来年10月に結婚が決まったよ!イタリアで式を挙げるから、出席して欲しいんだけど!』 さらに『Zia Giappone(日本の叔母さん)夫妻には、ぜひ晴れ姿を見て欲しいんだ!』 おまけに、世界中あちこちからゲスト参加を予定しているので、結婚式イベントは3日間のフルコースで行うというじゃありませんか。

アルベルトとは、私がサレルノのカルディナーレ家に‟末娘”として迎え入れてもらった30年前に出会った訳で。イタリアの甥っ子姪っ子たちの中で彼が最年長ということもあって、彼のPrima Communione(初聖体拝領式)にも出席しているという、何かと縁があり、一番可愛がってきた子。

Prima Communione:初聖体拝領式
カトリック教徒にとっては非常に大事な5大儀式の3つ目。生まれた時に受けるBattesimo:洗礼は、親が子供の意思に関係なく行うため、これはカトリック教徒(仮)という状態。そのため、子供が10歳頃になった時に‟正式に”‟自分の意思で”カトリック教徒であると宣誓する儀式がプリマ・コムニオーネとCresima:クレージマ(堅信式)。サレルノ界隈では、プリマ・コムニオーネとクレジマを一緒に行うことが多い。教会での儀式の後は、親戚一同を招いた盛大なパーティーが催されるのが普通(披露宴レベル)。日本の七五三みたいな位置づけですかね。

ちょっと会わないうちに日本のアニメオタクに育っていて(初めて会った外国人が私だったから、と言う理由らしい)、大学の卒業旅行では仲間と共に日本へやって来たり、その後、初めてできた彼女(→後の新婦)を紹介したいと再来日したり、とにかくニッポンダイスキな男の子。30半ばの大人に対して男の子呼びは変だけど、私にとっては出会った5歳頃のLovely Boyのままなので、仕方なし。

コロナ期間が明けたものの、この先どうなるのかがまだ不透明でモヤモヤが残っていた所に飛び込んできたHappy Newsに、『オメデトウ!もちろん!あなたの結婚式のためなら、叔母ちゃん達はイタリアだってどこだって行くわよ!』 と即答(夫には『来年イタリア行くことになったからね』と事後報告)。

という事で、1年以上前から動き出したイタリアでの結婚式参列。プライアーノってかなり僻地じゃない?皆どうやって行くんだろう?ついでに親戚筋に顔も出したいからサレルノに前泊?後泊?などなど、ワクワクし始めたら止まらない私。何より、サレルノ近辺を訪れるのは10年以上ぶりだし、行きたい処が山ほどあるし。

直ぐにサレルノの姉Rosaと、新郎の母である従姉Giusyに諸々連絡を入れたところ、『まだ1年以上あるじゃない~、そんな先の事なんて全然判らないよ~』という、何ともイタリア人的な答え。ああ、そうでした、カルディナーレ家はこういうノンビリな人たちでした、と思い出し、温度差にガッカリした気を取り直し(笑)。自力でああだこうだと計画すること約1年、晴れて善き日を一緒にお祝いすることが出来て良かったー!

ちなみに姉Rosa、式の約1ヶ月前になって突然やる気スイッチが入り、『あなた達のイタリア滞在中、私がちゃんと面倒を見るから大丈夫!』毎日何通もイタリア最新情報メールが来るように。実際は、大事な場面で放置されることもありましたが(笑)。博士号を持ってる超秀才なのに、天然で面白い愛すべき姉です。

さて、ニッポンの叔母ちゃんとしては、花を添える役割もあるし、ここは和服でしょう!と海外和服デビューを決めました。そもそも、背も低く手足が短いこの体形では、欧米からのゲストに勝てる訳がないですからね~。この件については、1年以上の準備期間があって良かったですけれど(海外着物事情についてはコチラをご参照&また後日、実体験からの結論&提案を書く予定)。

新婦のシルヴィアは、ポーランド系アメリカ人。小さい頃に移住しているため、東欧訛りの全くない完璧なアメリカ英語を話し、頭の回転が速く、地に足の着いた女性。出会って6年、2人の間にはそれなりに山も谷もあった様ですが、とにかく結婚となって良かった!楽天家アルベルトの手綱をしっかりコントロールしていて、頼もしい限り。

2人の友人と職場の人々、新婦側の両親や兄弟家族はNYから。新婦の親戚筋がポーランドから参列。アルベルト側は大学の同級生達が世界の各地から、家族はイタリア各地(と日本)から、皆それぞれが家族やパートナーを伴ってやってきたものだから、総勢140名を超えるゲスト!ホテルの部屋を押さえたり、団体客にはバスの手配など、準備は相当大変だったはず。このご時世、オンラインで打合せは出来るものの、衣装合わせなど現地にいる必要があることも多く、最終的にNYとプライアーノを何往復したか判らないと言ってました。

