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Valeur 5 -ivy gray-

たくさんの塵や灰やがらくたを集め拾い
それらを一直線に天へと積み上げていく
あなたを横目に
ただ窓の外を眺めていた

目に見えない黒煙に怯え
小さな暮らしを続けることに必死だった
新しいシステムが公布され
同じ部屋でそれぞれの仕事をし、生き永らえた
画面の向こうに息づく人々と
電子の音で情報伝達をする

積み上げられたがらくたが
最上階まで至ろうとしたそのとき
真っ白な鳥がてっぺんにとまり羽根をひとつ
落としていった
その羽根は心を止血するのにちょうどよく
痛みはなくなり
黒煙を恐れる気持ちも薄らいだ
そうして少しずつだが
各々できることをしていた

天まで高くなった塵の塔が崩れ
静かな草地へそれらを弔る
どこからともなく吹き過ぎる
あの風を感じながら

古屋朋