シェア
itø
2022年12月19日 19:50
ほんのり木の香りが残る机に、縁の欠けたマグカップが置かれている。溢れそうなほどに水がたたえられており、表面張力が緊張を醸し出している。空になったペットボトルは机の脇に転がっており、窓から差し込む光を漠然と屈折させている。ブランケットが無造作に掛けられた二人掛けのソファに触れる。昨日、ここに彼女がいた。今日はやけに肌寒い。彼はブランケットを羽織り、電気ケトルに水を注いだ。ほんのり木