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全身持久力の回復・向上エクササイズについて。

今回は、全身持久力の回復向上エクササイズについてまとめてみました。



なぜ全身持久力エクササイズを行うのか。

全身持久力エクササイズを行う最もな理由は、最大酸素摂取量の維持・向上にあります。

最大酸素摂取量とは、1分間に体重1Kgあたりで取り込むことができる酸素の量を数値化したのもので、この数値が高いほど有酸素系のパフォーマンスが高いと考えられています。

怪我により一線を離れた選手にとって、患部のリコンディショニングは円滑に進む一方で、患部外についてはリコンディショニングが進んでいなかったりと、軽視されがちな部分があります。

今回の記事では、その様な背景を踏まえ、考慮すべき点についてテキストを元にまとめていきたいと思います。


持久力系・・・と言う言葉を聞いたときに連想しておきたい用語

何かと専門用語がややこしいなと感じるこの分野。以下にまとめておきます。

AT:無酸素性作業閾値
有酸素系と無酸素系の運動様式が変更となる境界線のこと。

LT:乳酸性作業閾値
血中の乳酸閾値が上昇し始めるポイントのこと。

OBLA
血中乳酸濃度が4mmol/Lに到達するポイントのこと。

VT:換気性作業閾値
運動負荷試験を行い、血液を採取し乳酸値を測定すること。(吸気ガスを計測することでも測定可能)

RPE:主観的(自覚)運動強度
安静時を6の値で示し、これまでに経験したことがない最もきつい状況を20の値とし、指標を持って運動強度(運動のきつさ)を把握するもの。

エネルギー供給機構
運動を継続させるとき、エネルギーの供給を持って運動を継続しようとします。
このときに大切なのは、どの供給機構からエネルギーの供給を受けているかということを把握しておく部分にあります。以下に、運動継続時間と供給元をまとめます。


全身持久力エクササイズの意義と注意

最大酸素摂取量とATについて

ATレベルでの運動では、15~30分のエクササイズを行うことで循環器系の能力を高めることが期待できるとされています。
(ATレベル以上の強度であれば、3分/回で運動時間を設定します。)

よって、フィールドではRPEの指標・脈拍数の数値を用いてATレベル付近での強度を維持し、運動を継続させることが必要な環境設定といえます。

RPE: 指標13 ややきついと思う運動強度
脈拍数:120~140拍/分


乳酸を生かしたトレーニングについて

持久力トレーニングの効果
トレーニングを行うことで、ミトコンドリアが増加します。
筋では、毛細血管が増え筋の酸化能力が高まります。
呼吸循環器能力ではヘモグロビンの増加が起こり、肺での最大酸素摂取量が高まります。
ここで、上記の様な変化が生じることで酸素摂取能力が高まるとされています。

スプリントトレーニングによる身体変化
スプリントトレーニングでは、ミトコンドリアが増えるより筋の肥大により大きな力発揮ができる様に体の状況が変化することが期待できる。
高強度の運動を行うことから、比較的短時間で多くの乳酸を酸性されること考えられている。
この様な、運動による副産物が生成される中で、体内の防御機能が作用しできるだけ乳酸を生成しない様に運動(強度)に対する適応が進んでいく。
結果として、対乳酸能力が高まることから継続した運動実施が可能となる。

持久力トレーニングにLTやOBLAを活用する
ここまでの記事で、持久力を高めるには高い運動強度での運動実施が、呼吸循環器系を刺激し、最大酸素摂取量が高まると説明をした。
一方で、AT付近での運動実施では、最大酸素摂取量の向上が可能となる一方で、LTの変化が悪いとされている。
LTは、体内に乳酸が溜まり出すポイント(酸化能力)として用いる指標になることから、この数値を改善するにあたりLTからOBLAの強度での運動実施が適切な負荷設定とされている。

患部の運動制約に考慮したエクサイズの考え方
怪我をすれば、患部を安静におくこともあるが、その後は段階的に運動を
再開していく流れが待っている。
よって以下の点に留意し
コントロールすることが重要と考えれれる。


□患部は完全に安静にすべきなのか。
□部分的に運動の許可が出ている場合、その範囲はどこまでなのか。
□運動内容(動かした方)に制限はないか。


上記の点を踏まえ、患部に対する運動の内容を考えていくことが重要となる。
合わせて、怪我により一線を離れている選手は患部外の調整(リコンディショニング)が円滑に進まないことがある。

患部外については、患部に負担のかからない方法で運動の実施が可能であれば、「安静」を図る必要はないと考えられる。むしろ、安静にすることで状況
(状態)が衰退する方が問題であると考えられる。

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非常勤講師として、学生にアスレティックリハビリテーションを教えている経験を元に、教科書+アルファの内容で記事を書いています。

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