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小説&ショートショート

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小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
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2023年11月の記事一覧

ヒグマフィッシング|ショートショート

 ――あれ?  意気揚々と渓流釣りに来てみると、ヒグマの親子が釣り糸を垂らしていた。僕と…

トガシテツヤ
9か月前
35

隙間|掌編小説

 電車は嫌いだ。窓に自分の顔が映るから。疲れて表情のない、まがい物のお面を付けたような顔…

トガシテツヤ
9か月前
32

親友なんかじゃない|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――詩と暮らすように生きたい。  一体どういう会話の流れでケンちゃんがそう言ったのか、…

トガシテツヤ
9か月前
51

ポニーテール|掌編小説

 ポニーテールという髪型があるのを、中学1年の時に知った。今までにポニーテールの女子とた…

トガシテツヤ
10か月前
34

ハーフ&ハーフ|ショートショート

 現在、スポーツ界ではハーフ&ハーフが人気を集めている。1つの会場を半分に分け、野球とテ…

トガシテツヤ
10か月前
33

紅葉鳥|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――紅葉鳥……か?  玄関先に紅葉鳥がいた。スズメより少し大きいくらいの体で、トテトテ…

トガシテツヤ
10か月前
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絶滅危惧種 ~スモーカーの憂鬱~|掌編小説

 ――ようやく撤去されたか。  コンビニの出入口の横にあった灰皿がなくなっている。私にとって、その灰皿は迷惑以外の何ものでもなかった。  店内に入る瞬間、タバコの臭いと煙が風に乗って漂ってくると、カッと頭に血が上る。私を不快にさせたであろう絶滅危惧種を睨みつけると、そいつは必ずと言っていいほどバツが悪そうに背中を向けるのだ。  ――自覚してるなら吸うなよ! クソがっ!  背中に、いつもそうやって声にならない侮蔑の言葉を浴びせる。  灰皿が撤去された、ただそれだけで気分