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愛しのロックスター

あれは95年春頃のミュージックステーションのスペシャルだった。
当時僕は音楽にハマり始めた時期でまだまだJ-POP子だった。
多分その時は誰が目当てでもなくたまたま見ていたのだと思う。
そこに登場したのがBUCK-TICKだった。
確か他は割とポップなアーティストばかりで明らかに浮いていたし
当時はヴィジュアル系という言葉が流行り始めていたが、どうもそれとも異質なオーラが漂っていた。
あと何となくボーカルの人はロングヘアだというのは知っていたが髪を切っていた。
何か氷室さんに似てるなと思った(同郷だったのは後に知る)
多分トリだったような気がするが彼等の出番が来た。
演奏されたのはファン人気投票1位だった"悪の華"と当時の新曲"唄"。
鳴らされた音は衝撃的だった。
全く何処にも無い音楽。
その得体の知れない雰囲気も相まって10代の自分のハートに深く突き刺さった。
特にボーカルの人の鋭い目付きと剥き出しの感情を吐き出して唄う姿に釘付けになった。
それがBUCK-TICKとの出会い。
櫻井敦司という人との出会いであった。
それから自分の大好きなバンドとなった。

今日その櫻井さんが亡くなってしまった。
体調不良で倒れたと聞いていたが回復するだろうと勝手に思っていた。
あまりにも突然過ぎて訃報を目にした時何が起きたのかもわからずパニックになった。
何で?嫌だよ。何で櫻井さんなんだよ?おかしいよ神様あんまりだ!!
その後B-TのCDをプレイヤーにセットした。
前述した出会いの曲"唄"が流れて泣いた。
そして大好きな曲"ミウ"が流れて櫻井さんの優しい歌声を聴いた途端大声を出して泣いた。
泣き散らした。
まだ気持ちはソワソワしているが少し落ち着いたのでこの文章を書いている。

櫻井さんが魅力的だったのは
通称魔王とも云われるそのルックスだが
誤解を恐れずに言えばある種ナルシズムの権化のような美しさであるのにそれを鵜呑みにしていないというか
後続のV系の人達がそういう路線を多くしていく中で
寧ろ何処か劣等感を持ってるような陰を抱えていた。
だからこそ人の痛みや悲しさがわかるとても優しい心の持ち主なんだろうなと思った。
そしてその歌声。
美しい曲であれば優しく包むように。
妖しい曲であれば艶やかに色気たっぷりに何かに誘うように。
激しい曲であれば生きる事にもがくように感情をまっすぐぶつける。
本当に唯一無二の歌声の持ち主だった。
そしてステージで魅せる表現力も誰も真似できない世界観だった。

これから櫻井さんのいない世界が始まる。
勿論音源にその声は残っているからいつでも聴ける。
でも新しい歌声とパフォーマンスはもう聴けない観れない。
実は僕はファンを語っている癖にLiveに一度も行った事が無い。
しかし今年行われた異空ツアー京都公演に行きかけたが結局辞めてしまった事は僕の人生最大の後悔となってしまった。
こんな僕の命なんかいらないから櫻井さんを生き返らせて欲しい
そんな事を思ったりもしたが、それは1番櫻井さんがきっと望んでいない事だし
本当に本当に悲しいけど今は沢山の素敵な景色を魅せてくれた事に最大の感謝と敬意を。

櫻井さん貴方の遺してくれたものを胸に。
これからもずっと愛し続けます。
安らかに。

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