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学校総選挙×ch FILES「環境にまつわるオンライン会議」レポート〜「環境」投票ガイド〜

学校総選挙では「環境」をテーマにしたオンライン投票がスタート! ここでは、8月27日に今回の投票項目について10代〜20代が意見を出し合ったオンライン座談会の一部をご紹介します。ゲストには環境活動に取り組む企業(ニューバランスジャパン、ブリヂストン、コクヨ/コクヨ工業滋賀)の方々を迎え、さまざまなお話も聞かせていただきました。ぜひ投票のヒントにしてください。


海外と比較した日本の環境問題

吉田(学校総選挙) ではまず、環境問題について、日本が今どういった状況か少しご説明しますね。これは「SDGs」、2030年に向けて世界が合意した、世界を変えるための17の共通目標です。

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日本がSDGsに関してどれくらい達成できているか、毎年発表される「SDGsの達成度ランキング」を見ると、2021年のレポートでは165ヶ国中18位。17個のうち3つは達成しています。

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この17個の中に環境問題に関するものが6つ含まれています。ただ、環境問題に関する6つの目標は、残念ながら2021年時点の結果ではどれも達成できていません。

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6つの目標の評価としては、こんな感じです。

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2030年まであと10年を切っているので、今後どのような取り組みが行われていくのか、皆さんにも注目していて欲しいなと思っています。


4つの投票項目と考えるヒント

吉田(学校総選挙) 今回の投票項目は海外ですでに行われている取り組みを日本にも取り入れるかどうか、という視点で考えてみました。

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まず1つ目はこちら。

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昨年、日本で有料化が始まったプラスチック製のレジ袋は、イタリア・フランス・中国・インドなどでは、販売も禁止されています。これを日本でも取り入れることに賛成か、反対か。

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[考えるヒント]
これはもちろんプラスチックごみ削減につながるのですが、日本のプラスチックごみの中でレジ袋の割合は2%ほどなので、それほど効果はないと言う人もいます。

2つ目はこちら。

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EUではすでにプラスチック包装の商品に税金がかけられていて、イギリスでは2024年から導入されるそうです。これも日本に取り入れることに賛成か、反対か。

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[考えるヒント]
これには包装が減ってごみの削減につながる可能性がある一方で、まだ施策が始まったばかりで効果がわからないという声や商品の価格が上がることを心配する声もあります。これらの税金はプラスチック包装の商品を作っている企業に対してかかりますが、結果的に商品の価格上昇にもなるからです。


3つ目の項目はこちら。

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石炭火力発電所は、イギリス・ドイツ・フランスで今後廃止することが決定しています。同じように、日本でも石炭火力発電所を廃止すべきでしょうか? この質問を考えるには、日本でどのような発電方法が行われているのか知ることが第一歩です。簡単に解説しますね。

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今、日本の発電量の約7割が火力発電そのうち約3割が石炭火力発電です。石炭火力はたくさん電気を作ることができる反面、CO2排出量が多く、大気を汚染する物質も発生しやすいので減らさないといけない、というのが今世界のスタンダードになっています。

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[考えるヒント]
地球温暖化の対策につながるので賛成という声もある一方、約3割を担う石炭火力発電をやめた場合、発電量が足りなくなることを心配する声もあります。ヨーロッパを中心とした国々では、天然ガスがたくさん採れたり、水力発電が作りやすい地形がありますが、日本は平らな土地が少ないため太陽光パネルを置ける場所が限られたり、災害が多いことから、CO2を排出しない「自然エネルギー発電」を整備するのに巨額の費用がかかってしまうことから、石炭火力発電所を廃止することに反対する声も上がっています。


最後、4つ目の項目は少し方向が変わって、こちら。

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当然、環境対策はみんなで取り組んでいかないといけないことですが、特に重要なのは誰だと考えますか? というところを聞かせてください。


ここからは、各ブレイクアウトルームで出た意見をご紹介します。

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1.「プラ製レジ袋の配布・販売禁止」に賛成?反対?

<賛成派の意見>
ゆい 去年からレジ袋が有料化されましたが、エコバッグなどを持っていればいいだけで正直私は困っていないので、禁止しても問題ないんじゃないかなと思います。

きむら (プラごみに占める割合が)2%であっても、改善はそこから始まるのではないかと思っています。

石井(学校総選挙) 京都府の亀岡市では、今年の1月から条例で販売を禁止にしたんです。すると50%ほどだったマイバッグ率が3ヶ月で90%になったそうです。禁止されたことがきっかけに、環境に良い方向へみんなの行動が変わっていくこともあるのかなと思います。

ちかこ 私も賛成派なのですが、減らしていくにあたって、何か代替を考える必要はあるかなと思っています。ドイツでは来年1月から販売禁止にする条例ができるんですが、商品によっては袋が必要なものもあるので、まだ代替が決まっていない部分に関しては使用OKにしましょう、ということになっているようです。


<反対派の意見>
あきと いきなり禁止してしまって、これまでレジ袋を作ってきた会社は大丈夫なのかなという点と、例えば魚のような生ものなど、商品によってはエコバッグでは難しいものもあると思うので、全面的に禁止する必要はないのかなと思います。

しお プラスチックごみの中の2%しか含まれていないという点から考えても、有料で、環境に配慮したレジ袋にすればいいのかなと思います。

たじま やっぱりレジ袋は便利で汎用性があるんですよね。もちろんエコバッグは持つんですが、廃止にしてしまうと不便になるなと思います。


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2.「プラ包装の商品に追加の税金をかける」に賛成?反対?

