絶滅危惧種 ~スモーカーの憂鬱~|掌編小説
――ようやく撤去されたか。
コンビニの出入口の横にあった灰皿がなくなっている。私にとって、その灰皿は迷惑以外の何ものでもなかった。
店内に入る瞬間、タバコの臭いと煙が風に乗って漂ってくると、カッと頭に血が上る。私を不快にさせたであろう絶滅危惧種を睨みつけると、そいつは必ずと言っていいほどバツが悪そうに背中を向けるのだ。
――自覚してるなら吸うなよ! クソがっ!
背中に、いつもそうやって声にならない侮蔑の言葉を浴びせる。
灰皿が撤去された、ただそれだけで気分