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【4/26】発明やブランドを守る?知的財産権とは? #世界知的財産デー

4月26日は #世界知的財産デー です✍️

「世界知的所有権の日(World IP Day)」
とも呼ばれるこの国際デーは、知的財産が
担う役割の理解促進を目的として2000年に
世界知的所有権機関(WIPO)によって
制定されました。

1970年4月26日に国連の専門機関として
WIPOが設立されたことに由来し、同日が
世界知的財産デーとして定められました。

今年2023のテーマは、
「女性と知財―イノベーションと創造性
を加速する力」
で、女性の発明家やクリエイターの活動
を称えるキャンペーンが行われます。

今年は女性に焦点を当てるということで、
WIPOは、先月の投票テーマでも取り上げた
#国際女性デー にこのようなツイートを
していました👀

そもそも知的財産とは

知的財産とは「財産的な価値のある情報」
のことで、発明やアイデア、デザインなど
が含まれ、それらの情報に関わる権利は
知的財産権と呼ばれます。

知的財産権は、新たな知的財産の創出を
促すため、法律によって一定期間その権利
が保護されます。

特許庁「知的財産権について」より

知的財産には、いくつかの種類があり、
それぞれに権利の要件と保護の期間が法律で
定められています。

例えば、私たちもよく耳にする「特許権」は、
「発明」を保護するもので出願から20年
その権利が保護されます💡

一方で、こちらもなじみ深い「著作権」は、
「文芸、学術、美術、音楽、プログラム等の
精神的作品」を保護
するものです。
作品の完成と同時に権利が生まれ、
保護期間は著作者の死後70年です🎼🎨

このように、同じ知的財産であっても
その内容や保護の期間、出願の必要性などが
大きく異なります。

知的財産を取り巻く環境はより複雑に

AIが自動生成した画像に著作権を認めるべき?

現行法においては、AI(人工知能)が
自動生成した作品に著作権は認められて
いません

著作権は、著作物などに関する著作者等の
権利を保護するもので、著作権法では、
「著作物」を以下のように規定しています。

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法 第2条第1項第1号

AIによる作品に著作権を認めるかの争点は、
AIが自動生成した作品を著作物として
認めるか
という点にあります。

しかし、現時点でAIに「思想又は感情」
があるとは考えられていない
ことから、
AIの自動生成作品に著作権は認められて
いません。

今後、AIの自動生成作品に著作権を
認めた場合、著作物が急激に増加する
可能性があり、人間の著作者による創作
に影響が出ることが懸念されています。

一方で、このまま認めない場合もAI開発者の
開発意欲を削ぎ、AI開発に停滞をもたらす
可能性があり、今後も議論が続くことと
なりそうです🤔💭

メタバース上でも知的財産権は重要!

AIと同様に、メタバースNFTも近年の
知的財産権を取り巻く環境を知る上で
欠かせないトピックです。

既にゲームやオンラインライブなどで
利用されているメタバースは、
企業によるECへの活用等、ビジネス・
エンターテインメント分野で更なる
進展が見込まれています。

今後、私たちの生活にもより身近な形で
関わってくると考えられるメタバース
ですが、その中で知的財産をどのように
保護するのかが現在議論となっています。

現行法では、ブランドや著作物については
商標権や著作権が適用できるものの、
メタバース上にある量産品の模倣については
十分な規制ができない可能性があり、
経済産業省を中心に法律の改正に向けた
動きが見られます。

知的財産戦略で競争力を

知的財産に関わる諸権利とそれらを規定した
法律の目的は、権利者の利益を守ることだけ
ではありません。

法律によって知的財産をどのように、
またどの程度守るかは国としての戦略にも
関わるものです。

特許権や著作権のイメージが強い知的財産権
ですが、「育成者権」という農業分野に関わる
権利もその一部に含まれます。

育成者権は「種苗法」によって定められ、
国に登録された植物の新品種を保護しています。

2020年にはブランド化された果物などの海外
流出を防ぎ、国内の農家や果物などのブランド
を守るため改正種苗法が成立し、2022年度から
施行されています。

こうした国内事業者を保護し、海外
との競争力を維持増進する取り組みは
育成者権以外の分野でも行われています。

その1つが「クールジャパン戦略」です。

クールジャパン(CJ)と呼ばれる日本の
知的財産を海外に発信する重要政策として
位置づけられています。

◆クールジャパンとは、世界から「クール(かっこいい)」と捉えられる    
(その可能性のあるものを含む)日本の「魅力」。
◆「食」、「アニメ」、「ポップカルチャー」などに限らず、世界の関心の変化を反映して無限に拡大していく可能性を秘め、様々な分野が対象となり得る。
世界の「共感」を得ることを通じ、日本のブランド力を高めるとともに、日本への愛情を有する外国人(日本ファン)を増やすことで、日本のソフトパワーを強化する。
内閣府 知的財産戦略推進事務局「クールジャパン戦略について」より

この政策の効果については、これから
評価がなされるものと思われますが、
日本文化の存続と更なる展開のためには
今後もこうした姿勢が重要となるかも
しれません。

知的財産権と公益性のバランス

知的財産権を認める目的の1つは、権利者の
利益を保護することによって、発明や新たな
アイデアの創出を促すことにあります。

一方で、知的財産権は言い方を換えれば独占を
認めるものであるため、過剰な保護は社会に
とって悪影響を与える可能性
も孕んでいます。

特に特許権の場合、その技術を活用した
製品の価格競争が起こりにくい状態となる
ため、その製品を必要とする人々が入手
できない事態が発生することも考えられます。

ここ数年では、新型コロナウイルスの
ワクチンに関する特許権の停止が議論
されましたが、最終的な結論は出ていません。

この事例に限らず、知的財産権と公益性の
バランスは重要な問題だと言えます⚖️

まとめ

知的財産権と聞くと難しい印象を持つ方も
いるかもしれませんが、実際には私たちの
身近なところにも深く関わっています。

好きなブランドや漫画、スマホも知的財産権
があるからこそ手にできているという部分も
あるかもしれません。

今回の #世界知的財産デー を機に普段の生活の
中で知的財産について少しだけ意識してみては
いかがでしょうか。