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ネットがなかった頃への憧れと郷愁

初めてインターネットに触れたのは小学4年生か5年生の時になる。
2002年くらいだったので、今のようにSNSやYoutubeなどの娯楽はなく
当時ハマっていたゲームの裏技や攻略方法などを調べていた思い出がある。
フラッシュ倉庫というおもしろ動画を集めたサイトにもよく世話になった。

ただ、ネットはあくまでも生活のほんの一部に過ぎなかった。
学校終わりや休日は、相変わらず友達と野原を駆け回っていたし、待ち合わせてもいるかいないかわからない関係の中で、不便を感じず存分に楽しんでいた。

あの時ネットを介して友達含めた他者と繋がる経験はなかった。
固定電話はあったので、それを使って約束することもあったが
基本的には友達とは時刻と待ち合わせ場所で繋がっていた。

9時くらいにいつもの公園に行ってみて誰かいれば一緒に遊ぶし、いなければ帰る、そんな幼少期だった。

あれから20年を経た今では、ネットは現実と同じ世界観を持つようになってしまった。

ネットは今や現実世界とあまりにも繋がり過ぎている。
特に若者への影響は大きく、1日の活動時間の多くを現実世界ではないネット世界に投じるようになってしまった。

以下、KDDIが調査した18~22歳のネット利用実態の内容を引用したい

スマホでのネット利用時間は1日5時間以上が22.7%
まず、スマホでのネット利用時間を調査した。1日の利用時間が「5時間以上」という回答が22.7%でもっとも多く、次に「1時間以上〜2時間未満」が18%、続いて「2時間以上〜3時間未満」16.5%という結果に。過半数が1日2時間以上はスマホでネットを利用していることがわかった。

https://time-space.kddi.com/au-kddi/20210415

538人というサンプルであることに留意する必要はあるが、
22.7%も5時間以上ネットを利用しているとのこと。
ということは、24時間のうち睡眠や学校・仕事、食事を除くと余暇のほとんどをネットに費やしている計算になる。


SNSの誹謗中傷を見るように、利便さ以上に弊害が増している状況が見受けられる。
もはやというか最初から感情が複雑な思春期の若者にはとても使いこなせる代物ではなかったのかもしれない。

幸いにも自分は昔からSNSを活用できなかったタイプだったので、直接上記を経験したわけではないし、またクラスLINEなどなかったはずなので苦しんだ体験談は持ち合わせていない。

が、心の底から10代の若い時にネットが今ほど発達してなくてよかったと思う。ネットは意図的に欲望を刺激する工作に溢れ過ぎている。
超常刺激を利用した課金ガチャもそうだし、SNSのイイネも欲求装置と言える。

加えてプライバシー保護が過度に高まる現代において、ネットでは閲覧履歴や購入品などのデータは蓄積され、その人に適した”情報(広告)”だけが流される。
それを当人は気づかずに問いかけた反応として受け取る。

「かもしれない」が大好きな脳

この人は私の意見ときっと同じだ!
これは私が欲しいものかもしれない!

何かが起こるかもという期待以上に、報酬中枢を駆り立てるものはない。
パチンコにハマる大きな理由はこれだ。
そしてSNSや課金ゲームはこれらパチンコに通底した原理をうまく応用している。


詳しくはこちらの記事をみてみてほしい。

ある1930年代の研究では、レバーを押すと餌が出てくるようにした実験で、ネズミたちは時々しか餌が出てこないようにしたほうがレバーを押す回数が多かった。いちばん熱心にレバーを押したのは、餌が出てくる確率が3~7割のときだった。

https://forbesjapan.com/articles/detail/39067

上の記事に踏み込むと長くなってしまうので割愛するが、
このようにインターネットの普及によって生活は大きく変わり、より便利になったことは間違いないが、これまではなかった新しい問題も多く生まれてしまった。
全世代へ影響を及ぼしているが、その中でも感受性の高い若者への影響は特に不安だ。


果たして、人類はインターネットの普及によって幸せになったのか。

過去に戻れと願っているわけではない。
これは人間の構造の問題でもある上、ネット世界が辛い現実世界からの逃避として機能してしまっている側面もありかなり根深い。
だが、これ以上放置していいことはないと確信している。


一時期「幸福な国」として紹介されていたブータン王国も現在は
ネットが普及したことで、隣の芝生が見えるようになってしまった。
その結果、幸福度が下がったことは、私達に何か重大な問題を提示している気がしてならない。
社会を知らなかった子供時代の方が幸福に思えたのには訳がある。

子どもや学生にとっては「インターネットが登場する前の時代」の方が、幸せだったのかもしれない。と現状を鑑みるとそう思わざるを得ない。

いづれにしても様々な角度からこの問題に切り込む必要があることは間違いない。






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