ゲストのうち90名以上はアメリカからやってきたので、イタリアの奥地にいるというのに米語漬けだった3日間。なんとも不思議な感覚でした。こんなに米語まみれも、久しぶり。元々あんまりアメリカに興味がない身なのでね~。ああそうか、米語って、口を横に開けて喋るからミャーミャー聞こえるんだわ・・・(故エリザベス女王の話される英語は、本当にキレイでしたから!)。ちなみに、アルベルトの英語は、流暢ですがイタリア訛りが強めです。ミャーミャーに比べたら、随分と可愛らしく聞こえます(叔母バカ)。

普通は、イタリア人の結婚式は1日だけです(と言っても終わるのは翌朝2~3時)。今回の様に3日間の豪勢なパーティーは、彼らが言うにNY流というかグローバルなやり方。海外から来てくれるゲストが、この3日間のうちどこかに出席できるように、という配慮です。一番遠くからやって来た我々夫婦は、全部出席したのですけれど。

1日目は、19時からウェルカム・ディナー。集った人々の顔合わせを兼ねての会食ですが、ここから既に大量のお料理がサーブされて、しかも全て美味しいので、もう大変。

2日目、16時からホテルのテラスで挙式(神父さんが英伊2か国語で執り行った)、18時からカクテルタイム、19時からディナー、22時過ぎからデザート&ダンスタイム→翌朝3時まで。さすがに体力の限界、あとは若者だけで盛り上がるのだろうと、我々夫婦は12時過ぎにこっそりと部屋に戻ったのですが・・・。翌朝話を聞いたら、90を超えている新郎の祖母をはじめ、姉のRosaや還暦越えしている多くの親戚筋の人々も最後までいたらしい!恐るべしイタリア人。

3日目は、ランチパーティーの予定でしたが、突如変更に。各国から様々なバックグラウンドを持つゲストが集まるため、教会での式は行わないと決めていたものの、直前で宗教婚も行うことに(2日目の式に参列したイタリアの親戚筋から声が上がった様子)。急遽決めたので、これは双方の家族のみ出席ということになり、私たち夫婦は遠慮させてもらいました。と言うのも、20年程前にカルディナーレ家の別の結婚式に参列しており、教会式が結構な長さだったことを覚えていたので。神父様の説法はもちろんのこと、親族の中から代表者が聖書の一説を延々と読み継いでいくのです。教会の式は全部イタリア語だし、2時間以上もいると、真夏でも足元から冷えてツライんですよ、教会内って。石の床は冷えますよね。

そして、着物は大正解!荷物が多くなって大変でしたが、新郎新婦からも感謝され、何より結婚式を盛り上げるのに一役買えて良かった!参列者はもちろんのこと、ホテルのスタッフからも一緒に写真を撮って欲しいと言われたり、人生で一番モテた日かもしれません!色々と声を掛けられ、いっぱい褒めてもらって、私にとっては良いエネルギーチャージとなりました!欧米の人は、ちゃんと言葉に出して褒めるので良いですよね!これは日本人がもっとやった方が良いことのひとつ。

色無地だったので(一応、ひとつ紋)、夫は『ちょっと地味だったんじゃないか~』と言ってましたが、いやいや、これでちょうど良かったのですよ。これで柄のある着物だったら、もっとモテモテで大変なことになっていたはず。新婦に睨まれる事態になっていたかもしれない(笑)。新婦より目立ってはいけないということは、ドレスコード以前の問題ですからね!

今回は3日間ともドレスコードがきちんと記載されていて、1日目はスマートカジュアル、2日目は当然フォーマル。トップの写真をご覧いただく通り、色鮮やかで皆さん素敵でしょう?基本的に欧米では、お祝いの席・華やかな場で、黒は避けた方が良い色、特にイタリアでは今もタブーとされています。カトリックのお膝元だからでしょうか、黒は喪の色で、かつては夫を亡くした女性は生涯ずっと黒い服しか着ないという慣習もありました。今でも田舎の方へ行くと、村の老婦人がみんな黒装束だったりします。

今回はゲストの約9割が、人種のるつぼと言われるNYからの参列。出身国も宗教も民族も異なる様々な人々が集う場ということで、新郎新婦からのドレスコードのお知らせには『女性の黒ドレスは避けてください。イタリアでは伝統的に結婚式に黒衣装は着ません。』と注意書きがありました。特にアメリカ人女性と日本人女性は、お祝いの席でも黒色を好む人が多い気がします。明るい色が苦手という方も少なくないと思いますが、この様なシーンでは濃紺チョイス、あるいはサテンなど光る素材のグレーなどはいかがでしょう?

兎にも角にも、素敵な時間を過ごすことが出来た結婚式への参列はもちろんですが、イタリアの親戚の中には、10年ぶり、20年以上ぶりに会う人も多かったこと。中には90歳を超えている人も何人かいて、もしかしたら・・・という気持ちもあり、はるばる行った甲斐は十二分にありました。この機会をくれた新郎新婦には感謝です。

そしてそして、贔屓目なしで、うちの姪っ子たちが一番美人だったー!あんなに小さかった子たちが、こんなに美しく成長していて感無量&勝手に鼻高々だった叔母ちゃんなのでした。来年は、アルベルト&シルヴィア夫妻を始め、あの子もこの子も日本に来るらしい。ニッポンの叔母ちゃんは、どうやら忙しい1年になりそうです。ふふふ。

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