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【インタビュー】「障がいではなく、その人の個性や能力に自然と目がいく世の中へ」 スタッフ 佐藤奈摘

2023年12月、重度の肢体障がい者も対象とした就労継続支援B型事業所「テクノベース」が開設しました。
その事業所スタッフの一人である佐藤に、テクノベースでの新しいチャレンジ、これから目指したいことなどを聞きました。

佐藤 奈摘
事業所スタッフ
1998年6月13日生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。
2021年、株式会社LITALICOに新卒で入社。就労移行支援事業所LITAICOワークスにて障がいのある方の就職活動のサポートや企業への定着のサポートを行う。2023年10月より、株式会社LITAICOからテクノベース株式会社に出向。

01:テクノベースに参加することになった経緯を教えてください。

2021年から株式会社LITALICOという会社に在籍していて、2023年10月から出向というかたちでテクノベースに参加しています。LITALICOでは2年半ほどジョブコーチとして働いていました。LITALICOは会社規模が大きい分多くの方にサービスを提供できる反面、まだサービスを届けられていない方々がいることも感じていました。そんな中、社内でテクノベースに関する説明会があり、新しくまだ規模が小さいからこその小回りというか、今まで届けられなかった方に向けても行動できる可能性に魅力を感じました。

現状の障がい者雇用の制度では、車椅子で動ける方や知的障がい、発達障がいなど、一定の方への支援の枠組みはある程度できていますが、まだそこからこぼれ落ちてしまっている生きづらさもあると感じています。テクノベースでは、その一つ、重度の肢体不自由な方へも可能性を広げていける。特にテクノベースには、テクノツールというアシスティブテクノロジーの知見がある会社が母体にあります。テクノロジーによる一人ひとりに合わせた環境の構築はもちろん、その事例を一つずつ積み重ねていけば、社会全体や制度へもアプローチできるかもしれない。そんな「目の前の可能性を広げながら、社会へも働きかけられる」ことに魅力を感じ、テクノベースに参加することを決めました。

02:テクノベースを運営するうえで、どんなことを大切にしていきたいですか?

テクノベースは「新しい可能性を広げていける場所」だと思っているので、挑戦を大切に、視野を広く持ちたいと思っています。個別のケースに寄り添って可能性を広げるためには、前例に頼るのではなく、新しい試みがきっとたくさん必要です。これはできないだろうなと諦めたり、今までこうだったからと慣習に当てはめたりするのではなく、「その人に必要なこと」をしっかりと見極めて実現を目指せるようにチャレンジしていきたいと思っています。

03:テクノベースの開設という新しいチャレンジに対して、どのように感じていますか?

テクノベースは、新しい働き方のモデルケースになれると感じています。重度の肢体不自由の方や外出が困難な方にも、働くという選択肢を作っていけたら。テクノベース自体がモデルケースとして成り立てば、きっと続くような事業所がこれから出てくると思います。時間はかかるかもしれませんが、少しずつそういう事業所が当たり前に存在するようになって、新しい働き方が社会に浸透していくんじゃないかと思っています。

04:どのような方にテクノベースを活用してもらいたいと思いますか?

本当に幅広い方に使っていただきたいです。一般就労に向けて実績づくりをしたい方にも、スキル的に何ができるかわからない方にも、まずは社会や人と繋がりを持ちたいという方にもご利用いただけたらと思っています。「仕事をしてみたい」という気持ちはあるけれど、自分に合う選択肢やチャンスがなかった方の選択肢になれたら嬉しいです。

05:テクノベースは、社会にどんな影響を与えられると思いますか?

繰り返しになりますが、社会に新しい可能性を広げられると思っています。テクノロジーなどの環境設定によって、働くことが難しいと思われていた方々が活躍できる場を増やしていければ、「障がい」自体に対する社会全体の見方もきっと変わると信じています。テクノベースがモデルケースとなって後に続く事業所が出てきて、政策提言等ができれば、就労が当たり前ではなかった人にも就労の選択肢が生まれます。

やりたいことがあった時に、障がいの有無でそもそも挑戦できるかどうかが決まるのではなく、誰もが挑戦できた上で各々の個性や能力に合わせて内容を調整していけるようになれば、と思っています。「障がい者」という前提をもって見られるのではなく、「その人自身がどんな人なのか」と自然と一人ひとりに目を向けられるようになる世の中を目指していきたいです。