エンタメマーケティング13②2,5次元舞台の楽しみ方

前回に引き続き「2,5次元舞台」について取り上げる。
2,5次元舞台舞台に限らず日頃から「お客様を舐めるな」と枕詞のように言っている。
真剣に作ったものを提供する。それはどんな仕事でもそうだ。
完璧なプロの仕上がりを提供する。それが一般的には良しとされている。

しかし、2,5次元舞台では少しの例外がある。それは若手俳優、新人俳優の起用による「下手な俳優が出る」ということである。
「なぜオーディションで下手な俳優を選ぶのか?」と思われるだろう。
それが2,5次元舞台の特殊な所である。
2,5次元舞台で最重要視されるのは「キャラクターの再現力」である。
その漫画の物語を再現するために、適任な、キャラクターに似ている人物を選ぶため、まったくの新人にもチャンスがあるのです。

これによって起こった2,5次元舞台の草分け的存在である「ミュージカル テニスの王子様(以下:テニミュ)」では「空耳ミュージカル」という文化ができた。
それは役者の滑舌が悪すぎて間違って聞こえる部分にあえて間違えた字幕をつけるというものである。
テニミュの人気が出始めたタイミングがニコニコ動画の全盛期の重なったこともあり、大流行した。ニコニコ動画内だけで500万再生、YouTubeに上がっているニコニコ動画からコメントごと転載された動画ですら50万再生を超えるものがある。

この動画の視聴者は実際にミュージカルに行っていない人も多く、本来の歌詞をしらない人もいる。しかし、彼らは「ネタソング」としてヲタク同士でカラオケに行く際にこれらの曲を歌うのである。
そして、この動画から気になり始めミュージカルに実際行くファンもいるのだ。

違法合法問わず、現在のインターネット社会においてインターネット上の動画、音楽は集客、リピート客獲得に大きな影響を及ぼす大切な要素になる。
2,5次元舞台、特にミュージカルに楽曲提供する場合、作曲家は必ずカラオケ配信の契約はしっかりとした契約を結んでもらいたい。
そして、制作会社はカラオケやiTunes等の配信をしっかりしてほしい。初期投資を小さく抑え、収益を上げる事が可能な上、ファンも嬉しい。

さて、この「滑舌悪い問題」ではあるが、滑舌が悪いことが人気なのでは無い。
そこから、回を重ね「成長していく様子がエンターテイメント」として人気なのである。
もちろん成長する人、しない人、大化けする人、色々な道を歩む。
そして2,5次元舞台出身を隠したり嫌がり2,5次元舞台から応援し続けたファンを傷つける役者もいる。

それら全てを含めて2,5次元舞台の現状であり、楽しみ方である。

物語を、原作を楽しむファン
俳優の活躍を楽しむファン
ネタとして楽しんでいるファン

それぞれのファンがお互いに色々な感情を抱いているが製作者側にとっては、舞台をミュージカルを楽しみにしてくださっているお客様だ。
楽しみ方を簡単に分類したが、どの楽しみ方のファンも境界線があやふやで、その作品、その時期、一緒にいる人によって、楽しみ方は変わる。

舞台はもちろん波及商品に至るまで全てのファンに楽しんでもらいたい。

#エンタメマーケティング #二次元 #舞台 #演劇

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