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『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』刊行

 河出書房新社から、7月中旬に『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』が刊行されました。
 これは、2019年春にはじまったNHKラジオ「中学生の基礎英語 レベル2」(略称・基礎英語2)テキストでの翻訳者リレー連載コラム「海外小説ガイド」を土台にしたブックガイドです。河出書房新社に「14歳の世渡り術」というシリーズがあり、その1冊としてぴったりの内容なので、再構成して1冊の本として出してもらうことになりました。
 ただ、もともとの6人(越前敏弥、金原瑞人、三辺律子、白石朗、芹澤恵、ないとうふみこ[敬称略])は全員が英語の訳者ですが、広く海外文学を知ってもらうブックガイドを作るなら、ほかの言語の翻訳者にも加わってもらいたいという思いが、われわれ著者にも出版社サイドにもあり、新たに12の国や地域の作品を12人の翻訳者(飯田亮介、宇野和美、加藤かおり、斎藤真理子、酒寄進一、奈倉有里、野崎歓、黄碧君、古市真由美、星泉、柳原孝敦、柳谷あゆみ[敬称略])に紹介してもらうことになりました。紹介している作品は、英語36作+他言語12作の48作です。

◆1月
第1週 キャス・ハンター『iレイチェル』……芹澤恵
第2週 W.W.ジェイコブズ「猿の手」……金原瑞人
第3週 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社監修『小説 アナと雪の女王 影のひそむ森』……越前敏弥
第4週 マルセロ・ビルマヘール『見知らぬ友』……宇野和美

◆2月
第1週 レイ・ブラッドベリ『華氏451度』……白石朗
第2週 ジャック・ロンドン「たき火」……三辺律子
第3週 ジェイソン・レノルズ『ゴースト』……ないとうふみこ
第4週 ガエル・ファイユ『ちいさな国で』……加藤かおり

◆3月
第1週 スティーヴ・ハミルトン『解錠師』……越前敏弥
第2週 J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて/キャッチャー・イン・ザ・ライ』……金原瑞人
第3週 ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』……芹澤恵
第4週 イ・スラ『日刊イ・スラ』……斎藤真理子

◆4月
第1週 アーサー・コナン・ドイル『名探偵ホームズ 緋色の研究』……ないとうふみこ
第2週 ジャック・フィニイ「愛の手紙」……白石朗
第3週 デイヴィッド・レヴィサン『サムデイ』……三辺律子
第4週 イタロ・カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』……飯田亮介

◆5月
第1週 レイ・ペリー『ガイコツと探偵をする方法』……芹澤恵
第2週 ウイリアム・アイリッシュ『幻の女』……白石朗
第3週 ナターシャ・ファラント『アリスとふたりのおかしな冒険』……ないとうふみこ
第4週 ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ『言葉の守り人』……柳原孝敦

◆6月
第1週 ダン・ブラウン『オリジン』……越前敏弥
第2週 アリソン・マクマーハン「カミカゼ・イグアナ」……三辺律子
第3週 ロアルド・ダール『あなたに似た人』……金原瑞人
第4週 ラシャムジャ「最後の羊飼い」……星泉

◆7月
第1週 ガレット・ワイヤー『最後のドラゴン』……ないとうふみこ
第2週 J.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』……金原瑞人
第3週 エヴァ・イボットソン『夢の彼方への旅』……三辺律子
第4週 アルチュール・ランボー『対訳ランボー詩集』……野崎歓

◆8月
第1週 スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー:恐怖の四季 秋冬編」……白石朗
第2週 平原直美『ヒロシマ・ボーイ』……芹澤恵
第3週 ジョーン・G・ロビンソン『新訳 思い出のマーニー』……越前敏弥
第4週 ザカリーヤー・ターミル『酸っぱいブドウ/はりねずみ』……柳谷あゆみ

◆9月
第1週 トレバー・ノア『トレバー・ノア:生まれたことが犯罪!?』……三辺律子
第2週 リンダ・スー・パーク『ジュリアが糸をつむいだ日』……ないとうふみこ
第3週 ジェイムズ・サーバー『傍迷惑な人々:サーバー短編集』……芹澤恵
第4週 エーリヒ・ケストナー『終戦日記一九四五』……酒寄進一

◆10月
第1週 リアノン・ネイヴィン『おやすみの歌が消えて』……越前敏弥
第2週 ジョー・ヒル「スナップショット」……白石朗
第3週 レイ・ブラッドベリ「湖」……金原瑞人
第4週 サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』……奈倉有里

◆11月
第1週 ティリー・ウォルデン『スピン』……三辺律子
第2週 ジャスパー・フォード『最後の竜殺し』……ないとうふみこ
第3週 メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』……芹澤恵
第4週 呉明益『歩道橋の魔術師』……黄碧君

◆12月
第1週 チャールズ・ディケンズ 『クリスマス・キャロル』……越前敏弥
第2週 スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」……白石朗
第3週 ネヴィル・シュート『渚にて:人類最後の日』……金原瑞人
第4週 アニカ・トール 『海の島:ステフィとネッリの物語』……古市真由美

 14歳前後の人たちに読んでもらいたい作品を紹介しましたが、もちろん、大人が読んでも楽しいブックガイドとなっています。
 7月18日には青山ブックセンター本店、24日には梅田蔦屋書店で刊行記念イベントがあり、それぞれ、オンラインなども含めて10名程度の翻訳者に出演していただいて、にぎやかで楽しい時間を過ごしました。
 このイベントでわたしが話した内容は、少しアレンジして、近々YouTubeで公開する予定です(8月1日追記・公開しました)。また、著者のうち数名のかたにも、同様にそれぞれが専門となさっている国や地域の文学についてのわかりやすい解説動画を作ってもらっていて、そちらも近日中に公開する予定です。
 まずはこの『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』を楽しんでください。どこから読んでもかまいません。


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