<賛成派の意見>
りか プラスチック包装ってほとんど紙に替えることができると思うんです。だから税金をかけることによって、リサイクルできる紙に替えられるものが多くなるんじゃないかなと思います。

吉田(学校総選挙) 最近では紙パッケージの商品も出てきましたよね。この政策は企業に対して紙パッケージに変えるよう促す効果も期待されています。EUなどでは企業に税金がかかるため、パッケージを紙に切り替える動きが加速することも期待されているようです。

ハンナ 野菜でも皮は剥いて使うのにビニール包装されていたり、日本の包装は過剰だなと思うので、税金をかけてもいいと思います。

田中(コクヨ工業滋賀) 難しい問題だと思うのですが、例えばコクヨのパックノートだと5色のノート5冊が入っているのが、透明だからこそわかるというところがあるんです。紙包装だと中に何が入っているかわからなくなってしまうんですよね。なので、削減や企業努力は大前提として有用な面もある、と個人的には思います。

<反対派の意見>
つかさ かけられた税金が何に使われるのか、その税金が環境改善に役に立つのかが見えないなと思います。

らいむ 税金をかけてもお金がある人は買ってしまうのであまり効果がないように思いますし、プラスチックにだけ税金がかかるのは不平等なのではないかなとも思います。

谷口(ブリヂストン) 環境対策に取り組むということは、企業にとってコストが上がることは確かです。環境を重視して取り組んでいく中で、そのコストを商品価格に転嫁せずに、自社努力でどこまで吸収できるかを考えていくことが企業の使命かなと思っています。環境への取組みにはメリット/デメリットの両面があるため、賛成/反対とにはっきり分けられないところもあると思います。

だから僕としては、環境問題の背景、例えば“なぜプラスチックがダメなのか”といったことにも注目して欲しいなと思うんです。今は“プラスチックはダメ、リサイクルできる紙に変えよう”という動きになっていますが、10年前には、“環境保全のために紙を減らそう!”というムーブメントがあり、そうであれば、プラスチックもリサイクルできるようになれば問題ないのかもしれないですよね。だから『何を優先するべきか』、という視点も持って考えてみて欲しいと思います。

みゆ 原油が原料となっているプラスチックはごみを燃やすためにも必要と聞いたことがあるので、生分解性のプラスチックに変えていけば一つの解決策になるのかもしれないと思います。


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3.「日本でも石炭火力発電所を廃止」に賛成?反対?

<賛成派の意見>
よしなが 石炭火力は一番温暖化につながるガスを排出するので、気候変動によるさまざまな自然災害が起きているところを見ると、やはり最終的には廃止しないといけないだろうと思います。ただ、天気の悪い日が続くと太陽光発電ができないということもあるので、安定した電力をどう作るかも課題かなと思います。

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ゆうせい 日本には地熱発電があると思います。実際にアイスランドは70%近くが地熱発電でまかなえています。

吉田(学校総選挙) 日本の地熱発電は実際に進めるべきという声が多く上がっています。ただ、日本で開発が進んでいないのには、地熱発電に適したエリアの多くが国立・国定公園などになっていて、勝手に開発ができないといった理由もあるんです。もっとこういった声が上がると動きが変わるかもしれないですね。


<反対派の意見>
ゆうな 石炭火力のメリットも多くあるので、廃止するのではなく、発電のやり方などを何か改善する方法はないのかな、と思います。

りょうが 新たに太陽光パネルなどを設置するには山の斜面などを削ることになるので、かえって自然破壊や生態系の破壊につながってくる可能性もあるなと思います。


4.「環境対策の取り組みで、特に重要なのは誰だと思う?」

<国という意見>
ゆい レジ袋の有料化のことを見ても、国が動けば、企業も動くし個人も動くようになると思います。

みさき 今年はカナダで気温が40度を超えたというニュースもありましたが、環境は世界の問題だと思うので、まずは国が動かないといけないと思います。


<企業という意見>
ゆうか 日常的に目にする商品が“環境に配慮している”と訴えてくれている方が、一般の消費者が環境問題について意識する回数は増えるんじゃないかなと思います。

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まお 例えばコクヨさんとスターバックスさんが環境に配慮したノートを作られたように、環境に良い取組みを異業種の企業間コラボで行うことがもっとブームになってきたら、その流れに乗る消費者も増えるんじゃないかなと思いました。

鈴木(ニューバランスジャパン) 僕は枠組みを作るのは国ではあるけど、何か新しいものを生み出し、イノベーションを起こすのは企業だと思っています。皆さんの問題意識を解決する方法を作って世の中に出すのは企業の役割で、企業にとって今、環境への取り組みはとても優先順位の高いことだと思います。


<個人という意見>
まりな コロナの外出自粛を見ても、外に出る人は出るし、出ない人は出ないという状況があって、結局は個人が一番強くて、国や企業が動くかどうかも個人の主張から始まるんじゃないかなと思います。

まい 例えば渡辺直美さんのようなインフルエンサーが呼びかけることも、若者にとっては動く大きなきっかけになると思います。


<その他という意見>
かい 僕は“メディア”がもっと変わるべきだと思っています。企業が発信する広告もそうですし、SNS発信者でもある僕たち自身もそうですし、今は視聴者が求めるものに合わせて作るところが多いのが現状だから。

ちかこ 私は“教育現場”が変わる必要もあるかなと思います。


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たくさんのご意見、ありがとうございました。
さて、皆さんはどう考えますか?

学校総選挙では、現在投票受付中です(〜9/30まで)

ぜひあなたの声を聞かせてください!
投票はこちらから👇
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